究極の下手と馬鹿

6.究極の下手と馬鹿

「今日未明、3人の男性が遺体として路上で見つかり…」

ニュースはその夜から流れ始めた。

「メディアはすごいねぇ。ある意味アサシンより危険だぞ。」

俺が心からの憎しみと感嘆を込めて言う。

「ちょっと国に頼んで動きを抑えてもらいましょうよ。」

「んだねぇ。」

気の抜けた返事を返す。コロシを行ったからか、間違えて缶ビールを飲んでしまったからか、どうも調子が悪い。ちなみに、ある程度毒やアルコールは訓練で耐性がついている。

「つまんないんで学校のこと聞かせてくださいよ。」

「つまんないんでゲームでもやりましょうよ。」

「学校が先です。」

「えー」

「好きな人とかいないんですか?」

「おらん。」

「北斗さんの顔面偏差値だったら相当モテるでしょ」

「知らん。」

いつのまにか学校のことを話していることに気づく。

「可愛いやつはいるけど好きじゃない。」

「誰すか。」

「空谷楓って奴。」

「え、結構有名な子役じゃないすか?」

そう言ってスマホをいじって颯斗が見せてくる。

「マジやん…」

そこには「今話題の美少女子役!空谷楓インタビュー!」と陽気に書かれている。

「知らなかったんですか?!」

「ん。興味ないから。」

「冷めた人ですねぇ。」

どこかで聞いたセリフを颯斗も言ってきた。

「友達とかとは遊ばないんですか。」

「今日遊べたかもしれないのに予定が入った。」

「あぁー災難。」

「喋ったぞゲーム!」

「しょうがないですね。」

マリオカートで3回連続逆走を繰り返しながら1分差で遅れてゴールした。

「俺はなんでこんなにゲームが弱いんだろ。」

「前アメリカでカーチェイスした時はめちゃくちゃうまかったですよ。」

「あれは犯人捕まえるために必死だったからだ。」

「じゃ賭けますか?賭け額三万。どうです?」

「その話乗った!」

数分後。最初は調子が良かったが、青甲羅のせいで普通に負けた。

「やっぱ俺、ただ単にゲームが下手なんだと思う。」

三万を颯斗に渡しながら、俺はしおれた。

「っていうか。ブラックマンバとの交渉はいつになんの?」

「連絡されるでしょ。」

ピンポーン。玄関チャイムが鳴った。

「誰だよぉ」

重い腰を上げて玄関へ向かう。颯斗もすぐ後ろをついてくる。

「お礼参りでしょうか。」

「縁起ねぇな。」

ガチャリとドアを開ける。するとそこにはブラジル系の男が1人。CIIPの第七部隊隊長。

エイトールと呼ばれる男が立っている。

「なんでお前ここいんの。」

「いやだってブラックマンバのこと教えて欲しいんデショ。」

「チャットでいいじゃん。」

「あ。」

大きく颯斗とため息をつく。

「頭が悪い‼︎」

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ピリオドヒッター 瑠璃人 @ruribito

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