短編

葉っぱ

支えたかった。


 海で人が泳いでいた?


「い、いいえ、泳いでいません」


どうして慌ててるのか、聞かれ、

私は、恐ろしくて慌てたんです、と、

海で泳げば、食べられるかもしれない、

だから、昔、生きていた方が、

無念を伝えてくれたのでは、

と思いまして、と、素直に答えた。


それから、しばらく、

話す内、ここに居て下さい、と、

言われ座る。


結局、人違いだ、との、

謝罪を貰った。


ざわざわ、と話す声を聞いて、

周りを見渡したら、

こちらに視線を向けている人々の目が、

何、泳いでいたら、おかしいの?

と、語っていた。


慌てて、後ろ向いた時、

またざわざわ、と、囁く声は、

心を刺すものばかりだった。


その時に、向こうから、

小さな子が歩いてきた歳は、

小学校2年生ぐらいか、と、思った、

黒い頭の髪の長さは、

少し長い襟足、髪は短髪で、

目は黒く丸みがあり、眉は、

柔らかい色だった、肌色の肌が、

少し日焼けしてもおかしくないのに、

日焼けしてない、

服は、白いTシャツに斜めの黒、

藍色のズボン、白い靴の男の子が、

絵の物語のように、こちらに歩いてきた。


「どうしたんですか?」と、

目の前に来たので、そう言えば、

「少々お待ちください。」

そう、彼は言った後、

ズボンのポケットに手を入れて、

俺の目の前に差し出された物を見て、

俺は固まった。


「あなたが良いんです。」

その言葉を聞いて、俺は、

正直に俺が良いの?と言えば、彼は、

嬉しそうに、はい、と、言った。

その言葉を聞いて、俺は、しばらく、

黙っていたが、

彼に俺の利き手を出した、

こころIDと描かれている手紙を、

俺は受け取って、これからどうするか、を、

彼、時流ときながし真慈しんじくんと、

話し合った。


心IDで見る景色は、永野セツさんが、

人を助けている、姿だ。


「俺はどうしたら良い?」


彼は、まだ眠っていたまま、と、

聞いている。


彼は、本当にすごいと思う。


俺にとって、まるで、物語に出てくる主人公だ。


ゲーム、小説、絵本、漫画、

全然、姿、声、が違う


話かけられて、元気を貰っていた彼の後の、

彼の友人の芯羽彼方しんわかなたの姿が、

見える。


こころID、彼のメッセージを、

届けに行こう。



痛みと血が出過ぎて、目眩を起こして、

いた時、


「諦めないで下さいっ!」


真っ暗な世界に、上から光が差した。


「永野さぁああんっ!」


その時、目を開けて見た景色に、

俺は言葉がなかった。


前向まえむきさん?」


優しく笑ったのは、なんでか、

わからなかった。


「後で、

 私のこころIDを見て下さいませんか。」


「ー行かないで下さいっ!」


「ー行かないで下さいっ!」


それに嬉しくて笑う。


「あの時、嬉しかったっ!

 勇気を、ありがとうっ!」


争いの舞台は、白い城だった。


その舞台の白い城は、一気に、

爆発し、城があった場所は、

黒かった。



「一緒に遊ぼうっ!」


小さな頃から、永野さんは、

明るい太陽だった。


その彼とは、違う教室に俺は居て、

彼が眩しくて、羨ましかった、

でも、暖かいものばかり、で、

存在だけで、こっちが暖かいばかり、

だった、そんな彼を守りたい、支えたい、

それだった。


支えること、出来なかったけど、

こんな終わりもあり、かな。

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短編 葉っぱ @kourogi1278

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