アリスとキャンプ
今年も海開きの季節がやってきて、海の授業が始まった。
今年の冒険の授業では全員が魚を3枚におろすのが必修となり、釣った魚を3枚おろしができない人は必死に捌いている。
あとは魔法の練習で水中探知という魔法を覚え、水中に居る魚の場所を水に触れていれば分かるようになった。
釣りをする時に結構便利である。
アナちゃんは去年からできているし、私とメアリちゃんも家で練習していたので比較的直ぐにできるようになった。
普段料理をしない男子たちが結構苦戦しているイメージだ。
メアリちゃんやアナちゃんとクラスが違うので最近は放課後以外一緒に居る時間が減ったが、その分新しい友達も増えていた。
クラスでよくいるのがイブキちゃんとムツキちゃんで、2人は両親が鍛冶屋をしている共通点がある。
イブキちゃんの家は武器も作るが包丁等の日用品も作っていた。
ムツキちゃんは太刀と呼ばれる大剣を作っている家である。
家業が共通点が多い為に2人とは直ぐに仲良くなった。
ちなみに2人共に属性は水と炎である。
属性的共通点というのも教え合えるので仲良くなる要因であった。
「あはは、相変わらずアリスは釣りが下手だね」
「なんでか釣れないのよねぇ……」
イブキちゃんからからかわれるが、なんでか魚が釣れないことが多い。
「魚捌く班に合流する?」
「いやもう少し粘ってみるわ」
そんな感じで海での冒険の授業が今日も終わり、放課後となる。
放課後になったらメアリちゃんとアナちゃんと合流してトレーニングを開始する。
最近は練習として水の弾を発射してそれを捌くトレーニングをしている。
水なので顔以外は当たってもそこまで痛くないし、盾で防いだり、避けたりする感覚を養っていく。
メアリちゃんなんかはアームシールドから防御魔法を展開して防御範囲を広げたりすることができていたし、アナちゃんも鍋に見立てた木の盾で水魔法を防いだり受け流していた。
私はガンナーなのでとにかく避ける。
避けきれないのだけ防御魔法で防いでいくのだった。
そんなトレーニングを続けていると、いよいよキャンプ学習の日が始まるのであった。
キャンプ学習当日、まずは休憩するときの道具についての説明を受ける。
基本鎧を脱いで布で体を包んで眠る。
テントなんかを張るパーティーもいるらしいが基本は長袖長ズボンの鎧を脱いだ姿で火を囲んで仮眠をとる。
火を焚けば多くのモンスターは近寄ってこなくなるらしく、手軽なモンスター避けとして機能するらしい。
なのでまずは火を起こすことから始まる。
「勿論ダンジョンによっては火山地帯みたいな火に耐性を持つモンスターが多い場所は火を焚いても無視して突っ込んできたり、ドラゴンなんかは火に近づいて積極的に襲いかかってくる場合もある。火を焚けば身を守れるのはある程度の階層までになるがな」
そう言ってジーク教官はライターで火を付ける。
油が入っていて気軽に火が着けられると冒険者の必須アイテムである。
綿みたいな物に火を着けて、薪の中に入れる。
すると火が付いた。
火が付いたら料理をしていく。
「冒険者は基本食糧は現地調達だ。ただ米とかを持っていく事もある。今日は食用に向かないモンスターばかりで非常食を食べると言う状況を想定するぞ」
そうなった場合の冒険者の食事はひもじい。
干し米を水で戻して味噌とダンジョンで不足しがちな野菜類を取るために瓶詰めされたサラダを食べる。
町があるダンジョンの近くの店で色々な瓶詰めが売られていることがあり、瓶詰めにご飯も入っていてお湯で温めればお弁当としてそのまま食べられることもあるらしい。
ただ今日のお昼は緊急時の食事と言うことで、味噌󠄀雑炊とサラダと言う食事であった。
美味しくは無いが、緊急時ということを考えると仕方がないと言える。
そして夕飯の食事を確保するために皆で釣りに行く。
今日は食事を集めることが目的なので素潜りによる銛突き漁も解禁され、素潜りで取れる貝やタコ等を捕まえていく。
夜はクラスごとに捕まえた魚を使った料理を作っていく。
アラ汁にしたり塩焼きにしたり、叩きにしてから寄生虫を殺すために貝殻にたたきを詰めて焼いたりして料理を作っていき、お米も炊く。
出来上がった料理をそれぞれ摘んで夕食は終わり、そこから夜間哨戒の授業である。
流石に2年生なので交代交代での仮眠を取ってみたいな哨戒では無く、皆一斉に時間を決めて哨戒と火の番を行う。
「これを疎かにすると寝ている間に襲われて全滅みたいな事がある。だいたい2時間交代で最低でも4時間連続で寝れる時間を作る。そうしないと翌日の行動に支障が出るからな」
そう言われた。
夜は薄い布で体を包んで眠りにつき、朝起きると体がガチガチに固まっていて痛かった。
そりゃ体操や柔軟をしろとジーク教官が口酸っぱく言うわなと思った。
朝食は食材が用意されており、それで料理を作り、最後はテントの設営訓練を行った。
テントを使う場面は灼熱か極寒地帯のダンジョンでテントの中の温度を魔道具で調整することで寝やすくするのが目的らしい。
テントの建て方と解体のやり方を勉強してその日は解散となった。
私は家に戻り次第、お風呂に入って体を解したあと、ベットで眠りにつくのだった。
アリスの海洋大冒険《目指せ人智のその先へ》 星野林 @yukkurireisa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。アリスの海洋大冒険《目指せ人智のその先へ》の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます