第3話 幸せはどこに


──聞くところによれば。


『ねえねえきいた?きいた?りょうのみらい!』


『ぼくたちのりょう!けっこんするんだって!』


『あいてがききたい?ふふ!まだないしょ!』


『よかったね!よかったね!あのふたりはなかよし!よかったね!』


『ふたりでいっぱい"なかよし"してたよ!』


『すっぽんぽんでぽんぽんなかよし!』


『りょう、たくさんしあわせ!ぼくらのいうとおり!やったね!やったね!』



「──だ、そうだが。相違ないか?遼」


地の底から響くような声でそう尋ねる『魔王』と向かい合った俺は、背中を丸めて俯くしかなかった。


──相変わらず、怖え……!


『立てばトロール、据わった目はメデューサ、歩く姿はタルタロス』──人呼んで、『カナウの魔王』と恐れられるこの大男……『葵田旺あおいだおう』は俺の父さんだ。


──母さんが俺の部屋に忍ばせた『魔法』のせいで、俺が『本』で『未来』を見たらしいことは、父さんの耳にまで入ったらしい。


……幸い、相手までは知られてないみたいだけど。


というわけで、『魔法』も寝静まった深夜──俺・母さん・父さんから成る『葵田家』は緊急家族会議を行うことになった。


「……遼、父さんが聞いた『魔法』の話は本当なの?結婚って……相手は、誰?母さん達が知ってる人?カナウの人なの?」


「いや……その……なんていうか……」


「遼、母さんの目を見て。ちゃんと答えなさい……これは、とても大事なことなのよ?」


「……う」


──『会議』っていうか、気分的には『裁判』だけど……。


二人がここまでして、俺の『未来』を気にする理由は分かってる。


『葵田家』が、カナウで唯一の医者の家系で──俺はこの家の一人息子で、跡取りだからだ。


……俺の『未来』は、俺だけのものじゃない。


父さんと母さんに詰められて、俺は改めて、そう理解した。


──だったら、俺の『未来』は……俺になんか……。


「……」


「遼──」


押し黙る俺に、母さんが痺れを切らす。すると、父さんが口を開いた。


「……遼、答える必要はない。お前が今日『儀式』で『本』を賜り、『未来』を覗いたことは、既に『魔法』達から聞き及んでいる。そうだな?」


「……は、はい」


「つまり、お前が見た『未来』は、既にこの本に刻まれているということだ。遼が答えないのなら、私が本を開き、自ら確かめるまで」


「……そ、それは」


父さんが手に持った俺の『本』を、差し向けてくる。


『魔王』が持つと手帳のように小さく見える……その『本』は、家族会議が始まってすぐに、議長の父親から提出を要求されたものだ。

魔王様に当然逆らえる訳もなく……俺は父さんに『本』を渡した。


要するに、今の俺はもう『詰み』だった。


千蔭との『未来』を両親に隠すことはできないだろう。


『魔法』の言っていたことが本当で、相手が千蔭だと分かれば、二人はきっと……俺と千蔭を無理矢理にでも──終わった。何もかも……ん?待てよ?



冷静に考えたら……何が『終わり』なんだ?



二人はこの『未来』を知ったら……どう思う?


いくら『本』が見せたものだからって……そんなに簡単に受け入れられるか?


厳格な父さんなんか「こんなのありえない!」「そんなわけないだろう!」と怒りさえするかもしれない。


そして「ガハハ、何かの間違いだな!またなんか見えたら教えてくれよ!」くらいで、とりあえずこの場を収めてくれるかもしれない!よし!


密かに拳を握った俺は、父親に向かって……導き出した『最適解』を突きつけた!


「……分かったよ、父さん。俺の『未来』は……口で説明するより、実際に見てもらった方がいいと思う!見てくれ──これが、俺の『未来』だ!」


「……っ!」


父親が持っていた本を取り上げ、俺は自ら、そのページを開いて見せ──『あっ♡』……すぐに閉じた。


「遼……どうした?私に『未来』を見せるのではなかったのか?」


「ごめんなさいちょっと開くページ間違えちゃったみたいで」


「そうか……では、正しいページを開いて見せなさい」


「はい……」


……息を整えて、心を落ち着かせつつ、俺は思考する。


マズイ、完全に忘れてた。そうだ『未来』を両親に見せるってことはつまり、俺と千蔭の『アレ』を見られるってことじゃん!できるか!そんなこと!


