第8話  学校に行きたくない

昭則が優樹の家のチャイムを鳴らして居た。

ピンポーンピンポーン

何も応答が無い。

昭則は仕方なく問題のプリント用紙をファイルに入れて玄関の前のポストに入れた。

優樹はガタンと、玄関の鍵を開けて玄関のドアを開けた。

キィイイと言うけたたましい音を立てて、昭則の置いて行ったプリントをファイルごと持って行った。

優樹はあれから「死にたい」と思って居たのだが、昭則の言葉が頭をよぎった。

結局、首吊りの紐まで用意をしたけれど死ねないまま、ソファで寝転んで居た。

優樹は、引きこもり続けてはや2ヶ月が経とうとして居た。

昭則が痺れを切らして「なぁ?そこに居るんだろう?玄関のドアを開けて来れないか?」と優樹に訊ねた。

優樹が「そんな事をしたら、どうせ学校に行かせるんでしょう?私は、もう学校に行きたくない」と昭則に率直に答えた。

昭則が「もう、そんな身勝手な事はしないよ」と優樹の返事に答えた。

優樹がガチャンと玄関の鍵を開けた。

昭則が玄関からガチャンと玄関を開けて、部屋に入って来た。

優樹が「一体何?」と昭則の様子を見て、何が何だか分からなかった。

昭則が「優樹、外を見て来れ」と昭則の言った通りに外から顔を出した。

何時間ぶりだろうか?

外から風が吹いて来て、気持ちの良い風が優樹を優しく包んで居た。

昭則が「外、気持ちいいだろう?部屋にばかりこもって居たら、気持ちのいい風や、人の笑い声も聞こえないし、散歩しないとビタミンが不足して身体にも悪いんだからな」と優樹の身体を気遣って居た。

優樹が「そんなに私の身体の事まで心配してくれたの?」と昭則に顔を向けた。

昭則が「当たり前だろう?そんなに悩んで悲しんで居たら誰だって死にたいと思うぞ」と優樹にコンポタージュの暖かい缶を渡した。

優樹が「ありがとう。コンポタージュが美味しい」と昭則に嬉しそうに話をして居た。

優樹が次の日、学校に向かって歩いて居ると、クラスメイト達が「あの時は、ごめんなさい。本当に優樹の気持ちを考えないで、酷いことを言いました。許して貰えるとは思えないけど」とクラス中で書き置きをしたと思われる色紙が渡された。

優樹が「ありがとう。何で急に?」とクラスメイトに声を掛けると、クラスメイト達がこぞって昭則を見て居た。

昭則が「あぁ、それは、俺がクラスでいじめに遭って居た、優樹の存在に気付いて助けに入って状況を知ったんだ。でも、優樹が死ななくて良かった」と優樹の事を心配して昭則だけは見て居てくれたのだった。

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キミの好きなもの 影山 みはつ @mihatsu1865

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