ロシア内戦とフランスの空母開発!
ロシア共和国がソビエトとの二重政権解消のために武力鎮圧に踏み切った事でロシアが1917年に内戦に突入。
フランス軍も共和国側を支援するために小規模の派兵もとい、新兵器の実験が行われた。
まぁ生産されたばかりの新型戦車達である。
まぁ1917年にT-34-85とほぼ同等のスペックを持つ戦車が投入されたことでフランス軍の居る地域は全戦全勝状態であり、問題はARL44擬きのHT-50が機械的信頼性の無さと重量オーバーによるトランスミッション系の故障で役立たずになることが多く、フランス軍からソミュア社には早期の改善を求められていた。
まぁ戦車だけでなく、戦中に開発されたファマス自動小銃の改良や新型重機関銃、新型軽機関銃等の兵器が次々に投入され、現地から戦果と改善点のレポートが毎日のように送られてきた。
そんなロシア内戦を尻目に、フランス空軍は500馬力あれば足りるとルノー1916式水冷V型12気筒ディーゼルエンジンを航空機様に改造したシェル7型水冷ガソリンエンジンを開発し、それを元に航空機開発が始まった。
ちなみにドイツを恐怖させた爆撃機のファルマン2爆撃機は戦争終結後に輸送機として再設計され、広い航続距離と高い積載能力でフランスからアフリカへの航空輸送を日夜行う民間輸送機にジョブチェンジしていた。
他の国でもファルマン2爆撃機の能力の高さに購入希望国が相次ぎ、戦中100機作られたファルマン2爆撃機も60機が各国に売却、民間転用かつ民間型に再生産されたのが100機近く、フランスとアフリカの空を飛んでいた。
あとアジア地域や中南米の植民地で活躍できるからと水上機に改造される機体もあり、爆撃機だけでなく色々な用途で活躍していた。
そんなフランス空軍は新型機を全金属製にするように製造会社に要望し、1年近くの開発期間を得て新型単葉戦闘機が出来上がった。
色々開発されたが、一番性能が良かったのがアメリカのP-26 ピーシューター擬きの戦闘機で全体的にまだ洗練されてないし、脚も太く、折りたたむ事も出来ないため、最高時速350キロとファルマン2爆撃機と同等の速度しか出せなかったが、軍部は十分だと判断した。
そして毎年の様にエンジンの性能が向上していくため、2年に1度機体を更新する必要が出て、フランス空軍は型落ちを友好国に頻繁に輸出することとなる。
「兵士の復員も終わり、ようやく日常が戻ってきましたな」
「ええ、まったくですよ」
フランス政界は大統領を過激派レイモン・ポアンカレの引きずり降ろしに成功し、史実のようにルール工業地帯の軍事占領の様な行動は回避に成功した。
新しい大統領には幻想会の息の根がかかった人物が就任し、議会でも幻想会所属議員が多く当選した。
まぁ主に企業による組織票での当選であるが……。
フランスは早速イギリスと協商関係の延長を約束し、北欧の国々と準軍事同盟を締結した。
北欧の国々は技術力も高く、それなりに国力があり、将来ドイツが復讐戦争を挑んできた際に支援しておけば戦線の分散を期待できるため関係を強化していた。
特にロシアから独立したフィンランドには格安でフランス国内で余っていた兵器を売りさばき、軍事力の足しになるように支援し、中国やロシアにも武器を大量に売却したことで、野党からフランス軍の武器庫を空にするつもりかと批判を受けたが、こうでもしないと大戦で作った余剰在庫を捌くことができないのだ。
まぁ余剰在庫を売ることでフランス経済界からは現政党に感謝され、与党の支持が高まったのは言うまでもない。
また政府は海軍に植民地警護の予算を付けて、新型艦の建造補助金を投入した。
またフランス軍は外国人部隊の兵員強化を行い、外国人部隊(ほぼ植民地人)の拡張をすることでフランス陸軍の低下した兵員数を補おうとした。
フランス海軍は政府からの補助金を受けて、ドイツからの賠償艦の近代化改修を行い始め、ドイツの巡洋戦艦2隻……ザイドリッツとデアフリンガー巡洋戦艦の2隻の空母改造計画が始動した。
