第12話 真実
しばらく歩いているといつ場面が変わったのか分からないがいつの間にか気が付くと鳥居の外だった。寝ていたわけでもなくただそこに突っ立っていた。
あれ、なんでここに立っているんだろ。先程まで何をしていたか分からない。何も思い出せない。思い出そうとするだけで頭がズキンズキンする。すると後ろから「志希くん!」と呼ぶ声が聞こえ振り返るとそこには親父がこっちだよと手を振っていてそれに向かって走っていく。
「親父、これからどこ行くの?」
「どこって、ゲームセンター行くんでしょ?」
「え、ああ、そうだった!たのしみだなー!」
「ははは、志希くんってばほんと面白い子だな〜」
どういうことだ。神社に立っていたこともゲームセンターに行くことも病院に行かなくていいこともなにがなんだかわからないままだけど忘れるぐらいのことなんだろう。とにかく今を楽しもう。
俺はねぇ親父と話しかけ何気ない会話で笑っていた。
こんな幸せがいつまでも続いてくれますように。
幸せになれよ、希。
たまには泣いて全てをぶちまけろ。志希が家族を侮辱するなと激怒した時のように。
「親父、なんか言った?」
「え?なんも言ってないよ?」
「なんかよくわかんないけど声が聞こえた!」
「ははは!漫画の読み過ぎじゃないか?」
「そうかもしれない、、、」
俺はその声に応えるように心の底から笑った。
父さん、俺今幸せだよ。
シキ 雨読弧々 @cocosan0
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