第23話 繰り返す悪夢

耳をつんざくクラクション。


振り返ると、そこには、あの日と同じ光景が広がっていた。車のライトに照らされ、凍りついたように立ち尽くす響。


「響っ!」


後先考えずに、走り出した。


事故の記憶が、脳裏をかすめる。轢かれそうな私を助けた彼。今度は、彼を守るのは私。


走る。痛いほどに走る。


飛び出すように、響の身体を横から押し倒す。


轟音。風。そして、心臓の鼓動。


「間に合って…!」


私にできることは、せめてこれだけ。


彼が無事であることを祈り、私は目を閉じ衝撃に備えた。

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癒えない傷 @yunomy

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