第2話 差別とは格差の可視化である。故にここは平等なのだ
私立篠宮高等学校。略して篠高。その学校は駅からはだいぶ離れていて、およそバスで15分程度かかる。ただ、全校生徒が寮で生活しているためそういったことは表立って問題にならない。
僕たち生徒の朝は早い。6時に起床して、7時までに身支度を済ませる。
そして8時までに食事と登校の準備。と大体のことはルールになっている。
そして、大事なルールが3つある。
1つ目は男子寮、女子寮ともに異性が許可なく入ること。
2つ目は校内に勉学に不必要なものを持ち込むこと。
3つ目。これが最も大事だ。この学校の体制で必要不可欠。そしてこれは暗黙の了解であり、決して教師陣の前で口に出してはいけない。
それは、ある意味旧時代の封建制度の名残で。れっきとした伝統ある格差社会だ。寮ごとのヒエラルキー。それは絶対遵守のルールである。
この学校には5つの寮がある。まず、白詰寮と黒弓寮。それぞれ、男子生徒と女子生徒の50%強がこの寮にいる。
次に、紅羽寮と草月寮。この寮は男子女子ともに45%弱が暮らしている。
そして最後、紫金寮。この寮は最も特別で。名目上男子と女子が同じ寮にいるが、実際には鍵付きの扉があり。その鍵は寮の管理人が持っているものと校長室で管理されているものしかない。
これらに生徒を分ける基準が主に2つある。それは学力と寄付金だ。
この学校は、国のそこらで働く政治家やら、社長やらを多く排出している名門中の名門である。そして、有名事業の社長の御子息ご令嬢はこぞってこの学校に入学したがるのである。それに伴って偏差値も高くなっていく。
それ故にこの学校のカーストでまず重視されるものが学力だ。
また、この学校は私立である。だから、当たり前だが学校は自ら金を作り出し、それで運営しなければならない。しかし、この学校は別に金に問題があるわけではない。まあ 、あるに越したことはないが。
つい先程も言った学校としてのブランド、私立ということでの寄付金。この2つの理由からどうにも生徒は有名な資産家や政治家などの子供や孫が多い。
つまり、将来的に日本の重要な分野で天辺に立つ人物が多い。
それすなわちどういうことか。そう、交友関係。学生のうちから、有名企業、利になりそうな人、特別優秀な人。そんな人たちが常に有利。それを見極めるため所属している寮がわかりやすい指標となっているのだ。
ちなみに僕は白詰寮である。
そして、彼女、冬木茉由は紫金寮に入寮した。
これが一番の原因であっただろう。
彼女は、入学当初からひどく嫌われていた。
リトルドリームジャーニー 桜无庵紗樹 @Sakuranaann_saju
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