これほど完成度の高いエッセイがあるだろうか?!(いや、ない)
- ★★★ Excellent!!!
もう作者様の才能に嫉妬するくらいですよ。
私、個人的にエッセイって、大きく分けると『ごく普通の日常(書き手の筆力次第)』と『普通の人が体験したことがない話(笑いがなくても珍しさでウケる)』の二つだと思ってるんですよ。私もエッセイは書いてるんですけど、自分のはどちらかといえば前者かなと思っています。まぁそんなこと書いたらさもさも私が筆力があるみたいな感じですけど、それはないです。ただ書いてるだけの人だから。
それでですよ。
じゃあこちらの話はどっちなんだ、お前のその勝手な分類だとどっちに属するやつなんだって話なんですけど、いやこれ、両方でしょ。偉そうに「この二つに分けられると思うんですよ」とか言っといて、早速「いやこれどっちもです」とか言い出すんですよ私は。てめぇの言動に責任を持てや。
いや、だって無理もないでしょうよ。
タイトル見てくださいよ。
『妹は麻薬捜査官』ですよ。リアリー?!
そんなすごい職業の方が身内に?!ってもう胸がパチパチするほど騒ぎましたから。何でかCHA‐LA‐HEAD‐CHA‐LAの歌詞がカットインするくらいの衝撃ですよ。だって、どれくらいいます?このカクヨム内に、麻薬捜査官が身内にいる方って。
これはもうとんでもねぇ話が読めるぞ。
もうわっくわくでした。と同時に、大丈夫なのかな?そんなお仕事の裏側とか書いちゃって、と。
ですがご安心ください。
ガチのやつではありませんでした。警察24時系のやつではありませんでした。何とも可愛らしい幼い姉妹のごっこ遊びでした。なぁんだ安心、と胸を撫で下ろすとともに、「そうか、やっぱりさすがにガチのやつではなかったか」と少々がっかりしたのも事実。けれどこれも何かの縁。読もう。というか、もう1話を読んだ時点でもう引き返すことなんて出来ませんでした。もう読むっきゃねぇ。逆にここで引き返せるやついる?いねぇよなぁ?!
結果、もう最高でした。
なんでしょうね、当時の犀川さんにとってはかなり最悪な一日の出来事だったはずなのですが、もう完璧なのです。エッセイのネタとして完璧すぎる。犀川さんが自ら張った伏線が抜群のタイミングで的確にタマを狙って来た時は思わず「それを待ってた!」と唸ったほど。
何気ない日常を筆力で底上げするタイプのエッセイではありません。
そもそもごっこ遊びに『麻薬捜査官』なんて普通は出て来ませんから。その時点で恐らく『普通の人が体験したことのない話』を紹介するタイプのエッセイなのです。だって、やったことあります?『麻薬捜査官』が出て来るタイプのごっこ遊び。ないでしょう!?それだけでも十分目を引くのに、そこへ犀川さんの筆力というバフ。勝てるやつがいるでしょうか。いねぇって。
読む際は周囲に気を付けてください。
私は1話をチラ見した時点で家族のいる時に読むのはやめました。