居候怪談記
@loveso
破格の物件
一軒家家賃月2万円、敷金礼金なし1LDKの2階建て破格の物件に私は飛びついた。
大学入学に当たり物件を探していた父親は俺が物心がつく前に蒸発してしまい、母親が女手一つで育ててくれた。
そこまで頭が良い訳ではない俺だが、ギリギリの大学を奨学金を借りて東京の三流大学に入学、母親に仕送りは期待が出来ないので、物件を探していたらこの物件の資料をネットで見つけたということだ。
怪しいが少々のことなら目を瞑るつもりでネットで内見予約をした。必要事項を入力したところすぐに電話が掛かってきた。
「金木俊樹のお電話でよろしいですか?この度は内見予約ありがとう御座います。この度予約頂いた物件なのですが、少々問題がありまして、近くの物件をご紹介ということでは駄目でしょうか?」
予約した物件を紹介したくないらしい、やはり事故物件なのだろうか?事故物件であったとしても、この破格は他にない、住居費はすこしでも減らしたい「どうしてもこの物件でないと駄目でしょうか?この物件ですが、過去に入居した人は5人いたが3人が死亡、2人が失そうして、サイトには掲載してはいますが、おすすめは出来ない物件です」との答えが返ってきた。
俺は霊感はないし、心霊、祟などの類は信用していないので、それでも内見をしたいといったところ内見先には連れて行くが、家の中までは一人で行って、何があっても保証はしないということで内見をさせてもらうことになった。
実家の埼玉から東京の郊外にある某駅に降り立った俺は指定の不動産屋についた、有名な不動産屋のチェーン店だし、自動ドアが開いたら元気にいらっしゃいませという声で迎えられた。
「金木俊樹です」
名前を告げたら清潔そうなスーツに身を包み、20代半ば程の男性がお待ちしておりました。と迎えてくれて、必要書類を書いたら車が裏に回してくれて車に乗り込んだ。
都内と言っても大学は田舎なので、車で進むうちに建物が減ってきて、本当に都内か?と思える所にその物件はあった。
庭付きの平成時代を思い起こされる面持ちの一軒家、不動産屋のスタッフは言われた通り車から出ることなく、鍵を渡してきた。
渡されるときに「何かあっても我々は一切責任持てませんが本当によろしいですか?」
俺は躊躇することなく鍵を受け取り家に入った。
玄関から入ったら右手にシューズボックスがあり、ホコリが薄っすら積もっていた。スマホのカメラで動画を回し、靴を脱いで上がると左手側にトイレの扉、奥には脱衣場に洗濯機置き場、お風呂場があり、お風呂場の中を見るとバスタブだけやけに綺麗だ。バスタブだけ取り替えたのだろうか?
不思議に思いつつ、お風呂場を後にして廊下にでてその奥にある扉を開ければカウンターキッチンがあり、その奥にはフローリングのリビングと畳の部屋がある。電気を付けてみるフローリングは多少傷ついており、畳は擦り切れていた。一枚だけ新しいのが気になるし、最も気になるのが黒く溶けた盛塩?みたいなものがある。
畳の部屋から出ようとしたところ、転びそうになった。何者に足を掴まれた気がしたが、気の所為だと思うことにした。
玄関入ってすぐの所にある階段で2階に上がれるため、そちらも見てみる事にした。2階は3部屋に分けられており、階段上がって正面と左右に扉がついており、真ん中の部屋は絨毯張りで6畳ほど、右の部屋は何故か鍵が掛かっていて入れず。左の部屋は5畳くらいよフローリングになっていた。
全ての部屋を見終わり、外に出て不動産屋に見終わった事を伝えて鍵を返し、最寄りの駅まで送ってもらった。
埼玉の実家の自室で今日撮った動画を観てみたら、風呂場で浴槽から何者かが覗いていた。更に和室では新しくなっていた畳の上から手が生えていた。
信じていなかった俺でもそれには少しビビったし、掴まれた気がした足にはシッカリ手の跡が黒く付いていた。
そんな俺は、高校の同級生の坊主の息子が副業で祓い屋をやっていたことを思い出し、そいつに電話を掛けてみることにした。
居候怪談記 @loveso
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。居候怪談記の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます