第4話

「レモーネ!外で乾燥させている薬草をとってきてちょうだい!」

レモーネは母、カリーナにお手伝いを頼まれ、めんどくさそうにしながら、玄関へ向かう。

「もう夕方かぁ…」

一日中、ベッドの上でゴロゴロしていたレモーネは、ボーッと空を見上げて呟いた。

冬に近ずいて来ているこの時期は、風邪や怪我が多くなり、薬草が多く売れる。

(あ、そうだ。明日ぐらいに薬草取りに言ってた方がいいか、お母さんに聞いてみようっと!)

薬草を持って家に入るとカリーナは薬を作る作業台の上を片付けていた。

「お父さんはいつ帰ってくるの?」

レモーネが薬草を棚に入れながらきくと、カリーナはフライパンを持って言った。

「そうね…患者さんの診察をしてから今日は帰るって言っていたから、そろそろ帰ってくると思うわ。それまでに、ご飯を作っちゃいましょ!」

カリーナがウインクすると、レモーネは嬉しそうに笑った。

「薬屋のプレート裏返してくるわね!」

「はーい」

レモーネは玄関の外にかけてある[オープン]のプレートを[クローズ]に変える。

「これで良し、と」

レモーネはニコッと笑い、家の中へ入ろうと扉を開けた。

「あ、あの!すいませんが、医者は居ますか?」

レモーネは声をかけられたことにびっくりして振り向く。

そこには、真弓を抱えたカスラが息を切らしながら立っていた。

「はぁはぁ…すいません…こいつが…き、急に熱出して…」

レモーネはびっくりしながらもカスラの背中でグッタリしている真弓を見て巡らせていた考えが吹っ飛んだ。

「…まずは中へ入って!」

カスラを手招きして家の中へ入れると、もう料理を運んでいたカリーナがカスラたちを見て目を見開いた。

「えッ?!レ、レモーネ?この子達は…?」

カスラを見て困惑していたカリーナだったが、レモーネの焦った表情とカスラの背中にいる真弓を見て状況を察したのか、真面目な顔になった。

「上の部屋に空いている部屋があるからそこに寝かせてちょうだい。レモーネ!案内したあと、水と手ぬぐいを!私は薬の送り鳥をお父さんに飛ばすわ!」

「わかった!えーっと、あなたは私についてきて!」

カリーナが指示を出してからの行動は速かった。

家に入ってから体感5分で真弓に応急処置を終わらせ、やりきった笑顔で片付けを始めていた。

「ふぅ。後はお父さんにしっかり見せて原因を突き止めるだけね!」

レモーネがニコニコしながらそういった。

カスラは穏やかな表情で眠っている

「・・・ありがとう」

カスラはレモーネに頭を下げた。

「だ,大丈夫よ!だから頭を上げて!」

真剣な表情で頭を下げたカスラにレモーネは困ったように眉を寄せた。

「…私の父はお医者さんで母は…その子に薬草を飲ませた人、なんだけど、薬屋なの。私も大人になったらそんなお父さんやお母さんみたいな人の役に立てる仕事につきたいなって思ってるの」

「じゃあ、将来は医者か薬師…なのか?」

カスラが聞くと、レモーネは悲しそうに首を振った。

「本当はそうなりたい…なるはずだったんだけど…」

レモーネはカスラに手首を見せた。そこには炎の印が刻まれていた。

「…覚醒者か…」

カスラがポツリと呟く。レモーネもその言葉に頷いた。

 覚醒者とは魔法が使える中でも強力な魔法を使える者のことを総称でそう呼び、16歳になると国が運営している学園へ強制的に入り、力が暴走しない方法を学ばないといけないのだ。そして、最短で5年長くて8年で卒業するが、そこで終わるわけではない。卒業した後はだいたいの者が国所属の宮廷魔術師にならなければならないのだ。例外はあるが、大体は貴族の長男で家を継がないといけない者や、他国に嫁ぐ者、そして覚醒者だが魔力が少なくそのせいで魔法が使いづらい者などなどだ。

 魔術師になった者は地位と毎月一定の給料が手元に入るが、ハンターが倒せないほど強い魔物や覚醒者の攻撃しか通用しない魔族との戦いに駆り出され、戦い方を知らないものから死んでいってしまう。

一定の給料が入るといっも命の代償には安いもので国からの雑用も押し付けられるので、地位があったとしてもブラックなので自由に選べるのなら宮廷魔術師になる人はほとんどいないのだ。

「でも、人を助ける仕事には変わりないから…」

レモーネはカスラに笑顔を見せたが、手をぎゅっと握り、我慢しているように見えた。

「お前ー」

「ん〜…あ、あれ?ここは…どこ?」

励まそうと口を開いたカスラとレモーネはベッドに横になる真弓に視線を向けた。





















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受けた恩は倍返しで!〜異世界転移で助けてくれた人は呪い持ちでした?!~ くろまめ @Tenra

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