この作品は読むべきだ。
一度読み始めたら、おそらくページをめくる手が止まることはない。最後まで読まずにはいられないだろう。
1つの事件を解決まで追っているということもあるが、理由はそれだけではない。
「量子コンピュータ」が珍しいから?
それは違う。
もちろん違うわけではないが、「量子コンピュータ」が本作のすべてではない。
キーワードとして目立つのは確かだが、あくまでツールであり、それだけでは作品として成り立たない。
この作品のすばらしさの1つとして、地井玲香という主人公がとても魅力的であることがあげられる。
玲香が推理し、捜査をする。
それこそが本作の柱であり、最大の魅力なのだと思う。
これまでの警察キャリアを活かし、淡々と捜査・推理を進めていく。
時には感情を交えながら、被害者に感情移入する。
そしてあらゆる可能性を検討していく。
そこに「量子コンピュータ」という近未来のツールが加わることで、ワクワク感グッと増す。
なるほど、未来の警察の捜査はこう変わるのか。
そう思わせるほどのリアルさ。
それが本作を読むべき最大の理由なのだ。
ぜひたくさんの人に読んでほしい。
密室殺人を追う女性刑事を主人公にしたミステリーですが、今までの警察物とは一味違います。
それは世界初・量子コンピュータが捜査に使われること!
量子コンピュータが警察の捜査にどう活用されるのか、具体的に描かれていて未来の社会を覗き見ることができます。
普通のミステリーと違って、刑事が足を使って目撃情報を探す場面などがショートカットされるので、ものすごくスピーディー!
でも荒唐無稽なSFという印象は一切ありません。
ほんの少し先の未来という感じで、落ち着いた推理小説のトーンで描かれるので安心して読み進められます。
20年後には当たり前になっている我々の社会の姿なんじゃないかとさえ思えます。
量子コンピュータってよく聞くけど、実際我々の生活にどうかかわってくるの? という興味をお持ちの方、ここにひとつの具体例が示されています!
ぜひ読んでみてください。