最終話 図録:作品解説
形ばかりの検視が終わると、身元がわかる遺体は遺族の元へ返却された。
犯人の両親からは相場よりもかなり多い慰謝料が払われた代わりに、みんな事件について口外しない旨の契約がなされた。
そして、何体かは身元不明なまま、犯人の両親から多額の寄付を受けた教会で保管されることになる。
犯人の両親が没したのち、教会は資金難からこれを美術館へ有償譲渡した。
奇しくも少年は生前訪れたかった美術館に「シリアルキラー・スケアクロウ特別展」の目玉作品として展示されることとなったわけである。
ロダンの彫刻は彼の展示位置からよく見えた。
そのため彼が「かわいそうな子」のままかは、いささかの疑問が残る。
(了)
作品名「かわいそうな子」 笹 慎 @sasa_makoto_2022
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