孤高の勇者~帰還者の彼は世界を滅ぼすようです~
Roxas-key13
第一章 暴走、封印、そして帰還
第0話
西暦20XX年、世界各地にダンジョンが誕生した。
それと同時に人々に異質な力が与えられた。
誰が呼んだかは知らないが、後にこの力は「異能」と呼ばれるようになった。
異能には剣を生み出す能力、身体能力を向上させる能力など、様々なものがあった。
世界各国はこの状況にひどく困惑した。
宇宙人の襲来や異界からの介入など、様々な憶測が立てられた。
なんせ、かつて空想と思われていたものが突然現実世界へと現れたのだから。
数日後、一人の無知な若者がダンジョンに触れた。その瞬間、彼は吸い込まれるようにダンジョンに入っていってしまった。
その話を聞き、アメリカはそのダンジョンに軍を派遣した。
そこで発見したのは若者と思われる肉塊と、変色した人間のような生命体だった。
彼らには普通の武器が効かなかった。
銃もナイフも。異様に硬かった。
だが、たったひとつだけ効いたものがある。それは「異能」によって発生させた炎である。
彼らはその炎を頼りにダンジョンから脱出する。
結局、アメリカ軍は多くの死傷者を出しながらもダンジョンから生還した。
後に世界最高の研究者と呼ばれるエマー・ボンドは彼らの話を半信半疑で聞いていた。
そこで彼女は自分で実際にダンジョンに潜ってみた。
そこにはアメリカ軍の話していた内容と一致する生命体がいた。
もちろん銃など全くもって効かない。
催涙弾や麻酔弾は多少効いたものの、すぐに適応されてしまった。
彼女は逃げた。全力で。
ただ、それでも絶望は間近に迫って来ていた。
もう追い付かれる‥そう思ったその時、彼女の周りが凍り始めた。緑色の生命体も巻き込んで。
彼女は緑色の生命体の一部をもぎ取って帰還した。そして、その生命体の遺体と自身の力について、研究するため彼女は研究室に籠った。
そこで彼女は多くのことを発見した。
①異能は感情によって発現し、自身のイメージと能力が合致することで発動することができる。
②ほかの百人の研究者を対象とした結果、異能は一人一つしか発現しない。
③謎の生命体(以降、Xと呼ぶ)は、現代兵器は基本的に効かない。
④Xは異能の力によって傷つけることが可能。
⑤ある程度使用すると異能の力が言語化される。
これらの発見により、各国は異能を発現した者を集め、ダンジョンを攻略させた。
その結果、彼らの一部は欠けていたが多くの資源を持って地上に帰還した。
それらの資源は石油や石炭の代わりとなるほどのエネルギーを作り出すことができた。
世界はダンジョンの価値に気づいてしまった。
そして、新たに冒険者という職業が創られた。
ダンジョンの攻略を一つの産業としたのだ。
その間に多くの人々が犠牲となり、反感を買ってしまったり、多くのテロが行われたりした。
それらの時代を人々は「ダンジョン黎明期」と呼ぶのだが‥‥
これは、ダンジョン黎明期から50年以上経った後の、一人の青年の物語である。
孤高の勇者~帰還者の彼は世界を滅ぼすようです~ Roxas-key13 @yukemuri-5643
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