「あの、父さん……その、俺、やっぱり自分の口から……」


「男に二言はないな、遼。さあ、早く本を見せるのだ」


……どうやら後には引けないらしい。


こうなったら、あとはもう念じるしかない。

『本』が俺に見せてくる『未来』は、開く度に違うものだったはずだ。なら『アレ』なシーン以外が出ることを祈るしかない!頼む!大分確率低いけど!


「こ、これが……俺の『未来』だ……!」


頼む頼む頼む頼む頼む『アレ』はやめろ!『アレ』は……!『アレ』だけは……!


ひたすらに念じながら、俺は『本』を開く──。



『ただいま──【千蔭】!』



──そこに描かれていたのは、最初に見た『未来』だった。


くたびれた大人の俺が家に帰ると、千蔭が待っていて、俺の表情が明るくなる……そこだけ。


後の『アレ』が描き出される前に、『本』は自らページを閉じた。……まるで、俺の意思を汲んだみたいに。


──『本』にも、『魔法』みたいに意思があるのか?


首を傾げたところで、俺ははっとする。


──そうだ、父さん達の反応は……?


顔を上げて、ちらりと『魔王』の様子を窺うと──。


「……」


──眉間に深い皺を刻み、父さんはじっと考えこんでいた……。


「あらあらまあまあ……」


──母さんは、手のひらを口に当てて、しきりに頷いていた……。


「……どういう反応だよ」


思わず口に出すと、「おほん」と咳払いした父さんが俺を呼ぶ。


「遼」


「は、はい……!」


思わず背筋を伸ばして返事すると、父さんは極めて真剣な顔でこう続けた。



「……私は、母さんを愛している」



「……」


「遼、露骨に引いた顔をするな。……聞け」


「あ……はい」


居住まいを正すと、父さんは俺に語って聞かせた。


──曰く。



……今のお前と同じ歳のことだった。


あの晩、俺も同じように、大図書館で『本』を賜った。


そして自らの『未来』を見た。


そこに描かれていたのは、家を継ぎ、医者になった自分と……赤子を抱いた女性だった。

縁もゆかりもない、この町の者でさえない……顔も知らぬ女性だ。


ひと目で『本』は俺に、この女性と結ばれ、子宝に恵まれる将来を示していると悟った。


……それこそが、家にとって、また自分にとって、あるべき『未来』の姿なのだと。


だから、俺は『本』を頼りに、世界中を駆け、その女性を探し出した。


そうして出会ったのが、母さんと………お前なのだ。


だが、『未来』が現実となった今──私は確信している。


『本』は俺に、最も良い『未来』を示したのだと。


母さん──茉莉花まりかという最高の伴侶を得たこと、


そして、遼が生まれてきたことを……私は心から幸せに思っている。



「──だから、私は……お前の『本』が見せた『未来』は、お前にも必ず良い『未来』をもたらすと考える。ならば、どんな協力も厭わない」


「え」


「その『未来』、必ず叶えさせよう」


……俺には分かる。父さんは真剣だった。


救いを求めて母さんの方を見る……が、意味ないな。


「もうやだ、お父さんったら……ふふ、私も同じ気持ちよ。絶対に遼の『未来』も叶えましょうね!」


──決議は出た。


……俺と千蔭の結婚に、両親は全面協力するという形で。



「……マズいことになった」


『緊急家族会議』を終え、『本』を抱えて部屋に戻った俺は、壁に手を着いて項垂れた。……会議の終わりに、父さんが言ったことのせいだ。


──『善は急げだな。早速明日、佐倉家へ赴き、御子息との縁談を取り付けて来よう。向こうにとっても悪い話ではないはずだ』


「いや悪いだろ……」


少なくとも、千蔭にとっては。


俺の『未来』が俺だけのものじゃないと認識し、父親が行動を起こそうとして、俺はようやく……気が付いた。


「俺の『未来』が叶ったら、千蔭に大迷惑だよな……」


一瞬でも「アリかも」とか思った俺をぶん殴りたい。

俺がどうとかじゃなくて、千蔭には千蔭の意思があるだろ。ああ、そうか……それこそが、俺が引っかかってた『何か』だ。


──千蔭が俺に望んでくれるみたいに、俺だって、千蔭が何かに縛られるのは、嫌だ。


俺の『未来』に、千蔭を巻き込むわけにはいかない。


「気が回るのが遅すぎるだろ、俺……!どうする……どうすれば、父さんを止められる……?」


壁に拳を叩きつけながら、ぼやく。その時だった。


『リョウって本当、学ばないのね』


「……え?」


壁が喋った。いや、壁じゃない……よく見たら、俺が壁だと思っていたものは『クローゼット』の扉だった。


ってことは。


「……お前か」


『ふふ……ひとりごとで痛い目見たばっかりなのに、ぶつぶつ喋っちゃって……可愛い子』


俺の部屋に居着いているクローゼット……の『魔法』。

いつから居るのかは分からないが、ずっと居る酔狂な奴だ。


『あら、あなたが私をここに縛っているくせに……ずいぶんな言い方!』


「え?俺が何したって言うんだよ?」


『幼い頃、私に名前を付けたでしょう!【クロエ】って……物に憑いたまま名前を付けられた魔法は、名を解かれない限り、永久にそこから動けないのよ』


「そんなことあったような……なかったような……」


小さい時のことなんか、あんまり覚えてないしな。

腕を組んで唸る俺に、クローゼット……改め『クロエ』は、肩をすくめるみたいに扉を開いて言った。


『呆れた人ね!せっかくこの私が、リョウのために名案を授けようと思ったのに』


「名案?」


俺が訊き返すと、クロエは『そうよ』と続ける。


『リョウのパパを止める方法!要するに『本』の『未来』を変えちゃえば、パパはチカゲとの結婚を勧めたりしないでしょう?』


「……あるのか?そんな方法」


『聞きたい?』


手招きするように、扉をパタパタさせるクロエ。俺は少し迷ってから、答えた。


「まあ、聞くだけ聞く……」


『素直じゃないんだから!でもいいわ、教えてあげる……こっちへ来て?』


「……」


誘われるまま、俺はクロエに寄る。扉の開いたクローゼットの中に耳を澄ますと、クロエは俺にこう囁いた。


『私にキスして』


「……は?」


『そうすれば、リョウは私と結ばれることになって『未来』が変わるでしょう?』


そんな馬鹿な、と返そうとした、その時だった。


『っ、リョウ!後ろ……!』


「……え?」


突然、クロエが声を上げる。

だが、背後を振り返った時にはもう遅かった。



──ドサッ!



『リョウ……リョウ……!』


泣き喚くクロエの声が遠くなっていく──俺は何かに頭を殴られたらしく、床に倒れ、そのまま気を失った。



『浮気者』



──暗く沈んでいく意識の中で、誰かが俺にそう言った気がした。












──それから、どのくらい経っただろう。



「……っは!?」


次に目が覚めた時、俺はベッドの上で寝かされていた。


伸びをしながら重たい身体を起こして、呟く。


「俺……どうなってるんだ……?」


「……聞きてーのは、俺の方だよ」


「え?」


思いがけず返ってきた声の方を振り向く。そこにいたのは……千蔭だった。


ベッドの側に立ち、腕を組んで俺を見下ろす千蔭に尋ねる。


「……何で、千蔭が部屋にいるんだ?」


「俺の部屋なんだから、あたりめーだろ」


「……千蔭の部屋?」


あたりを見回す。


今寝かされてるダブルベッドの他に、本棚と机、クローゼット、それから隅に置かれたベビーベッドがあるだけの簡素な屋根裏部屋。


……間違いない。ここは、何度となく来た千蔭の部屋だった。


「……いや、何で?」


「知らねーよ!昨夜、ふっと目が覚めたら、いきなりお前と『これ』が隣にいたんだよ!」


首を傾げる俺の前に、千蔭が『本』を突き付けてくる。

……どうやら、俺は昨夜、家で何かに殴られた後、何やかんやあって、『本』と一緒に千蔭の部屋に転移してしまったらしい。


俺は『本』を受け取りながら首を捻る。


「……いや、何で?」


「だから、俺も知らねーよ!訊きたくても、お前は全然起きねーし」


「……悪い。俺にもよく分かんなくて……ひとまず、ベッド貸してくれてありがとうな」


言いながら、俺はベッドを降りる。シーツと布団を整えようとすると、千蔭が「そんなのいいから」と俺を止めた。


「とにかく、お前も起きたし、下降りて、じいちゃんに訊いてみようぜ。……その『本』が関係あるかもしれねーだろ」


「そうだな……」


居間に繋がる階段を降りようと、千蔭に続く。ふと、部屋の小窓を振り返ったら、もう陽が差していた。朝だ。


「……人ん家のベッドでよくもまあ、すやすや寝れるよな」


起き抜けでまだぼんやりした頭のまま、そう言う千蔭の背中を見て、俺は何気なく口を開く。


「千蔭……」


「なんだよ」


「……俺が起きるまで、そばで待っててくれたのか?」


「……死んでねーか気になっただけだ」


振り返らずに千蔭はそう言った。俺は笑った。そして思った。


──こんないい奴、俺のそばで縛っていいわけないよな。それも、無茶苦茶な『本』なんかのせいで……。


だから、何とかして『未来』を変える……そう誓った時だった。


「……っ、待て」


「……千蔭?」


「静かに……客が来た」


「……客?」


「いいから」


千蔭に押されるまま、慌てて階段を上り、屋根裏に戻る。顔を寄せ合うようにして、二人で下を覗きこむと、千蔭の言う通り、誰かが来たみたいだった。あれは──。



『……司書殿、昨晩は愚息が世話になった。儀式から夕餉まで、何と御礼を言っていいか』


『いえ、そんな……こちらこそ、先生と遼くんには、私も千蔭も、いつも良くしてもらって……まさか、御礼のために早朝からわざわざ?』


『いや……それもあるが』



「父さん……」


「遼の親父さんが?何でうちに?」


「……」


俺は答えるか迷った。


父さんが佐倉家に来た理由は一つだ。


俺と千蔭の縁談を、お祖父様に持ちかけるためだ。つまり、あとはもう時間の問題で、千蔭に『未来』が知られるのは避けられない。危機はそこまで迫っている。

マズい……いや、待てよ?


──知ったら……千蔭はどう思う?


まあ、受け入れられないだろう。俺との結婚なんて。


ということは、これはむしろ……千蔭には『未来』を知ってもらった方ががいいはずだ。


両親はダメだったが、当事者二人が『未来』を受け入れられないとなれば、本の『未来』を変えられるかもしれない。

そうしたら、父さんも無理に縁談を取り付けるなんて真似はしない。千蔭を巻き込まずに済む。よし、それでいこう。


そうと決まれば、俺は千蔭を見据えてこう言った。


「千蔭……落ち着いて、よく聞いてほしい」


「あ?何だよ急に……」


「信じられないかもしれないが、これから俺が言うことは……今のところ、本当だ。でも安心してほしい。俺はこんな未来必ず変えてみせる。千蔭を巻き込むようなことはしない。だから──」


