第1章 

パート1・翔射嘩(かいか)・横浜へ

起・横浜へ


承・歩きながらホテルへ


転・なにか異変を感じて、矢を放つ


結・そして、これからの日常が始まる



・4月1日の午後3時。

横浜駅の中をうろつく女性、今作の主人公である【創陣 翔射嘩(そうじん かいか)】がいた。

黒のレインウェアを羽織り、左肩に茶色いカバンをかけて、紺色のスーツケースを右手で持っている。

茶髪で、肩よりも下の位置まで伸びていて、寝ぐせのウェーブがかかっている。



天井から取り付けられている案内板を見て、ある字を探す。

「あった【みなとみらい線】ってことは、こっちだね」


指示していた方向へと歩いて行った。



・ホームで電車を待つ間、みなとみらい線が止まる駅の一覧を眺める。

そして、手のひらより少し大きめな横浜の旅行雑誌をスーツケースの前ポケットから取り出した。


あるページを開いて左手で持ち、服のポケットに入っていたスマホを取り出し操作する。


心の声 〇 

予約したマンスリープランのホテルの名前は、【ホスリーホテル】。

部屋のランクは、一番安いビジネス。

受け付けは、5階。 1階から4階まではお店やいろんな施設があるっと。


最寄り駅は、みなとみらい駅か桜木町駅だから、この【みなとみらい駅】で降りるっと。すぐに着きそう。


ホテルの場所は、この辺り。

そんなに迷う感じじゃなさそう。

大丈夫!! ちゃんと、たどり着けるはず。


心の声・終


電車が到着するアナウンスが流れて、旅行雑誌と白線の手前に移動して待つ。

目前にドアが現われて開かれて、乗り出した。


(いざ、みなとみらい駅へ)


みなとみらい駅に到着し降りて、エスカレーターに乗って昇っていく。

どんな景色が広がるのだろうと、少しワクワクしているようであった。

改札口を出て駅構内を観察しながら、目的地に近い出口番号を目指していく。


「結構、きれいだなぁ」


出口の階段を上り、外に出て旅行雑誌に載っていた地図が記されているページを開きつつ、スマホでホテルまでのナビを設定し歩き出す。


(なんかこう、空間が広く感じるかも。

えぇっと、こっちの方角を進んで、この辺りの施設の近く・・・)


「あった☆ ホスリーホテル・・・」


エレベーターで5階まで昇り、受付のフロアへ降りる。


(おぉ~☆ 天井が星空になっていて、プラネタリウムみたい

藍色の空がラピスラズリの宝石色っぽいかも)


・受付スタッフ

「いらっしゃいませ」


・翔射嘩(かいか)

「あのマンスリープランを今日から予約した、創陣 翔射嘩(そうじん かいか)といいます。これが予約した時の詳細です」


スマホで予約を受け付けたページを開く。


・受付スタッフ

「確認しました。問題ありません。

部屋をご案内いたします」


そうこうして、受付を終えて案内された部屋に無事たどりつき、ほっと一息つく。


心の声 〇

「ふぅ~。 ホテルの受付って緊張するんだよなぁ」


(キラキラした空間で大人っぽいというか気品があるというか、庶民の私じゃ場違いなんじゃないかって思っちゃうんだよなぁ。

受付で手間取ってしまったり、ヘマしたら恥ずかしくなって、その場から消えたくなっちゃうし)


「でも無事に済んだし、良しとしよう!!

横浜かぁ・・・。 景色はどんなんだろう」


窓のカーテンを開けると横浜の景色が広がった。

「あっ!! 観覧車だ☆ あとあの赤茶色の建物は、よく聞く赤レンガ倉庫かな」


心の声 〇

結構、良い位置にあるホテルなのかも。

新築ホテルでオープンしたてってこともあり、割引サービス期間になってたから、ここにしたけど当たりかも☆


これから、ひとまず1か月はここで過ごせるわけだけど、その後は継続できるか、仕事が安定するか、長らく住む賃貸アパートかマンションを探せるかどうか・・・。

出来なかったら、今度こそ都会暮らしが途絶えちゃうからな。


頑張って、しがみつかなきゃね。

憧れの都会暮らしだもん。

大阪や東京も良かったんだけど、横浜も気になってたからね。


拠点が決まって、仕事が安定したらいいんだけど・・・

主に派遣会社の単発系の仕事でしのいでいたけど、まだ不安定。

都会用に用意した貯金はあるし、本当の貯金もあるけど、なるべく崩さずに行きたいところ。


「がんばろう!!」


部屋に用意されていたコップと紅茶のパックを取り出し、ポットでお湯を沸かし、少し水を入れて温度を調整する。

自分の飲み頃の紅茶に仕上がり、ゆっくり飲んで窓の外を眺める。


すると、何か怪しげな影を見つける。

良い感じはしない。


身に着けていたネックレスを取り出し、付けられていた水色の宝玉に話しかける。


「レパさん!! 魔力化してくれる?」


「レパ レパッ☆」

すると水色のカラーリングのレッサーパンダに変化して、魔力を翔射嘩かいかに宿らせる。


「バリア付き・エブリバトルウェア」

そう唱えると変身アニメのように、衣装が変わった。


窓の外に、魔力で出来た白銀色の弓矢を出して、集中力と調整と威力を上げていく。

周りの人からは、その弓矢は見えないようになっている。


そして、影に矢を放つと、浄化されていくように消えていった。

「ふぅ~。 これで良かったかな?」


(これから、どんな日々が待っているかな。

願わくば、平穏無事に一日一日を送れるようになるといいな)


改めて横浜の景色を眺めて、そう思うのであった。










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