「うわあ、読んでよかった!」と、読後に強烈な満足感を覚えました。
これぞミステリーの面白さだ、と衝撃やら感嘆やら、様々な感興を抱かされます。
作中の主人公は『オウサマ』という立ち位置の存在で、『子供を作るための相手』などと引き合わされるような境遇となっています。
しかし、『彼』には『4人のヨメ』がいた。ヨメは普通の人間とかではなく、『自分自身の四肢にそれぞれ一つずつくっついている』という。
この段階で、かなり不思議な物語だなと思わされました。「『おやすみ人面瘡』みたいな、寄生型のミステリーかな?」と、ちょっと不気味な世界観かと分析します。
その後、「オウサマたちは戦争のため、『かけっこ』で勝敗を決める」という展開。急にほのぼのしてきました。
これは一体どういう世界観の物語なんだろうと、すごく不思議な雰囲気のものと出会えたなあと感慨を抱きつつ最後まで読みます。
そして、見事にやられました! そうです。これはミステリーだったのです!
怪奇な話と思いきや、ほのぼのとさせられ、そしてミステリーとして「おお!」となる。
強い個性を持ち、それでいて「へえ!」となるような意外性と、高い完成度のある作品でした。読んだ後で一つ賢くなれるのもまた素晴らしい。
とにかく読んで良かった、出会えて良かった、と思える一作です。まさに、掘り出し物でした。