移民先も沈む
@2321umoyukaku_2319
避難民を乗せた船の上で
海に沈むアイランドからの避難民を乗せた船には男も乗っていた。最初は私たち女と一緒に乗船したはずなのだ。でも、今はいない。移住先に新しい男を受け入れる余地はないってことで、船から放り出された。可哀想に男どもは、海へとポイポイ捨てられた。皆、泣き叫んで抵抗したけど人工知能で制御された船員ロボットは情け容赦なかった。女で良かった、と女主人公で本作品の語り手である私は思った。
だけど、避難先が近づくと、ちょっと様子がおかしくなってきた。妙な噂が船内に流れ始めた。私たちが暮らす予定の土地も、何処かと合併する! みたいな話が出てきたようなのだ。何だか落ち着かない。私たちはアイランドからデータを持って来ている。それはアイランドで所持していた財産と言える大切なものだ。それを移住した先に移転するつもりなのに、肝心の移住先の将来が不透明なのは困る。
私は、移住予定の土地から派遣されてきた私たちの世話係に、今後の情勢を訊いてみた。訊かれた相手も先のことが分からないようで、私たちと同じくらい、いや、私たちよりも心配していた。
要するに、何も分からないのだ。それなら悩んでも仕方がない。私は甲板に立ち、船の進む先へ目をやった。何も見えない。それでも船は往く。
移民先も沈む @2321umoyukaku_2319
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます