ゴールドランク・ランクアップマッチ メルネイトVS宮崎リンカ

 エジプトのイシス遺跡の秘宝、【イシスルビー】の守護者【メルネイト】彼女が格闘女王になって以降、その強さは破竹の勢いであった。初試合で対戦相手を1分で倒しそれ以降も勝利の連続で、負けることなど考えられない状態だった。そしてメルネイトはシルバーランクに上がり、ついにはゴールドランクへのランクアップマッチが組まれたのであった。



「お前たち盛り上がってるか!!次の闘技はエジプト戦士【メルネイト】のゴールドランクへのランクアップマッチだ!!」


 クィーンズ・ナイトの実況【DJドグマ】の実況に会場は大盛り上がりを見せる。


「メルネイトの初闘技は記憶に新しいよな!!対戦相手をたった1分でKO!!それ以降も破竹の勢いで勝利街道まっしぐらだ!!それじゃあ早速彼女に登場してもらおう!!」


 実況がそう言うとメルネイトは入場口から現れリングに上がる。


「さて、ランクアップマッチは昇格するランクの格闘女王と戦い、勝てば晴れてランクアップできるわけだ、この場合メルネイトはゴールドランクの格闘女王と戦うわけではわけだな、では登場してもらおう【宮崎リンカ】の入場だー!!」


 DJドグマの実況に会場は大盛り上がりを見せ入場口からリンカと呼ばれた女性が姿を現す。彼女は少し乱れた感じのショートの黒髪でミリタリー風のタンクトップとショートパンツを着ていた。


「宮崎リンカは元傭兵で軍隊式格闘術の使い手だ!!いわば戦闘のプロと言っていいだろう!!」


 メルネイトとリンカはリングの上で睨み合う。先に口を開いたのはメルネイトだった。


「さすが元傭兵、威圧が凄いな」

「私の軍隊式格闘術はもっとも実践的な格闘術と言っていいわ、あなたの奇術めいた格闘術なんかよりね」

「言ってくれるじゃないか……いいだろう、あんたの言う奇術であんたを倒してやろう」


 メルネイトはそう言うと構える、リンカもそれに合わせるように構える。


「それでは、試合開始!!」


 DJドグマの試合開始の合図と共にメルネイトは一気に距離をつめる。


「早いわね、でも……」


 リンカはそう言うとメルネイトの拳を避け、彼女の腕を掴み、そのまま彼女の腕を組みそのまま極める。


「あなたのことは研究していたわ、奇術的な格闘術だけど、そこを発揮させる前に組み伏せば問題ないってね!!」

「くっ……離せ!!」


 メルネイトは抜け出そうとするがリンカの腕はビクともしない、むしろメルネイトの関節が悲鳴をあげる。


「ぐおおおおお!!」

「良い声ね、関節を折ってあげようかしら?」

「舐めるな!!はぁぁぁぁ!!」


 メルネイトはオーラを腕に集中させると、そのオーラを爆発させる。


「なにっ!?」


 爆発によってリンカはメルネイトから距離をとらされてしまう。


「くっ、腕を固められておきながらそんな事もできちゃうなんてね……」

「形勢逆転だな、今度はこっちからいくぞ」


 メルネイトはそう言うとリンカに一気に詰める。


「はぁぁぁ!!やぁぁ!!」


 メルネイトの拳がリンカにヒットする、リンカはそれをガードしていく。


「なるほどね!!伊達にゴールドランクに上がろうとはしていないわね、でも!!」

「なにっ!?うぐっ!!」


 リンカの拳がメルネイトの腹にヒットする。


「私の軍隊式格闘術は組み技だけじゃないのよ」

「くっ、やるな……」

「まだまだこれからよ!!」

「それはこっちの台詞だ!!はぁ!!」


 メルネイトはリンカの拳を避けつつ反撃の拳をリンカに喰らわせようとする。しかしリンカはそれをガードし、逆にメルネイトの拳を掴む。


「なにっ!?」

「あなたの技は見切っているのよ、技の癖、動きの癖、全部ね!!」


 リンカはそう言うとメルネイトの足に自分の足を組み、そのままメルネイトのバランスを崩し、転倒させる。


「うぐっ!!」


 倒れたメルネイトにリンカは馬乗りになり、メルネイトの両腕を足で押さえつける。


「これでまた形勢逆転ね!!」

「くっ……だが私にはオーラの力がある、それを爆発させれば!!」

「させると思う?」


 リンカはメルネイトの腕を押さえつつ彼女の首に腕を回しロックする。


「がっ……うぐっ……」

「あらもう終わり?じゃあこのまま気絶させてあげるわ!!」


リンカはそう言うと腕を引きメルネイトの首を締める。


「がっ……あぁ……」

「終わりよ!!」


 リンカはそう言うと一気に腕に力を込めメルネイトを落とそうとする。しかしその時である。


「ぐあっ……!?なっ!!」


 リンカの腕を何者かが掴む、その者は今まさに首を絞めていたはずのメルネイトであった。


「なぜ……はっ!!」


 リンカはメルネイトを見て何かに気づく。


「まさか……私が首を閉めた時に!!」

「ご名答、私はあんたに再度捕まった時、オーラを使って幻を見せたのさ、それに気づけなかったあんたはまんまと罠にはまったというわけだ」

「くっ……こんな小癪な手に!!」

「さて、そろそろ決着を付けさせてもらおうか!!」


 メルネイトはそう言うと自身の腕にオーラを集中させる。


「くっ……ぐおおおおおおお!!」


 リンカは破れかぶれになりメルネイトに突っ込むが、彼女の拳は空を切る。


「遅い……」


メルネイトはそう言うと一瞬でリンカの後ろに回り、オーラを纏った拳でリンカの首を締める。

「がぁ!!」

「お返しだ!!はぁ!!」

「こっ……この!!はなせ!!はなっ……ぐえぇ!!」


 メルネイトは首を絞めたオーラパワーを爆発させる。


「終わりだ!!」

「がっ……あばぁぁ……」


 リンカはそのまま白目を剥いで気絶してしまった。


「そこまで!!勝者メルネイト!!」


 DJドグマの実況で試合は終了した。


「さて、これでメルネイトはゴールドランクへの昇格が決定したわけだが、何かコメントはないか?」


DJドグマがそう言うとメルネイトはインタビューに答える。


「当然の結果だな、私は自分にできることを最大限しただけに過ぎない」

「おおそうかい、まっ……とにかく次の試合からは本格的にゴールドランクの猛者と戦うことになるわけだ、これからも期待してるぜ!!メルネイト!!」


 DJドグマはそう言うとメルネイトにマイクを向け、インタビューを終える。こうしてメルネイトはゴールドランクに上がったのであった。

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クィーンズ・ナイト ~美しき格闘女王たち~ 新理ツク @alaric

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