第22話 ドラゴンボディは岩砕く!
ウヒョ~ドラゴンつえぇぇぇ!
超越!無敵!最強!ドラゴンボディは今までの物とはまるでレベルが違う。自転車からνガ◯ダムに乗り換えたくらいの気分だ!
特に意味もなくドラゴンブレスもぶちかますぜ!
「アンギャアァァァ!」
口から自分の体積の100倍1000倍の黒い炎が吹き出る!ブレスの射程はざっと200メートルくらいか?横薙ぎにして森を焼き払ってやった。
「ギャッギャッギャ!」
今の一撃でどれだけの魔物を殺せた?力が流れ込んでくる。幼生だった体は大きく硬く、そしてトゲトゲしく変化。
魔物をぶっ殺せた事で苛だっていた気持ちが落ち着いた。親龍に対して態度悪かったし巫女ちゃんには無体をしちゃったなぁ。でも俺赤ちゃんだから許してクレメンシー。
改めて自分の体を確認すると俺って結構見た目やばいよな?鏡が欲しいわ。
鱗がトゲトゲしてて鎧みたいになってるし色も真っ黒。兄弟たちは逆に白い毛に包まれてモコモコだったんだが?やっぱり別の卵混ざってたんじゃない?
しかし殺してばっかりじゃ腹が減るな、ブレスで消し飛ばすんじゃなくてちゃんと食べよう。
ジューシーな魔物を求めて森の中へと進んだ。
森の中は静かなものだ、ドラゴン様を恐れてみんな逃げちゃったかな?
だが俺には犬時代の嗅覚も聴覚もある、大雑把なだけのドラゴンじゃないんだぜ?
ん~?こ~こ~か~な~?
『ふごぉぉぉ!』
「ギャアウ!」
岩の陰に隠れていたのは豚の化け物、オークと言うやつか?逃げ足が無くて隠れることを選んだのか。
とりあえず出会い頭に片腕を食いちぎって試合終了。こんなテンプレモンスターに会うのは久しぶりだ、こいつもゴブリンと同じで集落を持っているんじゃないか?
片腕を失ったオークを放置して空に舞い上がる。さあ行け、集落へと案内しろ。
高く高く飛んでも遥か下方のオークがはっきり見える。
魔物じゃない普通の鳥でも上空10kmまで飛ぶものもいるし、時速300km以上の速度で正確に獲物を捕まえるものもいるという。
それらを遥かに超越するドラゴンボディを持ってすれば、相手から見えない高さからの偵察など造作も無い。
腕を失ったオークが必死に何処かへ向かっている。あちらか?バカ正直にまっすぐ向かっているのか?その先を確認するとオークの集落が簡単に見つかった。
木と葉で編んだ屋根、石を組んだ陣地。簡素なものだ、そんな物で何を防いでいたのか?
あのオークが帰る前に食い散らかしてやろう、必死に戻った先で崩壊した集落を見た時、どんな顔で絶望するかな?お前が引き寄せた未来を楽しみにしていてくれ。
「ギャアアアオオオオオ!!」
一匹も残らず喰い散らかした。残るは血と僅かな残骸のみ。
『ぶひぃぃ、ぶひぃぃ』
腕を失ったオークが帰ってくる。俺は身を隠してそれを眺めていた。
『ブキャアアア!』
惨状を見て大騒ぎしている、オークって言葉を発しているんだろうか?ただの鳴き声なんだろうか?イマイチ感情が伝わってこないな。
疲れたのか絶望したのか、座り込んだのを確認してから喰い殺した。やはりこんなのではつまらん。吸血鬼だ、吸血鬼を探して絶望を与えてやろう。
俺は魔物の天敵だ。全ての魔物が俺を恐れ、俺の声を聞いて絶望するべきだ。お前たちが最後の一匹になるまで追い詰め、笑いながら終わらせてやる。
それから毎日魔物領域で暴れまわった。最初の内はブレスで殲滅したりもしたんだけど、今では丁寧に食べることにしている。
食べた方が力になるのは当然分かっていたんだけど、殺すだけだと吸収できなかった魔素が散ってしまうのが気になる。それが新しい魔物を産む可能性に気がついて、魔素を逃さないように食べる事にした。
前世では食べ過ぎに注意したし、前前世では実際食べすぎて魔物化してしまったが、このドラゴンボディならそれはない。ううん、知らないけど絶対そう。ドラゴンボディで自己肯定感がマッハ。
季節が一巡するまで魔物領域を荒らし回ったが、やはり魔物領域は馬鹿みたいに広かった。人間の領域より遥かに広大なのは間違いない。
真っ直ぐ奥へ進むべきだったか?吸血鬼を探してウロウロしていたせいか、自分を脅かす敵に巡り合う事はなかった。
魔物領域の奥には世代を重ねた本物の化け物がいると聞いた事があるが、人間が奥まで進むなんて土台無理な話だ。嘘っぱちなんだろうさ。
まぁそれはいいとして、あんまりにも吸血鬼が見つからない。前世では勝手に出てきたのにな。
激レア種族なのか、それとも俺を上手く避けているのかは分からんが、闇雲に探すのは一旦やめて親龍の所に戻ることにした。何か知恵があるかもしれん。
バッサバッサ、びゅーん!気持ちよく空を飛んで大きな街へ戻った。そういや街や国の名前もしらねぇや、親龍はアストレイアって呼ばれてたが自分の名前も聞いてない。
『アンギャァァァ!』
大きな声で帰還を知らせて、屋根の無い神殿みたいな所に舞い降りた。
ドズゥン!
