異世界最強の魔女、五大神官に日本へ追放されたけどネガティブ感情エネルギーで無限パワーアップ!?ダンジョン配信でいずれ全員に復讐する!

カフェオレ

第1話 配信対決――ウィンザー大陸の魔女ランディエル

北海道札幌市郊外

ダンジョン——死骸の奈落 

地下一层



今の私は、全身の違和感を必死にこらえながら、マネージャーが念入りにデザインした「TCバトルスーツ MK12」を着ている。


フリル付きの白い戦闘用ミニスカートに、腰に結ばれたリボンが細い腰を強調。スカートの裾から覗くスラリとした脚に白いショートブーツを合わせ、見る者のスカートの中を覗きたいという欲望を煽る。

茶色のロングストレートはサイドにシンプルに編み込み、顔周りに垂れる数本の髪が自然な柔らかさを演出。耳元には小さなダイヤが散りばめられた上品な真珠のイヤリング。白く透明感のある肌にピッタリだ。


……この姿は、ウィンザー大陸最強の魔女である私、ケイン・ランディエルの信念に反する。

五大聖女神官に追放される際、最もお気に入りだった「ヴァルキリーの鎧」を持って来られなかったのが悔やまれる。

こんなか弱く飾り立てた美少女の格好、仕方ない事情がなければ死んでも着たくはなかった。


遠くで片手に剣を構え、高慢な笑みを浮かべる美少女と、目の前に散らばる20にも満たないゾンビの残骸を見比べながら、私は冷笑を浮かべ、スカートを整えながらあえて無念そうに両手を広げた。

「負けたわ」

眼の前には20体に満たないゾンビの死体が転がっているが、彼女はわずか1分で37体を倒した。私の数倍だ。


もちろん、ウィンザー大陸最強の魔女である私にとって、転生し全盛期の0.1%の力しか使えない今の状態でも、目の前の小娘など相手にもならない。

最初から勝つつもりなどなかっただけ。


360度カメラで上空から撮影するドローンは、遅延なく私たちの配信対決を視聴者たちにリアルタイムで届けていた。


荒木涼子の配信コメント:

マッキー:【15000円】「今週の生活費です。お納めください」

サボテン博士:【5000円】「最初は500円のつもりだったけど、涼子ちゃんの剣術があまりにもカッコよくて、10倍にしました!」

天ぷらロボ:【3200円】「俺、まだ中学生だけど、これが全財産。応援します」

シオン:【1000円】:「あのランディエルとかいう悪女の配信から来ました!これからは涼子ちゃん一筋!」


ランディエルの配信コメント:

ドクターペッパー:「最強の魔女だって?負けてんじゃんw」

ほたる:「お恥ずかしいこと!」


ランディエル(リアルタイム返信):

「愚かな人間どもよ、黙れ」

もしここがウィンザー大陸なら、こんな騒がしい人間どもを相手にする気もなく、一振りで数千を叩き切っていただろう。しかし、力を取り戻すためには、彼らとのやり取りもやむを得ない。


コメント

眠り猫:「相変わらず口が悪いな……見た目は美人なのに、話し始めると不快になる」

とんこつキング:「こんな暴力的かつ口悪い配信者が、よくも7566人も登録者を集めたんだね」

ユウタ:「罵倒されるのも一つの楽しみだよね。これが女王様スタイルってやつだ!もし現実ででもムチで叩いてくれたら完璧!」


ランディエル(リアルタイム返信):

「画面の向こうで喚くだけのクズども、続きを見たいなら無駄口を叩くな」

「それと、忠告しておく。この配信を高画質モードで見たければ、1000円を投げ銭しろ」

投げ銭の通知

【ユウタ】投げ銭1000円

【焼きそばカレー】投げ銭1000円

【とんこつキング】投げ銭1000円


一連のやりとりをこなしながら、私の視界には次々と数字が浮かび上がる。

• 小野からの怒りのエネルギー:+120

• 青木からの怒りのエネルギー:+210

• 宮本からの劣等感のエネルギー:+104

• 林内からの抑うつ感のエネルギー:+155

……


ケイン・ランディエル(封印一時解除進捗率:83.2%)

ケイン・ランディエル(完全解放進捗率:0.11%)


ウィンザー大陸最強の魔女として、たとえ力を封印され、ここに追放されたとしても——

私は他者のネガティブ感情からエネルギーを吸収し、自らの力を高めるという固有能力をまだ持っている。

この3年間、この固有能力のおかげで、少しずつかつての力を取り戻し、封印解除に挑んできた。

それも私がダンジョン配信者という職業に身を投じた唯一の理由。

私を封印から解き放つ鍵は、視聴者にかかっている!


「さあ、約束を果たす時が来たな、三流冒険者」

剣を鞘に納めた荒木涼子が一歩踏み出し、少女特有の甘い香りを漂わせながら私の目の前に現れる。戦闘後のほのかな赤みがさした美しい顔、揺れるポニーテール。その愛らしい顔立ちには、口元に浮かぶ軽い笑みとともに私を見下すような視線があった。


その光景は、私の記憶にあるキロル公国の聖女、五大神官の一人であり、私を追放するために手を組んだ者たちの中でも特に印象深い、ポニーテールを好む長身の聖女を思い起こさせた。


意識的に抑えようとしても、瞬間的に殺意が目に宿るのを止められなかった。

(ふーん、忌々しいポニテ……荒木涼子というこの少女、どっかの聖女ローリィと似ている気がする…チッ)


かつて、私の力を封印し、この「日本」という国に追放するため、聖女たちは全ての力を使い果たした。が、私のα禁呪の前では彼女たちには逆らう力がなく、むしろ彼女たちのほうが酷い目に遭ったはずだ。恐らくだが、彼女たちもこの異世界に放逐され、その過程で記憶の大半を失ったんだろう

私の知る限り、彼女たちがこの世界で普通の人間であるはずがなく、少しずつ記憶を取り戻しつつあるのだろう。


冷静になれ、私……

力を取り戻すためにも…耐えなくちゃ……


私は殺意を必死に抑え、微笑みながら計画を続けた。

「もちろん約束は守るさ、対決に負けたんだから罰を受けないとね」

「200回の負荷付きスクワットでいいんだな?」

「もちろん」

荒木涼子は少し離れたゾンビの残骸を指さし、容赦ない口調で言い放つ。「あそこの一番大きいゾンビを重りにしてもらうわ」

「重りは君が決めるものじゃない」


そう言うと、私は通常魔法「拘束術」を発動させ、涼子を抱き上げた。そして驚異的なスピードでスクワットを始めた。

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