読後の余韻に残るものが多い、自分なりの解釈のできる作品

不思議で難解ですが、だからこその面白さのある作品でした。

初読では、物語の中に、たくさんの「掴みどころ」が散りばめられているようで、けれどそれを掴み切るのは難しい、という印象を受けました。
それ故に何度も読み返して噛み締めることで、どんどん違った味わいが出てきたように思います。

青い蛇の抜け殻とその主、というのは、もちろん恋人を象徴しているのでしょうが、読み返すと「あり得ないこと」を意味しているようにも思えてきます。

「あり得ないこと」

それを恋人自身が自分の存在と重ねて口にしていたとしたら、たいへん切ないことです。
自分のような存在も、青い蛇も「あり得ないこと」だと。
私自身が「切ないこと」と思った方が、より物語へ感情移入できるので、そんな風に読んでいるようにも思いますが、
それでも、そういう余地を物語に残してくれているからこそ、こういう解釈が可能なのだなとも思います。

主人公が「あり得ないこと」とどこかで思いながらも青い蛇とその抜け殻を探しているのも、愛情とそれと反した信じきれない心情、その心情を否定したいがゆえの行動のように感じられて、読後に残るものが多い作品でした。