隣の佐藤は多分帰還勇者の娘

3pu (旧名 睡眠が足りない人)

プロローグ 隣の席の美少女がバニーガールだった


 さきがき

 ちょっと前の展開に納得がいかなかったので書き直します。

 前の話の方が好きだった人は申し訳ありません。

 一応前よりも面白くなる予定なので読んでもらえると嬉しいです。

 今日の昼にもう1話書き直してあげますのでよろっぷ


──────────────────────


三重田みえた、私の頭に何か付いてる?」


初夏の訪れを感じる六月の半ば。

 隣に座る銀髪の美少女佐藤佐藤 兎白とはくはそう言って、俺の顔を不思議そうに覗き込んできた。

 

「いや、何も付いてねぇよ」


 俺は内心を気取られないよう、ぶっきらぼうにそう言い放つと視線をから外す。


「ふーん、ならどうして頭を凝視してたの?」

「銀髪の中に白髪が混ざってたら、分かりにくそうだなって思ってただけだ」

「変なことを考えるねー。まぁ、確かに銀髪の中にあったら分かりにくそうではあるかも」

「だろ?昨日鏡見てたら白髪を一本見つけてさ。黒髪だと目立つなーってことを考えたのを思い出してってわけ」

「高校一年から白髪を気にするとか、一体どれだけのストレスを抱えてるのかな。この白兎はくとお姉さんに相談してみなさい」



 出来の悪い弟を見るような視線をこちらに向けてくる佐藤に、俺は呆れたような視線を返す。

 佐藤は、現在自分がどれだけの注目を集めているのか分かっていない。

 この日本では珍しい長い銀髪に、女神と見紛う程の美貌とグラビアアイドルも裸足で逃げ出すグラマラスな体型。

 誰とでも分け隔てなく仲良く接することの出来る天真爛漫さを持っていれば、クラスの人気者になるのは必然。常に彼女には多くの注目が集まっている。

 そんなクラスの人気者が、平々凡々な一男子生徒と仲良さげに喋っているとなれば当然様々な視線が集まるわけで。俺の胃はキリキリと現在痛んでいる。

 

 それに付け加え今日は…。


「?」


 佐藤の頭に再び視線を向けると、彼女はまた不思議そうに髪を揺らす。

 それと同時に、本来人間にはついていないはずの白いウサギ耳も揺れた。

 教室を入ってすぐコスプレをしているのかと思ったが、クラスメイト達はそれに気づいている様子はない。

 いつもと変わらぬように佐藤と接していた。

 俺は真っ先に自分の目を疑った。

 まさか、ストレスでおかしくなってしまったのか?と。

 だが、それは残念なことに佐藤が俺の後ろを通った際に、感じたふさふさとした感触によってすぐに否定されてしまった。


「…はぁ、遠慮しとく。マトモなアドバイス返ってこなさそうだし」

「何を〜!私の助言は役に立つんだぞ〜!『せ、兎白ちゃんありがとう。さ、参考にさせてもらうね』って相談してきた人は皆んな笑顔だったんだから」

「その笑顔絶対引き攣ってるだろ」

「そんなことないよ。皆んな笑顔だったって」

「へぇ〜」

「その顔は信じてないな〜。だったら私が解決した相談について語ってあげる。あれは彼氏が浮気されたと相談された時のことだった。──」


  もしかして、佐藤ってあの。左藤の娘なのかよ?


 二十年前、ある高校の一クラス生徒達全員が突如行方不明になる事件があった。

 何の痕跡もなく姿を消したことから、当時は『現代の神隠し』と話題になり世間を騒がしたらしい。

 そして、それから二年後に行方不明になった生徒達が鉄の防具や未知の素材で作られた武器を持っている状態で見つかった。しかも、兎人ラビリア森人エルフ竜人ドラゴニュートの美女達まてわ引き連れて。

 そこから、日本は荒れた。

 異世界に行っていたという彼らの中で一番強い男が、嫁を全員迎え入れられるように、日本政府を殴り込み一夫多妻制や兎人達の人権保障などを無理矢理認めさせたり、異世界で手に入れた力を使ってVRMMOを実現させたとか。

 そんな変革者の娘の何人かが俺と同い年であるということは知っていた。

 だが、それは俺に関係のないことだと思っていた。

 どうせ会うことはないと思っていたから。

 そして、仮に出会ったとしても魔法か何かを使える元転移者達が何らかの対策をしていて、気が付かないだろうとも。

 彼らにはそれだけのことを容易くやってのけることが出来ることを、俺はテレビを通して知っていた。

 


 (なのに、何で俺だけ偽装が看破できるようになってるんだよ!)


 が、その考えは甘かったと思い知らされる。

 まさか、こんな身近に転移者達の娘がいるなんて誰も思わないだろう。


 意気揚々と話し始めた白兎を横目に俺は頭を抱える。


 もし、このことを俺が誰かに漏らせばどうなる?


『秘密を知っちゃたんだ。じゃあ死んで?』

『大事な家の娘の学園生活を脅かしてんじゃねぇ!』


  俺の人生は間違いなく終わる!冗談抜きで!マジで!

 ただでさえクラスの人気者と隣ってだけで胃に穴が開いて死にそうなのに、バラしたら別の意味で死ぬ!何より、俺が見えてることがバレたら死ぬ!


 なのに、何で──


 「三重田〜ちゃんと聞いてるの〜?」


 ──お前は俺の方に近づいてくるんだよ!肩組むな!耳と尻尾と胸が当たってんだよーー!?ちょっとは隠す努力しろやーーーー!


 



 


 


 



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隣の佐藤は多分帰還勇者の娘 3pu (旧名 睡眠が足りない人) @mainstume

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