【06】 久しぶりのご馳走

ウィリアムは食卓につくと目を輝かせた。


「わぁ……!とても美味しそうなご飯ばかりだ!」


ウィリアムはとても嬉しそうにご馳走を見ていた。それもそうだ。フロムを村に送って以来ご馳走どころかまともなご飯も食べていない。ウィリアムは魔法こそは完璧だが掃除や料理は点でダメなのである。


「大量に作ったんですから全部食べてくださいよ!」


フロムはスープの鍋を運びながらウィリアムに言った。


「うん。もちろん、全部いただくよ!」


ウィリアムはフロムの目を見て微笑みながら言った。


(本当にこの量をペロリと食べるから恐ろしい…)


フロムの内心はそう思っていた。


「でも、まずは僕たちじゃなくてラズにミルクをあげなくてはね。準備してあるかい?」


「もちろん、ラズのミルクも準備できてますよ。俺が飲ませてくるのでウィリアム様は最初に食べててください。」


この一言はフロムの気遣いだった。だがウィリアムはフロムに目を合わせて口を開いた。


「食卓は皆で囲むものだろう?ラズもここでミルクを飲もう。」


フロムは驚いたと同時にこう思った。


(あぁ、この人は本当に素敵な方だ。)


「では、ラズもここでミルクを飲みましょうか。待ってくださいね。ミルク持ってきますから!」


フロムは笑顔でキッチンに向かって行くのを確認して、ウィリアムは抱いていたラズを見た。


「君はこれから多くの人に愛されていくんだろうね。」


ウィリアムはそう呟いた。

少し経ってフロムがミルクを持ってやってきた。


「お待たせいたしました。では、いただきましょうか!」


「うん、そうだね。」


フロムはラズにミルクを飲ませながらチラリとウィリアムを見た。


(見た目に反してすごい食いっぷりだな………。)


フロムは食事の時毎回そう思っている。なぜならウィリアムは見た目に反してすごい量の料理を食べるからだ。ウィリアムは他から見てもすごくイケメンな好青年である。銀髪の長い髪を一つにまとめ目元はキリッとしてる。鼻筋も通っており、肌は雪のように白い。何より神様の象徴である青い目がとても綺麗だ。


フロムがラズに目を戻すとラズはミルクを飲み終わっていた。


(ラズもすごい飲みっぷりだな……)


フロムは苦笑した。ラズから哺乳瓶を遠ざけ頭を肩に乗せるような体制にして背中を叩いた。


「何をしてるんだい?」


ウィリアムがその状況を見て言った。


「赤子はミルクを飲んだ後背中を叩いてゲップをさせないと吐いてしまうんですよ。」


フロムはウィリアムに丁寧に説明している。その話を聞いてウィリアムも今後のためにとメモをとっていた。


(この人は大雑把だけど大切ことは最後まで責任をとる人だからなぁ。)


フロムはウィリアムがメモをとっているとこを見てそう思った。フロムがウィリアムを信頼している理由の一つである。


お腹がいっぱいになったラズを寝かせフロムも食事に手をつけた。


(うん、うまい。)


フロムは食べながら自画自賛をしていた。それと同時にここの味付けはこうだ。とか次はこれを入れてみようなどと考えていた。


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フロムとウィリアムは食事を終えた。


「ご馳走様。久しぶりのフロムのご馳走すごくおいしかったよ。」


「喜んでいただけてなによりです。」


フロムは照れていた。


「さて、後片付けを始めようか!」


ウィリアムはそう言うと自分の杖をローブから出した。

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忌み子は神から愛され旅をする 夜神 桃伽 @yagami_touka__

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