小さな願い。大きな運命。

初めてこの話を読んだとき、すごく人間臭い話だなと思った。
ファンタジーと聞くと、魔法やドラゴンみたいなシステム面を想像するが、この話は人間を書いている。
それも、どの登場人物も癖のある過去を持つキャラばかり。その上で書いているのは、人としての営みであり、等身大の願いなのだ。

普通に生きられない人間が、普通に生きて、死ぬ。
自由に生きられない人間が、自由に生きて、死ぬ。
そして、大切な人の隣で生きていたい。というささやかな願い。

そんな願いを叶える為、彼らは伝説の花“シンフェリア”を咲かせる旅に出る。

全編を通して感じるのは、人との出会いや、繋がりを大切にしているところだと思う。
数奇な運命で若女将ナハスの宿屋アルブールにやってきた彼らは、女将の先見(予知)により、それぞれが花を咲かせるために必要なピースとして一蓮托生の旅に出る。
そして、旅の中でそれぞれの思いがぶつかり、繋がりを深めながら目的の地へ向かう。
愛と恋、希望と絶望。各々の思いが絡み合いながら編まれていく言葉の詩篇は、確かに彼らの人生を紡いでいる。

果たして、彼らはシンフェリアを咲かせることは出来るのか。
彼らの願いは、未来はどうなっていくのか。
最後まで仕組まれた人智を超える運命と、小さな人の願いを是非、ご一読ください。

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