第7話

 しばらく観察していて、少年に足りないものは「かわいそう」だと思い至った。


 年齢の若い者、とりわけ小学生あたりの子供の死は「かわいそう」である必要がある。


 会った時から「剥製になること」を受け入れていた彼には、それが足りなかった。


 だから、念願の旅行に行く直前を選んだ。


 今までで一番心おどる作業であった。体内の血液、水分を液体樹脂と入れ替える。


 初めての願いは叶うことなく、命が消え、完璧な肉体だけが腐敗することもなく、この世に永遠に残る。完璧な「かわいそう」であった。


 私はこの仕事で最後にしようと思う。もうこれ以上のものは作ることはできないであろう。


 ただ、私が自死したら、きっとあの人は全ての作品を燃やして闇に葬ってしまうだろう。


 だから、私は通報する。自らの罪を。


 そして、彼らの到着を待たずに猟銃の引き金を引いた。

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