第4話 Bitter-Sweet(4)

久しぶりの二人そろっての休日。



高宮と夏希はあんこを買ったペットショップで併設されているトリミングの店に行った。



そこでの待ち時間。



隣のペットショップで時間をつぶしていた。




「わ~~~。 ネコもかわいいね。 みて。 目がブルーだよ、」



夏希はかわいいイヌネコたちに夢中だった。



いつもここに来ると彼女がまた犬や猫を欲しがるんじゃないかと高宮はハラハラしていた。



「あ~~~、ネコも欲しくなっちゃうなー。」



と、すぐにそんなことを言う彼女を毎回止めるのがめんどうなくらいだった。



その時。



夏希はひとつのペットボックスの前で立ち止まり、動かなくなってしまった。



「なに?」



高宮がそこに行くと、



「ね、隆ちゃん。 見て。 このコ。」



指をさした先を見ると、



チワワが1匹。




しかも。



もんのすごくふてぶてしい顔をしてた。



「え? チワワ?  チワワってこんな顔だった???」



と言うくらい



ブサイクだった・・



普通はウルウルする真っ黒な瞳がかわいいチワワだが



このチワワはふてくされたように目はいつも据わったまま状態。



鼻は普通のチワワよりも若干潰れ気味で上を向いている。



毛色も真っ白というわけではなく中途半端な茶色のブチが入っていて



どう見ても



売れ残ってる感が丸出しだった。



「しかも。 もう2歳じゃない。 完全に売れ残ってるんだよ、」



高宮はプレートを見た。



「う~~~ん。 どう見てもかわいくないもんね・・」



夏希も腕組みをしてそう言った。



そのチワワは二人を



フン



と言ったように見て丸くなって眠ってしまった。



人に媚びてくることもなく



まるで馬鹿にしているかのように。



「この態度もなー。 ちょっと小馬鹿にしてる感じだしな、」



高宮が言うと



「あー、確かに。 ちょっと隆ちゃんに似てるね・・」



夏希はそのボックスを食い入るように見て、さりげなく非常に失礼な発言をした。



「は????」



憤慨する高宮に構わず、



「すみませーん。 このコ。 ひょっとして売れ残ってるんですかー?」



夏希はそこにいた店員に尋ねた。



彼女は困ったように



「そうなんですよー。 いつもお世話になってるブリーダーさんから頼まれて仕入れることになったんですけど。 ほかにこのコの兄弟もいたんですけど、ほかの子は普通にかわいくてすぐに売れたんですけどね。 このコだけ・・」



と言った。



「血統はすごくよくて。 お父さんもお母さんも賞を取るくらいなんですよ。 でも売れなくて2歳になっちゃって。 値下げしたんですけどねー。」



「ふううううん、」



夏希はまたもそのブサイクチワワをじーっと見た。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年12月19日 07:00
2024年12月20日 07:00
2024年12月21日 07:00

My sweet home~恋のカタチ。27--chocolate brown-- 森野日菜 @Hina-green

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る