最終話:俺には姫だけしかいない。

「綺麗だから飲めそうだよな」


「ツッキー・・・試しに飲んでみ?」


「飲まなくても塩っぱいって分かるだろ、確かめなくても」


「目の中に入れても痛くない彼女が、飲めって言ってるんだから」

「飲んで〜・・・飲め〜〜〜〜〜の〜め〜」


「飲まねえよ・・・そんなに馬鹿じゃねえし」


「飲まないとエッチさせてやんない・・・」


「ガキみたいなこと言わないの」

「いいよ別に・・・させてくれなくても、ちょうどいいわ、いい休養になるから」


「え〜・・・しないつもり?」


「今、させないって言ったじゃないかよ」


「今夜、満月の夜だよ」

「逃げられないからね、ツッキー、逃げたら殺すから・・・」


「あいかわらず猟奇的だな・・・・」


「それにしても、海・・・綺麗だね、ツッキー」


「だから・・・綺麗な海だなって、さっき言っただろ?」

「極端なんだよ、気持ちの切り替わりが・・・」


「こんな綺麗な砂の上でエッチしたいって思わない?ツッキー」


「こんなところで裸で抱き合ってたら、誰かに見られるだろ」

「写メとか動画撮られてネットに流されるわ・・・」

「しかも、実際、砂だらけになるし・・・」


「綺麗な海でござるな〜」


「・・・・」

「おわっ・・・もう・・・びっくりした」

「ブ、ブッダー・・・なにやってんだよ?ブッダー」

「なんでおまえがここにいるんだよ・・・こんなところまで、ついてきたのか?」

「姫の髪飾りにGPSを仕込んでおいたでござるよ・・・」


「GPSだって?・・・いつの間に・・・」


「GPSとは「Global Positioning System」の略で、日本語では「全地球測位システム」とも訳されるのでござる・・・ 」


「いちいち説明してもらわなくてもそのくらい知ってるよ」

「姫にGPSくっつけるなんてルール違反だぞ・・・ったく」


「それがしも、おふたり同様、解放的になりたいと思ったでござるよ」

「あ〜っはっは〜」


「何があはっは〜だよ」


「そんなに姫が心配か?」

「そういうわけではござらんが・・・見張ってないと、また危険な目にあっても

いけないでござるからな・・・」


「俺がついてるから大丈夫だよ」


「なら、なおさらでござろう・・・余計、心配でござるよ」


「ふん、せっかく俺たちロマンチックやってんだから邪魔しないでくれる?」


「大丈夫でござるよ、夜になったら消えるでござるから・・・」

「南無阿弥陀仏・・・南無大師遍照金剛・・・おんなぼきゃ〜

べ〜ろしゃのう〜まかぼだら、まにはんどまじんばら、はらばりたや〜」


「どうでもいいから、早く消えろよ」


ブッダーが言った通り、ブッダーはどこかへ行ったみたいで

その夜は俺たちの前に現れなかった・・・あれでも気を使ってくれるんだ。


今夜はいつにも増して綺麗な満月が空に輝いていた。

俺と姫は同じ部屋だから姫が夜這いにくることはない・・・でも・・・


「ツッキー・・・エッチしよ」


それは変わらない。


「そう言や、最初の満月の夜も、そこから始まった」


「え?、エッチさせてくれるんだ?・・・」


「当たり前でしょ」

「ツッキーのこと愛してるんだもん・・・私たち一生仲良しでいようね」

「そうだな・・・ずっと一緒だな、俺たち」


「でも、ツッキー・・・浮気したら・・・」


「殺すんだよな、俺を・・・俺を愛してるくせに・・・」


「試しに、死んでみるツッキー」


「俺は死なない・・・なんでかっつうと俺は浮気なんかしないし」

「今もこれからも俺には姫だけしかいないんだから・・・」


「ツッキー・・・大好き、ん〜とりあえず今夜は半殺しくらいで許してあげる」


おしまい。

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フルムーンナイト。〜かぐや姫は満月の夜エロくなる〜 猫野 尻尾 @amanotenshi

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