第21話 渦巻く欲望

日に日に、欲望は強くなっていく。


響への感情。罪。欲望。それらが互いに絡み合い、私の心を蝕む。触れたい。抱きしめたい。でも同時に、自分自身を激しく憎んでいく。


「...私は、いったい......」


鏡に映る自分の顔は、見知らぬ人のようだった。目は空虚で、唇は震えている。


響を傷つけた自分。響の夢を奪った自分。それでも、彼への感情は日に日に強くなる。


これは罪なのか。それとも愛なのか。


もう、区別がつかない。


ただ、渦の中心にいる私がいるだけ。


外の風が、カーテンをわずかに揺らす。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る