第2話 冒険者ギルドへ、そしてモフモフ

 「はぁ、はぁ、はぁ、遠すぎる…。やっと街が見えてきたと思ったら全然近付く気がしない」


 ――でも、この世界に来る前よりかは歩けてるよな、かといってもな~。そうだこんなときこそ!スライムを召喚や!


 俺は永遠と続きそうな街までの道を見てある妙案を思い付く。スライムをインベントリから召喚すると、俺の頭の上に乗る様に指示をし、スキル跳ねる!を使用すると、街まで足が地面につく度に跳ねる!を使用しポゴの様に跳ねて街まで行く。


 「おほほほーい!いいね!これ!ほーら!もう着いちゃったよ!最高やんけ!それじゃあ召喚解除!」


 街の立派な外壁、門の前まで着いた俺は街の中に入ろうとするが街の門兵に止められてしまう。


 「すいません。まずはあそこで身分証明または、1万G払って頂いての街への入場となっておりますのでどうか先にそちらの方にお願いします」

 

 「すいません、分かりました」


 ――なんか俺の身体を見てびっくりしてたな、まあ色々とデカイし仕方ないか。

 取り敢えず列に並ぼう。



 「身分証はございますか?」


 「いえ、ないです」


 「それなら1万Gと、こちらに名…いえ名前を言って貰えますか?」


 「はい…ジュンです」


 疑問に思いながら名前だけを伝える。


 「少々お待ち下さい」


 俺はポケットに手を突っ込み、お金よ!1万Gよこい!と念じると1枚の金貨が出てきた。ここで金貨1枚が1万Gということが分かった。俺は金貨を戻ってきた門兵に渡す。


 「通って良いですよ~」と少し震えた声で言われ、俺は街の中に入っていく。


 街の中はザ・中世ヨーロッパ風の建物に、石畳のきちんと舗装された道だ。


 俺は街に入ると早速、冒険者ギルドなるものを探しに行くが、さっきの門兵の人にでも聞いておけば良かったと後悔をしている。


 冒険者ギルドを探すために街の中を歩いていると昔、というより前の世界でも歩くだけで注目を浴びていた。

 それはデブだからなのか、それとも案外他人から見れば太っている自分も結構イケてるのかもと思ってしまう。


 「あった!」


 少し大きめの家の外観に小さい看板に居酒屋と、表に『冒険者ギルド』と異世界語で書かれた看板がでかでかと壁に掛けられている。


 ――思ったより普通だな、もっと仰々しい外観かと思ったが親しみやすい感じの木製の家って感じか。それに居酒屋って書いてあるし入ってみるか。


 「ヴァルド王国ヴィーゼ支部の冒険者ギルドへようこそ!お客様!何のご用でしょうか?」


 俺が冒険者ギルドに入ると、前方にある受付カウンターから女の人の大きめの声が飛んでくる。

 中は前に受付カウンター、その左側には居酒屋が隣接して、その前には机と椅子が並べられている。


 俺は受付に行き、「冒険者登録をするために来ました」と言う。


 「ではお名前を教えてください」


 「ジュンです」


 「はいありがとうございます」


 「ではこちらのブロンズカードに、あなたの名前を記載してきますので少々お待ち下さい」


 そう言って受付のお姉さんは俺に銅色のカードを見せると奥の方へと歩いていく。


 俺は横にある居酒屋で、計1000Gのビールとつまみを頼むと後ろの方にある大きい丸い木のテーブルの傍にある木の椅子に腰掛け背もたれに身体を預けると、『ミシミシッ!』と木の軋む音が聞こえる。

 

 「こちらビールと、おつまみのスライムの唐揚げでございます」


 運ばれてきたのは、木のビールジョッキに入ったきめ細かい泡が見えるビールと、1口サイズに切り分けられたスライムの唐揚げだ。


 ――スライムの唐揚げ!?なんだそれ!スライムって捕まえたやつだよな?食えるのか。

 それよりも周りの人達が俺のことを見ながらヒソヒソ話してるけど、なんなんだ?言いたいことがあるなら言えばいいのに。

 まあそれよりも、ひさしぶりのビール!飲むぞ!



 『ゴクッ!ゴキュ!ゴキュ!ゴキュ!』「かぁーーーー!!」



 ――シュワーーー!!と喉に当たる炭酸の刺激が気持ちいい!!

 こっちの世界にもビールがあって良かった!それに喉ごしも素晴らしいね!よし!次はこのスライムの唐揚げだ!


 俺は喉を鳴らして、ええいままよと思いながら食べると、『カリッ!』と衣の音が鳴り後に続く様に噛み締めると『コリッ!』と軟骨を食べているかのような食感と、染み込んだ香ばしいタレの味が口一杯に広がる。


 「うっっほほほほーーい!!」


 思わず変な声が出てしまい俺は口を手で塞いでようやく気付く、このモフモフに。

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スキル・《猫まんま》を手に入れたデブ猫は、異世界を全力で楽しむ! ULU @Nereis

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