愛で病気が治ったらいいのに

 検診であゆみに骨髄性白血病が見つかって入院することになり準備そして看護に忙しかったです。大学のレポートも病室で書くことが多かったです。わたしはその合間に美容室に行きました。順番を待っている間、目の前にあった週刊誌を手に取りました。ページをめくって目次が見えた瞬間思わずさっと目をそらした。「平間あゆみ、闘病日記六十日」。それはわざわざ読みたいとも思わない辛い記事でした。


 髪の手入れが終わったらまた病院に行って妹の世話に向かいました。ドキュメント映画のカメラスタッフに見守られる中、父、母、マネージャーと交代で祈るような思いで看護しました。フィルム撮影は映画のスポンサーが医療費を負担するという条件でやっています。

「ねえ、体の調子はどう?」

「今日はまあまあ。お姉ちゃん、私、もう力が出なくて何もできなくなりそうなのが辛い、本当に……ファンの方たち、パパ、ママ、お姉ちゃんにもう二度と会えなくなるなんて考えたくない」

彼女は涙を目に浮かべて思いをわたしに訴えました。どうしたらいいのだろう……? わたしの頭の中は答えが出ない問題がぐるぐると回っていました。その頃になると大学の授業も上の空になってとうとう母に心配されてしまいました。あゆみのことは私達に任せて授業とレポートに集中しなさい、って言われて。わたしはあえて言われなくても期末試験が目前に迫っていたのでそうせざるを得ませんでした。でも週一回程度は面会に行きました。


 私は、あゆみの病状が落ち着いたときに、彼女を車椅子に乗せて、両親やマネージャーと一緒に結果的に最終になってしまった打ち合わせに行きました。彼女は両親にも同じことを言っていたみたいでメモリアルホールのスタッフからさっと資料が渡されました。私はそれを読んで「こんなプラン、あったのか」と思いました。「運命の悲しみの暗闇の中を照らす細い一筋の光」と言ったらいいのでしょうか。そんな感想を持ちました。



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