最終話:真に受けて・・・。

ハジメと一緒に家に帰ったキュートはギャル曽根ばりに一番家のご飯を、

お父さんの分もお母さんのぶんもたいらげた。


「まあ、よく食べる子ね」

「あ、そうそう、あんたたち今日、都心で大変なことがあったみたいよ」


母親がそう言った。


「またエイリアンの侵略みたいだぞ」


今度は父親の発言。


「なんか女の子が一人で侵略者を撃退したんだって」

「掃除しながらテレビ見てたからそう言ってたわ、詳しく知らないんだけど・・・」


「まあこの辺に被害がなくてよかったんじゃないか」


「そうよ、そうよ」


自分に直接被害が及ばなければ、みんな対岸の火事なのだ。

ハジメとキュートは顔を見合わせて笑った。


お腹が満腹になったあとハジメとキュートはハジメんちの家の申し訳程度の

ベランダにいた。


「狭いなこのベランダ・・・とってつけたみたいに・・・」


「窮屈・・・ハジメちゃんの病気が移りそうですぅ・・・」


「僕は病気なんか持ってないよ」

「ところでさ、キュートはこれからもずっと俺んちにいるんだよね?」


「まあ、私が厳密には日本政府のものなんだと思うけど・・・私から

自由を奪おうなんてしたら、私は日本政府の敵になっちゃうから・・・」


「あ〜誰もキュートには手は出さないと思うけど・・・」


「ハジメちゃんは?・・・私にいてほしいですか?」


「いて欲しいに決まってるじゃん、けど・・・強制できないしね」

「束縛したくないし・・・どうしても出てくって言われたら止められないだろ?」


「止めないんですか?・・」

「ハジメちゃんの私に対する気持ちってそんなものなの?」

「じゃ〜私たちもう別れ?」


「別れる?・・・」

「あ、そうか、俺たち付き合ってるんだよな」

「今日、すごいことがあったから、忘れてた」


「忘れてるなら、私はそれでもいいですけど・・」


「いや、いや、いや・・・忘れたりしないよ」

「僕の彼女になってくれたばっかなのに・・・」


「矛盾してます」

「私に帰って欲しくないんでしょ?」

「なのに帰るって言っても止めないって、おかしくないですか?」


「そんなに責めるなよ・・・正直言うと帰って欲しくないよ」

「止めないなんて・・・強がってみただけだってば・・・」


「そう・・・ハジメちゃんの気持ちが大事ですからね・・・私にはね」

「まあ安心していいよ・・・ずっと、いるつもりですから」

「でも、浮気なんかしたらゴキブリね」


「しないよ・・・ゴキブリになって母ちゃんに多々潰されたくないから」

「でも俺は、あんな強烈なシーン見ても君のこと不思議と怖いって思わないよ」


「あんなに街を破壊したのに?」

「どこの星だって、あんなことしたら追い出されますよ」

「なのになんの、おとがめもありませんでしたね」


「政治家は国民のためとか言ってながら自分の私利私欲に夢中だからね、

世の中が国民がどうなろうと関心ないんじゃないか?」

「それに地球を守ってくれたんだから逆に感謝してもらわなくちゃな」


ハジメはほんとにそう思った。


「地球人は少し平和ボケしてます・・・危機感まるでないですもん」

「目の前にある危機も他人事だと思ってるからダメなんですよ」


「言えてる・・・」


「でも、そう言うのが一番危ないんだよね」

「淫乱エロおばさんみたいなやつがいる限り油断はできないからね」


「だから、私はずっとここにいたほうがいいんですよ」

「もし、私がいなくなったせいで地球の人やハジメちゃんに、もしものことが

あったら私一生後悔しちゃいますから・・・」


「え?そんなふうに僕のこと思ってくれてるの?」


「当たり前でしょ」

「私もハジメちゃんの彼女になったことだし、また街に出て、あなたともデート

したいですからね・・・美味いものたくさん食べてね」


「そう言う充実した時間を共有するのが恋人同士って言うんだろ?」


「そうですね・・・恋人同士・・・恋人っていい響き・・・」


「じゃ〜さ・・・手始にチュー・・・とかしていい?」

「戦いが終わったらチューって言ったよね」


「覚えてたんですか?」

「やっぱりウイルスが移るから嫌です」


「そんな連れないこと言わないでさ・・・ウイルスなんか持ってないって何度も

言ってるじゃん」

「今、恋人って言っただろ?」


「私とハジメちゃんもほどよい関係がいいんです、ほどよいバランスがいいの」


「そう言うのは無理にバランス取れてなくてもいいんじゃないか?」

「人の心は揺れ動くもんだろ?」

「じゃないと、いつまで経っても君に近づけないよ」


「じゃ~100回歯磨いてきたら、チューさせてあげてもいいですけど?」


「歯磨き、ひゃっかいって?・・・百回はちょっとな・・・」

「せめて半分の50回にしてくれないか?」


「クスっ・・・バカハジメ・・・真に受けて・・・」


「え・・・うそ、今のからかったの?・・・勘弁しろよ本気で歯、50回磨いて

こようと思ったじゃん」


「いいよ、チューして・・・ハグも・・・」


「まじで?」


「10秒あげる・・・」

「私の気が変わらないうちにしたほうがいいと思いますけど・・・」


「じゃ〜早くしないと・・・」


慌てたハジメは、勢い余ってバランスを崩してミンクにのしかかった。


「なにやってるんですか?・・・慌てない、このヘンタイ!!」


「なにもしてないだろ、バランス崩しただけだよ・・・それをヘンタイって」


「ハジメちゃんはほんとに不器用ですね・・・でもそういうとこ私、好きですよ」

「不器用で可愛い・・・ね、ハ・ジ・メちゃん?」


で、ハジメはキュートをハグしてチューした・・・とってもディプなキスを。


今の二人はとりあえずラブラブ?な感じみたいだけど、その関係が長く続くと

願いながらこの物語の幕を閉じようと思います。


ではではLet's meet again someday.


つづく。



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あんどろうぃっち。〜地球ごと全部消しちゃっていい?〜 猫野 尻尾 @amanotenshi

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