第4話クリプレに妖怪を
豪華な社長室でぬら.りひょん氏は忙しそうに仕事に夢中になっていた。
ノックの音がし、美しい秘書がコーヒーを持って入って来た。
「ああ、ありがとう。いい香りだ。コーヒー豆を換えたのかな?。」
「さすが社長。よくおわかりですね。また新しい企画ですか?。」
「ああ、もう12月だからね。こういうものには時期にあったイベントが大切だからね。」
職場の友人達がカラオケルームで盛り上がっている。
「ねえ、この広告、良いじゃない。」
「『妖怪レンタル彼?彼女をクリプレに。』っていう広告?。」
「そう、ミキ。結婚式直前に彼氏の二股がばれて、結婚式取り止めになってから元気ないでしょ。」
「元気無いけど。こういうのは時間が必要でしょ。」
「時間だけじゃダメ。きっかけも必要よ。」
「それで?。」
「皆でお金を出し合ってミキに『妖怪レンタル彼?彼女』をクリプレしない?。」
「あ、良いかも。」
職場の友人たちはミキへのクリスマスプレゼントについて真剣に話し合った。
クリスマスイブ当日。
「ツリーの下で待っているように。クリプレがやってくるから。ー職場一同よりー」
という、メールの指示でミキはツリーの下に立っていた。
「お待たせ。君がミキちゃんだよね。僕は伊綱三郎。サブって呼んでよ。」
ーえー。渋くてカッコいい。私のタイプ。しかも、イケボ。でも、どうして?。ー
「ミキちゃんは職場の人達に好かれてるんだね。『妖怪レンタル彼?彼女をクリプレに。』って知ってる?。俺は君のクリプレ。さあ、今日はデートを楽しもう。先ずは、麻布台ヒルズのクリスマスマーケットを楽しもう。」
サブの差し出した腕にミキは自然に手を差し出して、二人は麻布台ヒルズのクリスマスマーケットに向かって歩いていった。
「美しいイルミネーションのなか、国内外の人気店を訪れるのはとても楽しいわね。」
「ここのお店のケーキはお勧めだよ。食べて行く?。」
ー本当にイケボ。見た目も好みだし。優しいし。こんな人と結婚出来たら良いのに。ー
「ええ、美味しそう。」
二人はケーキとコーヒーを注文した。
「この後はヒルズの高層ビルの最上階のフレンチレストランを予約してあるんだ。」
「ステキ。今日は夢のようなクリスマスになったわ。」
「僕もだよ。職場のお友達が僕を選んでくれて、ラッキーだったよ。」
「お上手ね。」
ミキは頬を赤く染める。
「本気さ。」
サブのイケボがさく裂する。
二人のクリスマスイブはまだ続く。
ヒルズの高層ビルの最上階のフレンチレストランの食事は夢のように美味しく、夢のような景色、夢のようにステキなサブ。
今度は、自分でサブをレンタルしようと、心に誓うミキだった。
次の日、ミキは職場のみんなに、感謝を伝えると共に、決意を語っていた。
「みんな、最高にステキなクリプレをありがとう。私、理想の男性に巡り会えたわ。みんなのおかげよ。私、彼をレンタルするわ。そして、きっと結婚する。」
職場一同はミキが以前に推し活に夢中になっていた日々を思い出してしまっていた。
豪華な社長室でぬら.りひょん氏は秘書と二人で乾杯していた。
「『妖怪レンタル彼?彼女をクリプレに。』の企画、大当たりでしたね。」
「そうだな。だが、まだまだこれからだ。人間が妖怪婚を歓迎したように、人間と結婚したいと希望している妖怪が我々の中にも大勢いるからね。それに、妖怪には長年の異性経験がある。人間の異性が妖怪に夢中になるのは当たり前さ。妖怪の一生は長い、長すぎる。だから、妖怪には伴侶が必要なんだ。」
「人間からはレンタル料、妖怪からは登録料がとれるこのビジネスは大成功でしょう?。」
「まだこのビジネスは伸びる。先ず手始めにアメリカにも『妖怪レンタル彼?彼女』の支店を造るぞ。」
二人はもう一度乾杯した。
妖怪レンタル彼?彼女 高井希 @nozomitakai
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