喫茶店から始まる恋

@au08057406264

第1話

喫茶店ラテ・オーレこのカフェで出会った二人は結ばれるという。

それなりの人数で賑わっている中、ベルが鳴って、二人の女性が店内に入って来た。

『いらっしゃいませ』

鼻の下に髭を生やした男性が声をかけた。

『空いている席へご案内致します、どうぞこちらへ』

男性に誘導されて二人はそれに従った。

無事に座ると男性が言った。

『ご注文が決まりましたら、お知らせ下さい』

男性が去ると、女性の一人が喋った。

『ね、ダンディでしょ』

『まあね』

もう一人の女性が返した。

『この店に初めて入った時から気になってたのよね』

嬉しそうにボブカットの女性は言った。

『あんなイケおじ、そんじょそこら探したってそうはいないわ』

『つまり、お目当ての男性を紹介したくて私を店に誘ったのね』

ストレートロングの女性が彼女の動機を要約した。

『そういう事』

先程の鼻の下に髭を生やした男性はこの店の店長である。

何故そんな事が分かるかというと、二人もよく読む女性誌に紹介されていたからだ。

この間のお昼休み、昼食を社内で食べながら二人で談笑していた時、この店の話題になり、ボブカットの女性にせがまれて一緒に行く事になったのだ。

『で、紫苑は何にするの?』

テーブルに置いてあったメニューを開いて、ボブカットの女性が聞いた。

『スープパスタにしようかな、厚子は?』

ロングストレートの女性が答えて、聞き返した。

『じゃあ私、オムライスにするわ』

二人の食べたいものが決まると、紫苑が手を上げて

『すみません』

と、声を出して、店員を呼んだ。

ところが、やって来たのは先程の店長だった。

『お決まりでしょうか?』

と、厚子の方を見て訊ねたが、厚子自身は口をぱくぱくさせて何も言えないでいた。

そんな厚子に代わって紫苑が二人分の注文を告げると、了承した。 

『少々お待ち下さい』

そう言葉を添えて店長は去って行った。

『どうしたのよ、いつものあんたらしくない』

紫苑が言った。

『分かんない、急に頭真っ白になっちゃって』

厚子は答えた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

喫茶店から始まる恋 @au08057406264

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る