「お前が落ち着け。そして、いいから早く言え」


「ああ……」


曇り一つない千蔭の目を見つめて、俺は唾を飲んだ。

それから、意を決して言った。




「俺と千蔭は……未来で結婚するんだ」




「は?そんなわけねーだろ」


「そうだよな……そうだよな……!」


さすが千蔭だ。ようやく、求めていた反応が返ってきて、俺は感動さえしていた。そうだ、俺がおかしいんじゃない……おかしいのは『本』とか、この町なんだ……。


思わず千蔭の手を取って握ると、それはすぐに振り払われたが、千蔭は俺に言った。


「……遼が、俺なんかと一緒になっていいわけねーだろ。お前はこれから好きに生きればいいんだから」


「それは俺だって……千蔭が俺の『未来』なんかに縛られていいわけないって思う。千蔭には千蔭の……もっといい『未来』があるだろ?」


「俺は別に……いや、それより」


千蔭は首を振ってから、階下を指差す。


「俺と遼が結婚って……そんなことが、まさか『本』に書いてあったのか?それが、遼の親父さんがうちに来た理由?」


「ああ」と頷くと、千蔭は眉を寄せた。


「マジかよ……てか、親父さん、ガチでそれ信じたのか?遼が見間違えたってこともあるかもしれねーだろ。さすがに──」



『遼から未来について聞いてな。今日はその話をしに来た』


『未来……ですか。遼くんから聞いたのですかな』


『ああ。司書殿はご存知ないと見受けるが……実は、遼の未来には佐倉家……特に、御子息が大きく関わっていたのだ』


『……千蔭が?一体、どんな……』


『単刀直入に言おう。御子息と遼の縁談を、今日は持ってきた。未来で、二人の幸せな結婚が描かれていたからな』



「……マジかよ」


露骨にげんなりした顔で、千蔭が俺を見る。俺は背中を丸めて頷いた。頭を掻きながら、千蔭が呟く。


「俺と遼が結婚して幸せな未来ってなんだよ……親父さんに、孫を見せてあげることはできねーのに……」


『孫』という千蔭の言葉に、俺はつい『アレ』を思い出す。いや『孫』っていうか、なんていうか……。


「……」


「お、おい何だよ?俺から気まずそうに目を逸らして。まさか『未来』で何か見てたのか?」


「い、いや……別に」


俺は小脇に抱えてた『本』を何となく、千蔭から遠ざける。『未来』の話は一応したわけだし、よく考えたら、具体的な中身までは別に言う必要ないもんな?


──ところが。


「……っ!?あ、こら……待て……っ!」


「っ、遼!」


傍らに置いた『本』が突然、ひとりでに宙を舞った。


宙を浮く『本』は、捕まえようとする俺の手を逃れ、表紙を開き、パラパラとページを捲り出す。やがて、眩く白い光を放つと、俺達の目の前に『ある光景』を映した──。





『はあっ♡あ……あんっ♡いいっ……りょぉっ♡(目尻に涙を浮かべた千蔭が首をブンブン振りながら)お、俺は、いいから……ぁっ♡あっ、そんなっ、とこばっか……っ、だめぇっ♡(ビクッビクッ)あっあ、はぁっ♡ん、や……ぁっ♡あっ♡んっ、い゛っあぁっ♡あ゛っあっ♡はあっ♡んっ、ふぅっ……ふ(声が漏れないように口を結んで鼻で息をする)っ、く、や、もう……っ♡(シーツをぎゅっと握って)んっ、ふ……っあ、いっ、あっ♡ああっ♡あっ♡や、あ゛っああ〜〜〜……♡♡』





「こっ………………この変態野郎!!」


「何でだよ!まだ何もしてないだろ俺は!!」


「まだってなんだよ!?一生ねーよ!!お前の⬛︎⬛︎⬛︎を⬛︎⬛︎に⬛︎⬛︎⬛︎なんて!!」


「落ち着け!言っちゃいけないことを言うな!」


取り乱した千蔭は、俺の胸倉を掴んで揺さぶってくる。俺はそれをなんとか宥めようと、千蔭の肩を掴む。

そのうちに俺達は揉み合いになり、俺が千蔭の上に馬乗りになると──。



「さっきから屋根裏が騒がしいと思って見に来たが……これは……司書殿」


「う……うむ……そうか……遼くんと千蔭は……本当に……ああ……認めるしかないでしょうな……」



「「え」」



──それは最悪な『未来』に繋がった。



〈 つづく 〉

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アオハル*マリッジ とんそく @tonsoku

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