第3話 怠けじゃない証明
「また布団の中で一日が終わってしまうのだろうか。」
そんな絶望感を抱えながら過ごす朝が、これまで何度あっただろう。だけど、少しずつ自分なりの工夫を見つけていくことで、以前よりほんの少しだけ楽に朝を迎えられるようになった。
医師からのアドバイスで、生活リズムを整える努力を始めた。毎晩同じ時間に布団に入る。朝、すぐに起きられなくても、カーテンを開けて部屋に光を取り込む。小さなことから始めたが、その積み重ねが自分を少しずつ変えてくれた。
「起きられなかった自分」を責めるのをやめて、「今日は布団の中で少し体を起こせた」といった小さな成功を自分に認めるようにした。これだけでも心が軽くなるのを感じた。
また、理解者がいることがどれほど大切かを知った。学校の保健室の先生に相談したとき、初めて「あなたが頑張っているのは分かるよ」と言われた。その一言にどれほど救われたことか。誰かに自分の症状や気持ちを理解してもらうことが、これほどまでに力を与えてくれるとは思わなかった。
家族にも少しずつ話をした。父に理解してもらうのはまだ難しいけれど、母は「自分で病気を受け入れるだけでもすごいことだね」と言ってくれた。そうした会話の中で、少しずつ「怠け」という言葉が自分を傷つけるものではなくなっていった。
今では、朝がつらい日が続いても、「怠けている」と自分を責めることはなくなった。それどころか、自分なりに戦っている証として受け入れるようになった。そして、同じ症状を抱える誰かに「あなたは怠け者じゃない」と伝えたいと思うようになった。
このエッセイを書くことで、自分の経験が誰かの心を軽くする一助になれば嬉しい。怠けと誤解されても、見えないところで戦っている人たちはたくさんいる。私たちの症状は見えないけれど、努力と希望は確かに存在している。
もしこのエッセイを読んでいるあなたが、「怠け」と誤解されて苦しんでいるなら、どうか自分を責めないでほしい。自分を信じて、少しずつできることを増やしていこう。私たちは怠けているのではない。ただ、少し違うペースで生きているだけなのだから。
これって怠けですか? 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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