第2話 秋になると会いたくなる君

色なき風と共に運ばれてくる甘い匂いに

ふと、手招きされる


澄んだ青の中 静かに輝く太陽

君は落ち葉の毛布にくるまり

銀色のパジャマをまとって 眠っていた


寝ていた所 起こしてごめん


じんわりと伝わるぬくもり

手から伝わり 心の奥まで

沁みていく


口に運ぶと 優しさがふんわり広がっていく

そして 焦げた皮の香ばしさが

少しだけほろ苦くて

秋の深さをそっと教えてくれる


幸せという名の毛布で包んでくれた君に

「ありがとう」とそっと別れを告げて

前に向かって

今日も歩いていく

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今日も言葉の海を泳ぐ。 詩月 彩 @chisa1215

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