クリスマスイブの奇跡。〜幸せの2分35秒〜

最終話：幸せの2分35秒。

最近、葉見（はみる）の心に魂に変化がではじめた。

以前ならラブドールから出ようと思ったらでられたらしいけど、今はどんなに

頑張っても出られないらしい。

もしかしたらラブドールと同化しちゃった？

同化じゃなかったらなに？・・・人間だった時の葉見がラブドールを乗っ取った？

取り憑いた？

「圭ちゃん私、魂がもう外のでられなくなっちゃった」

「完全に人間になっちゃったとか・・・もうラブドールのかけらも残ってないよ」

「だけど、俺はそのほうがいいかな」

「ラブドールとは別れることはできても葉見とはもう離れられないもん」

「葉見と別れたら俺、今更生きていけないよ」

「私も万が一そんなことになったら絶対後悔すると思うんだよね、そんなことに

なる前に圭ちゃん・・・」

「私は圭ちゃんに一度も可愛がってもらえないまま消えちゃうの怖いの 」

「もうそんなことにはならないよ・・・葉見はもう葉見でしかないんだから」

「約束どおりエッチしよう」

「うん・・・え？今？」

「そうだよ・・・ほんと言うと葉見に対する欲求がピークまで達してるんだ」

「俺のダムはいつ決壊してもおかしくないよ」

「葉見・・・」

愛しくてたまらない。

そう思った瞬間、俺は自分の気持ちを押されられなくて葉見をソファに

押し倒した。

「いい？」

「いいよ・・・けど、シャワーしてないし・・・」

「そんなことしてたらせっかくの雰囲気ぶち壊し」

「今、するから・・・葉見を犯す」

こうなるともう止められない。

なにをどうして、どうやって・・・葉見の服を脱がしたまでははっきり

覚えている・・・あ、パンツも、これは忘れない、あとは無我夢中。

俺の耳元にかかる葉見の吐息。

ラブドールなのに息なんかするんだ・・・そうか息しなきゃ喋れないよな・・・。

そんな愚にもつかないことを思いながら葉見の漏らす吐息に興奮した。

愛撫も前戯もなかった・・・ただ焦るばかり、無我夢中の俺。

「圭ちゃん・・・なにしてるの？」

「あ、ごめん・・・いろいろ」

「いろいろってなに？」

「あのさ・・・あのぉ・・・場所が定まらなくて・・・？」

「え〜？・・・ここだよ・・・ここ」

「分からないなら見ていいよ」

ちょっとためらったけど葉見にそう言われて俺は彼女の両足を広げて

大事なところを見た。

な、なんと・・・うそだろ？・・・そこはもうホールパーツじゃなくて

人間の女性そのものだった。

まじでか？・・・・葉見はもう完璧に女になってるじゃないか？

ラブドールはもうどこにもいないんだ。

「わ、分かった・・・あ、ありがとう、もう大丈夫だから、あはは」

で結局、俺はなんとかかんとか葉見とひとつになることができた。

自分が望んだ願いを果たせたことで葉見は泣いた。

でもって俺は俺なりにがんばったんだ・・・頑張って頑張って2分35秒が

限界だった。

なにがって？俺の耐久時間・・・2分35秒で発射してしまった。

だから葉見がいい気持ちでエクスタシーを迎えるにはこれじゃ程遠いんだろな。

あとで検索してみたら、だいたい男の場合は「5分未満」が全体の84.5％らしい。

3～5分程度であれば深刻に悩まなくてもいいのかもしれないが、俺はそこまでも

届いてないし実際はそんなんじゃ足りないんだ。

だから俺の場合は最低でも15分は維持しないと葉見を満足させることはできない。

理想的に言えば30分は持たさないと・・・。

それをクリアするためには回数と敬遠を増やすしかないみたいだ。

いつかは葉見を満足させてみせる・・・夢見る少年のように誓う俺だった。

でも、ふたりにとってはその繋がっていた僅かな2分35秒がとっても幸せな

時間だった。

で、結局の話、葉見は俺とひとつになってから、それが要因なのかどうか

分からないがラブドールから魂が離れるって現象が起こらなくなった。

いいことなんだけどね。

こんな奇跡的なこと誰が起こるなんて・・・。

なにより俺のマンションには、今も人間になったラブドールが・・・

いや、もうラブドールは、どこにもいない・・・葉見って彼女が、恋人がいる。

イヴの夜に起こった不思議な出来事・・・いったい誰が信じるかな、こんな話。

俺だって時々信じられなくなる時があるって言うのに・・・。

毎年やって来るクリスマスイブ・・・ラブドールに入った葉見がはじめて祝って

くれたように、今夜のイブもクリスマスと俺の誕生日を祝ってくれている・・・。

そうそう俺は頑張って今は30分は維持できるようになった、だから幸せに30分だ。

そして葉見は女としてのエクスタシーを感じるようになっていた。

今度こそおしまい。