第22話 デジャヴ

凛の様子がおかしかった。


前回のように完全に壊れている訳では無い。

しかし、少し刺激を与えればすぐにでも崩れる気がしてたまらない。

足取り、表情、口調。全てが不安だ。


不穏な動きに、僕は彼女の後を追った。夜の街。冷たいアスファルトの上を、彼女は不安定に歩いていく。


突然、車のライトが僕を照らす。まぶしい光。


「ヤバっ…!」


壊れた右足のせいで走ることが出来ない。クラクションが鳴り響く。


光の中、僕は彼女に謝罪していた。

一度ならず二度までも、癒えない傷を残してしまうことを。


夜の街は、静かに、そして冷たく続いていく。

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