大きく育った体で石床の上に降りるとバキバキに割れてしまった。テヘッ、でも親なら大きく育った我が子を見て嬉しいだろう?
『戻ったか。随分と暴れたようだ。力も付けたな』
そう言って優しい目を向ける親龍、力を付けたと言われたがこいつに抗える想像が浮かばない。魔物領域の奥には本当にこんな奴がいるのだろうか?
『なんと呼べばいい?』
『本来我らに名など無い。人間に習い、ママと呼ぶがいい』
『………』
『ママと呼ぶがいい』
まじ?冗談だろ?だが親龍の足元ではまだまだ小さい兄弟たちが『ママ!ママ!』と呼んでいる。あれって俺にビビってるよな?
もうなんか雰囲気作るのも面倒くさいな。ママでも何でもいいわ。
『ママ、吸血鬼が見つからないんだけど見つける方法知らない?闇雲に探すんだけどどこにもいないんだ』
『………』
『あとさ、魔物ってママみたいに強いのもいるの?奥に行きすぎるとヤバイ?』
『………』
『結構やばい』
『!!』
『………』
『む、無理しなくていいよ』
『………』
たぶんママは愛情を持ってこちらに歩み寄ろうとしたんだ。きっとそうさ。だからもう忘れよう。
『魔物の殆どはただの獣。だが中にはそれらを超越した者もいる。我でも勝てぬ者も。努々忘れるな』
『わかった。それで吸血鬼の方は?』
『奴等の事は人間が詳しい。吸血鬼など龍にとっては魔物の一種類に過ぎぬ。ただし奴等の王となると簡単ではない』
ふ~む、人間か。人間の天敵だもんな。
ちょうどいいタイミングでバタバタと人間がやってきた。
「ひぃぃぃ!ア、アストレイア様ぁ!」
『我が子だ。恐れるな』
「し、しかし……」
『グルアァァァ!!』
「ギャァァァァ!」
ふへへ、こいつ面白いな。オモチャにしたろ。
『子よ。人間は我らを名で呼びたがる。聞いておけ』
『不遜な人間よ!我が名を呼んでみろ!グゥアァァア!』
「あひぃぃぃ!おゆるしをぉぉ!」
『………』
『早く言え』
「ははぁっ!御名はエクリス様!巫女様がお決めになられました!」
あいつか。まぁなんでもいいか、前世は犬のジロウだった訳だしそれよりはかっこいい。
『この子はフィデル。この子はアルベリスと呼ばれている。覚えておけ』
チラリと視線を向けるとママにしがみついて震えている二匹の小竜。そんな様でまともな龍に育つのかね?育成ルートとしては俺の方が上だろ。なんたって既に尻尾抜きで体長10メートルはあるからな。
『巫女を呼べ。もうあいつを食おうとは思わぬ。吸血鬼を見つけて殺す為の情報を持って来い』
「え?食べ?吸血鬼?」
『ガァァァァァ!!』
「ひゃぁぁぁぁ!!」
30秒で巫女買ってこなかったら罰ゲームな!
――――――――――
ここまでありがとうございました。ここで諦めて終了となります。
数少ない読者の皆様ありがとうございました。
もう少し手にとって貰える作品を考えていつか0から出直します。
魔物を駆逐せよ!地味少年はフェンリルやドラゴンに転生して全てを喰らい尽くす 無職無能の素人 @nonenone
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