第45話 勇者の町
タバリンの町を出てから2日目には町に着いた。
馬車1台分のメロンはここに卸して明日にはまた残りの馬車で次の町に向かうらしい。
荷卸しの仕事と一晩の休息を取り、キリエたちはの馬車は再び出発した。
「この馬車はどこまで行くんですの?」
キリエの質問にミルゼがすぐに答えた。
「勇者の町ですよ!
キュウビ帝国の国境にある町ですね。」
「勇者の町ですの?」
「勇者なんているんだな!
魔王とかもいるのか?この世界。」
「はい!
「俺たちも勇者を一目見ようと立ち寄ってそこでこの依頼を受けたのさ。」
返事をするミルゼに大男のグレノが割って入った。
「俺たちが町に行ったときは勇者には会えなかったけどな。
なんでも依頼解決数が凄いらしくてな。
数年前から勇者と呼ばれるようになったらしい。」
「誰が決めたんですの、それ?」
「さあな?
王国や教会とかが決めたわけじゃないらしい。
人々からそう呼ばれて定着しただけだと聞いたぞ。」
「なんだか胡散臭いですわね。
そもそも勇者ってなんなんですの?」
「はっはっは。胡散臭いか。
俺はカッコいいと思うけどな。
助けた人々の声が生んだ英雄ってことだろ?
黙って人を助けて背中で語る。いい漢じゃねぇか。
俺たちもそんな皆に認められる冒険者になりたいよ。
なあ?カイル?」
「ああ。そうだな。
呑んでばかりでお金がなくなると仕事を探す、そんな冒険者が多いからな。
僕は勇者さんのような人のために生きる冒険者を尊敬するよ。」
カイルはキリエを見た。
「あなたのような自分勝手な人にはわからないでしょうけどね。」
「そんなに凄いならなんで魔物に襲われる町を救わないんですの!?
それが勇者の仕事なんじゃないんですの!?」
「なんですかいきなり。
どこの話をしてるか知らないですが、勇者だって1人で全ての人々を救えるわけではないでしょう。
それに勇者の噂が広まって勇者の町には冒険者が集まるようになってきています。
僕らのように勇者の志しに共感するものが増えれば、皆が勇者になれればきっと世界も平和になりますよ。」
「あ!そろそろ勇者の町に着きますよ!」
ミルゼは馬車の、外を指差した。
キリエたちは勇者の町に到着した。
町に入るとキリエは商人たちと共に荷卸しをさせられた。
カイルたちはギルドへ依頼の報告をしに行ったようだ。
「俺たちもギルドへ行こうぜ。
ビーストベルトへの道も聞きたいし、何より勇者ってのもどんな奴か見てみたいしな。」
「まずはメロの服を買いに行かなきゃですわ。
ね?メロちゃん?」
「フクー。」
キリエたちは町の中を探して服屋に入った。
「いらっしゃいませー。」
「ごきげんよう。
この店に子供用の服は置いてますの?」
「はい!こちらのあたりが子ども服エリアになります。」
キリエたちは店員に案内され服を選び始めた。
「いろいろあるな。
現代的なTシャツもあるぞ。
外ではあんまり見かけなかったけどな。」
「レトロファッションですわね。
時代遅れで着てる人はあまりいないですわよ。」
「Tシャツの方がレトロなのかよ!
まあ剣と魔法の世界にTシャツジーパンばっかもそれはそれでやだけどさ。」
「カァアイー。」
メロが気に入った服を見つけたようだ。
「これか?着れるのか?
子どもっぽい服ではあるけどさ。」
メロが選んだのは笑顔のクマさんがプリントされたTシャツだった。
「クマさんかわいいですわね。
じゃあ試しに着てみましょうか?」
「キルー!」
メロとキリエは服を持って2人で試着室に入った。
「メロちゃん。バンザイしなさいな。」
メロは言われるがままにキリエに服を着せられる。
「っ...なかなか入らないですわね。
...よし、これで!」
「着れたのか?」
アクリョーはカーテンをすり抜けて試着室を覗いた。
「クマが悲鳴上げてるじゃねぇか!」
メロとキリエが鏡を見ると、クマさんが横に伸びきって今にも死にそうな顔をしていた。
「カアイクナイ...」
「メロに子ども服は無理だろ。
もっとこうオーバーサイズみたいないい感じのを探そうぜ。」
クマさんの服を脱がせ試着室を出た。
「どうでしたか?」
試着室を出ると店員がやってきた。
「え、えぇっと。
この服は買い取りますわ...
この子が着れる胸の大きい子ども用の服はないですの?」
そう言って伸び切った服を見せる。
「ああ...なるほど。
胸の大きい子どもですか....
大きいサイズなものしかないですね。
予算があるならならオーダーメイドでお作りもできますよ!」
「この子に似合う可愛い服をお願いしますわ。」
メロンの収穫でたくさん稼いだキリエはオーダーメイドを選んだ。
「かしこまりました。
ちょっとサイズを測らせてねー?
...おお、これはすごい。」
店員は布越しにメロのサイズを測っていく。
「これは作り甲斐がありますね!
この子の可愛さに負けない素敵な服を作りますね!
5日くらいは掛かりそうなのでそれ以降にまた来てください!」
「わかりましたわ。」
キリエたちは服屋を後にした。
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(異世界転生したら)転生せず知らないお嬢様の背後霊なんですが いーこよ @echoyo
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