循環

@jonya

第1話

やまない雨はないよなんて良く聞く言葉だが、そんな無責任なことを言われても何も解決しない。その場限りの寄り添ってるように見せかけたまやかしだ。

その雨をやませる方法を一緒に考えてくれる方がよっぽど親切だと思った。


11/5

20歳無職実家暮らし。なんて親不孝なのだろう。学生時代からのコンプレックスやらを引きずり目を背けた結果がこれだ。自分ですら受け入れきれない自分を一体誰が好き好んで一緒に居てくれるというのだろう。他でもない親と兄弟だ。

「おはよう」

「おそよう」

何回したかわからないこの挨拶。もはやこれをすると1日が始まったと体が錯覚する。

「お父さん明日健康診断だからいつもより夜ご飯早めにするよ」

なんて口にする母の言葉を耳にしながら洗面所で顔を洗い歯を磨いた。

いい加減現状から進まないとと思いつつ1歩が踏み出せないでいた。何からどうしたらいいかもわからない。

学生で言う勉強分からないけど、どこがわからないのかも分からないと言ったとこだろう。

ぐだぐだしていたら父が帰ってきて家族5人で食卓を囲み.いつも通り弟がその日あったことをマシンガントークする。家族仲はいい方だと思う。ギスギスしている空気を感じることなんて年に数回あるかないかだ。

縁の下の力持ちという言葉がぴったりのお父さん。専業主婦だけど怠けがちで世の中皆と友達になれるタイプのお母さん。口数は少ないが優しい兄にゲームとお喋りが大好きな弟。何ともバランスの良い家族。ここに私が存在しなければ良いのにと夜になると情けない現実に涙が零れる。


11/7

「癌かもしれません」

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