巡洋戦艦なので艦の構造が細身になっているため、浮力を担保するために空母でも日本の巡洋戦艦から空母に改造された赤城を参考に、近代甲板としてイギリスが採用したような初期(6度の角度がついた飛行甲板)のアングルド・デッキを採用し、発艦事故を防ぐ構造や艦の機関部分にもフランス海軍が研究していたボイラーを搭載し、時速が向上。
最高時速27ノット、航続距離6800海里を達成し、大西洋を無補給で1往復と少し航海できる航続距離を手に入れることに成功する。
搭載機数は55機の予定で、搭載する艦載機はまだ技術力が足りないため複葉機の予定であった。
旧式の戦艦を航空機による魚雷攻撃で撃沈できることが演習で明らかになると転生者以外は大きな衝撃を受けた。
戦艦を撃沈できるのは戦艦という考えが根強く、潜水艦の魚雷によりオスマン帝国領海内でフランス戦艦が沈んだ為に魚雷攻撃の重要性が上がっていたが、航空魚雷による攻撃でも戦艦が沈む事が明らかになると海軍は上も下も大騒ぎ。
航空機による航空攻撃、軽巡洋艦や駆逐艦による対空弾幕、潜水艦による海上輸送網の遮断……それらを総合した通商破壊作戦こそフランス海軍の進むべき道だと考え、それに則した軍艦が作られていくことになり、無理して戦艦を作るよりも、実用的な空母2隻作った方が多用途で使えると判断された。
また海軍はもし戦争になったときに改造空母にできる大型輸送船の開発に民間も噛ませて、資源の輸送船として活用。
予算不足と戦いながらもできる範囲でイギリスやイタリア海軍と戦える船を作るのであった。
戦略研究所から幻想会の会合にて1917年における各国の工業力が算出できたと報告を受けた。
戦前の1915年のフランスを100とした場合、イギリスが125、イタリアが50、ドイツが160、アメリカが200、ロシアが85、日本が30だったが、1917年の終わりにはフランスが105、イギリスが115,イタリアが55、ドイツが85、アメリカが230、ロシアが45、日本が35となっている事が判明した。
ロシアは内戦中、ドイツは大戦の反動、イギリスも戦争時にアメリカから多額の費用を借りた事が災いし、生産力を落としていた。
この数値を見るとフランスは大戦参加国の中でも早期に経済の立て直しに成功したと言える。
「日本が伸びてないな」
「はい、第一次世界大戦が早期に終結したことで輸出が伸び悩み、設備投資をする前にボーナスタイムが終わったのであまり成長しなかったようです。ただ経済規模に見合う成長をしていますので、昭和恐慌が発生するのは関東大震災まで遅らせる事が出来るかもしれません」
「うむ……幻想会に参加している多くの者が日本の転生者だから元祖国の動向は気になるが……」
「太平洋戦争が起こった場合敵として戦わざる得ないですからな」
「太平洋に拡張する前に連合艦隊を叩き潰して制海権を奪取し、現実を見せるしか無いだろう」
「まぁ本土が焦土になる前に理性的な講和にさせるしか無いだろうな。今の経済力では日中戦争で普通に負ける可能性も高いですし」
「うむ……ただその頃にはドイツが復讐戦争を仕掛けてくるかもしれませんからな」
「ドイツ共和国へのテコ入れをして共和国が長く存続できるようにしませんと……」
「でもアメリカ発祥の大不況でそれどころじゃ無くなるだろうから、今はドイツも共産化しないことだけに注力すれば良いのでは?」
「それはそうだな。あとはフランス国内でも共産革命が起こらないように経済のテコ入れだ。好景気のうちは良いが、不況になったら何が起こるか分からないからな」
「政界もしっかり手綱を握ってませんと……史実のようにコロコロ政党が変更するのは政情不安を招きかねませんからね」
転生者達はこの先生き残れるのか!《大怪獣戦車バトル》 星野林 @yukkurireisa
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