現状
王都で何が起きたのか。
「王都を誰が占領するか。それで揉めて大乱闘が起きた、ってのが簡単な内容かしら。王位継承戦は既に武力闘争へと変わっているわ。歴史上一番早く武力衝突に至った王位継承戦じゃないかしら?もう至るところでドンパチ起こっているわね」
それをお姉ちゃんが語っていく。
「それで話を王都に戻すけど、こことて王位継承戦の争いの場になったわ。戴冠式は王城で行われることもあり、この王都を巡って熾烈な争いが起きているのよ。かなり激しくね」
現在いる王位継承権保持者は第一から第五までいる王子たちに、第一から第六までいる王女たち。これに王弟を加えて、十二人もいる。
とはいえ、まだほとんどの王子王女は若い
王太子である第一王子はまだ学生で、その弟である第二王子も当然学生。
成人しているのは第一王女だけ。その次が学生最高年の第二王女であるという始末。
それでも、その後ろにいる母方の方はアグレッシブ。
まだ赤ん坊の王位継承者を抱えた母親が王位を目指し始める地獄と化しているのが今のこの国の現状である。
「監獄から脱獄した王弟、王太子、第二王子、第一王女。今はこの四勢力が相争っているわね」
とはいえ、流石にそんな赤ん坊は王位から遠く、有力なのはこの四者だけどね。
ちなみに、フラウは第三王女で、そのバックにいるのが侯爵家と伯爵家。そこに辺境伯家の嫡男もいるので、実は割かしまともな勢力で、ちゃんと王位を目指せる地位には現状でもある。
「その四者が互いに王城の確保のために相争い、ぶつかり合っている。それが今の現状で、その影響が今の王都よ。四つの勢力が戦っているのだから、やっぱりそれ相応に被害は大きくなるわよね。割と妥当な結果だと思うわ」
「……お兄様たちが、この状況を」
「それで?今、何処が優勢なの?」
「王弟かしらね。凄いわよね。脱獄してすぐに旗揚げ。もう活躍していたのなんて十数年前なのに、今でもちゃんと一大勢力を築けるんだもの。王太子はそこの女のせいで勢いを落としているし」
「その他はパッとしないか」
「えぇ、はっきり言うならそうね。というか、陣営が多すぎて、何処も一つ一つが弱いのよね。巨大陣営がゼロ。それで泥沼になっているわ」
「進捗は?」
「進んでいるようで、何も進んでいないわね。今もずっと王城でドンパチやっているわ」
僕とお姉ちゃんの会話。
「……現状を、変えるにはどうしたらいいかしら?」
そこにフラウが介入してくる。
「ふっ。どうすればいいと思う?」
フラウが口を挟んできたことに対して、驚きながらも僕は笑みと共に返す。
「……一番いいのは、王都を保全させること。王都を戦場から離したい……中立として、王都を宣言させる。これは、出来なくもないと思うわ」
「そうだね。確かに、出来なくないと思うよ。王都は国の重要地だからね。ここを失うわけにはいかないから!と声を挙げればいい。それに反発する勢力もいないと思うよ。すべての勢力が現状では制圧しきれないと思っているだろうからね」
「……ただ、どう、実行させるか」
「……」
僕は静かにフラウの言葉を待つ。
「兵を集めるのは、可能だと思う。この王都内にいる中立の貴族たちを取り囲めばいいと思う……中立宣言を出すためだったら集めるのも不可能じゃないと思うわ。ただ、中立宣言を誰が出すのか……私が出したところで素直に頷いてくれないだろうし……その他の貴族の方に頼んだとしても……うぅん。いい感じの代表が建てられるのか。
「うん、うん、そうだね。その通りだ」
「……だから、……何か一歩が」
「なら、ラインハルト辺境伯家の名前を使いなよ」
十分だ。
思ったよりも、フラウは自分の手で考えだした。
いきなり思考をぶん回すものだから、僕がびっくりしちゃったくらいだ。
「フラウが、ラインハルト辺境伯家の名前も利用して生命を出すんだ。それが一番効果的だと思うよ。中立。それを語るのに、ラインハルト辺境伯家の名前ほど便利なものもない」
「……っ!」
「当然。僕たちだって力を貸すよ。というわけでお姉ちゃん」
「何かしら?」
「フラウと一緒に中立宣言出してきてね。フラウのことは任せたよ。僕には僕でやるべきことがあるから」
「えっ……?」
私には関係ない。
そんな表情を浮かべていたお姉ちゃんに対し、フラウのことを僕は全任せするのだった。
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悪役令嬢の弟に転生して~処刑は嫌なので姉の闇堕ちフラグを折っていたら、姉が自分に執着するヤンデレ落ちしたのだが~ リヒト @ninnjyasuraimu
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