その小さな鳥は、小さな身体に奇跡と幸せをめいっぱい詰め込んでいた。

無雲さんのお家にやって来たインコのチビちゃんは、とっても小さいです。

命に大小なんてもちろんないんですけど、それでも私は、こんなに小さな鳥なのだから、きっと寿命も短いのだろうなと思っていました。
無雲さんのTwitterを見るまでは懐くなんてことも知りませんでしたし、カゴから出せば飛んで逃げて行ってしまうと思っていたので(やたらと『逃がしてしまいました、探しています』系のツイートを見かけるし)、犬や猫に比べて、なんかもっとこう……ドライな関係だと思っていたのです。失礼な表現になりますけど、ほんと、鑑賞用、っていうか。

でも、違うんですね。
チビちゃんは、無雲家の人達にたくさん愛されて、『THE昭和親父(ごめんなさい、こんな書き方で)』だったお父様まで変えてしまった。ウチの父親もそれはそれは昭和親父でしたが、こういう人が変わるのって本当に難しい。定年退職して、母親と立場が逆転してやっと家事に目覚めたというか、それまではマジで荷物も持たない人でしたから。男は財布だけ持ってりゃ良いんだ、みたいな人でしたから。

だけど、その小さな鳥は奇跡を起こすわけです。
トイレくらいしか腰を上げなかったお父様が、甲斐甲斐しく世話を焼くようになり、さらには笑顔も増えて、熟年離婚の危機まで救ったのです。これを奇跡を呼ばずしてなんというか!

たくさんの奇跡と幸せを運んで来てくれたチビちゃん。
こんなに愛されてチビちゃんはきっと幸せでしたね。

じわっと温かい気持ちになれるエッセイです。ぜひ。

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