第4話 頬杖

 …気まずくなって、紗依と別れてしまった。言いたいこと、たくさんあったはずなのに。もう全然思い出せない。いや、嘘。言う気がなくなってしまった。なんだか今は違う気がして。


 一つ開けて斜め左前の席にいる紗依を眺める。まだ赤さが引かない頬に手を当て頬杖をつき、斜め上を見ている。気付かない内に同じポーズをしていたことに気づき、誰も気にしてないとは思うが慌てて姿勢を正す。


 吸い付けられるように眺めていたが、朝の挨拶が始まりやがて忘れてしまった。

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熱は全てを晒し出す 翠 蘿玖@とあるお嬢様の見習いメイド @midori_raku

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