エピローグ
~1年後・再びダンジョンへ~
オレと優汰は見習いアドベンチュラ-として、ダンジョンに繋がるワープゲートの前に立った。
半年前の見習いアドベンチュラ-試験はいろいろと想定外のことはあったけど、Bランクモンスターを倒した実績も評価されて特別に合格とされた。
それからオレたちはプロアドベンチュラ-からの指導をうけながら、ダンジョンにも何度か訪れた。試験のような想定外のできごとはこれまでに起きていない。
一角教官は帰還後すぐにダンジョンアドベンチュラ-委員会が
飛翔兄ちゃんは、今も入院中だ。
だったらオレのやることは決まっている。プロアドベンチュラ-になって、飛翔兄ちゃんを助けられるアイテムを見つけてみせる。まだまだダンジョンには、人類が見たこともない不思議なアイテムだってあるんだ。
今日、オレと優汰は見習いアドベンチュラ-のみでダンジョンを攻略する訓練を始める。
優汰は相変わらず不安そうな顔だ。
「緊張するなぁ。ボクらだけでダンジョンに行くなんて」
「初心者向けダンジョンだしオレたちなら問題ないさ」
「でも、半年前みたいなことが起きないとは言い切れないだろ?」
優汰はそう言うけど、オレはそこまで心配していない。
「あんなことはもう起きないさ」
「なんでそう言い切れるのさ?」
「オレずっと考えていたんだ。なんであんなことが起きたのかって」
「それはボクも気になっていたし、委員会でも調べているみたいだけど……」
オレは自分の推理を披露することにした。
「オレ思うんだけどな。あれはきっと飛翔兄ちゃんがオレに助けてほしいって願ったから起きたんだ。だから黒の洞窟とか
「
「あれはたぶん、飛翔兄ちゃんを操っていた呪いの抵抗」
「意味わかんないんだけど?」
「あのダンジョンのボスは飛翔兄ちゃんじゃなかったと思うんだ。だって、オレたちは飛翔兄ちゃんを殺していないのに、ワープゲートが出現したじゃん」
「じゃあ、誰がボスだったって思うの?」
「ボスは飛翔兄ちゃんを操っていた呪いそのものだったと思う」
「呪いそのものがボスだったっていうの? まさかそんな……」
「オレの名推理、つじつまは合うだろ?」
ニヤリと笑ったオレの言葉を、背後からイヤミたらしい声が否定した。
「そういうのは推理じゃなく、妄想というんだ馬鹿め」
振り返ると、挑英と蒼ちゃんがいた。蒼ちゃんがにっこり笑って手を振った。
「半年ぶりね、疾翔くん、優汰くん」
一方、挑英は舌打ちした。
「ちっ、今日は四人でダンジョン探索をすると聞いていたが残り二人はお前らか」
「オレたちに文句でもあるのか?」
「優汰に文句はない。ダンジョンの知識は豊富だし、半年前も助けられたからな」
「オレには文句があると言わんばかりに聞こえるんだが?」
「さてな。馬鹿なりに考えてみたらどうだ」
くっ! どうだろうね、半年ぶりでも相変わらずの態度!
蒼ちゃんが言った。
「もう、二人とも本当にやめてよ。私たちはこれからダンジョンに行くのよ? 私は早くプロになって、もう一度万能の霊薬
蒼ちゃんの弟の病気は治っていない。それでも、彼女は前向きに頑張ろうとしている。
「じゃあ、行こうぜ!」
オレは青く輝くワープゲートに手をかけた。
今はまだ、オレたちは初心者向けダンジョンにしか入ることを許されない。
だけど、いつか最上級者向けダンジョンにも入って、飛翔兄ちゃんや、蒼ちゃんの弟を助けるアイテムを見つけてみせる。
だって、オレは志音疾翔。最高のダンジョンアドベンチュラ-になる男だからな!
冒険!ダンジョンアドベンチュラ- ~お宝探しと危険なモンスターたち~ ななくさ ゆう @nanakusa-yuuya
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