第20話 Love so sweet(20)
それからほんまに慌しく
子供たちが次々と産まれて
さらに彼女は母として逞しくなり。
もうとにかく子供たちにありったけの愛情を注いで
5人の子供を育んでいる。
それでも
そうやって
楽しい『恋人時代』がなかったせいか
今でも結婚したばかりの頃と同じくらいに新鮮な気持ちで彼女を抱きたいと思う自分がいる。
お互い年は取ったけど
いつまでも彼女はかわいくて
お母さんになってもどこか頼りなげなところも変わらない。
あれから
ナンちゃんの会社は不況のあおりを受けて一緒に仕事をし始めて3年くらいのちに
つぶれてしまった。
ナンちゃんは最後に別れるときも
「あたしはこう見えてけっこう図々しく生きてるから。」
なんて
いったいどう見えてると思ってんだ、みたいなセリフを吐いて笑わせてくれた。
風の便りでナンちゃんはロスに渡って、再び友人たちとイベント会社を立ち上げたって聞いた。
どんな友人たちなんだろうと想像しただけで笑ってしまいそうだったが
きっと今でもあの調子で頑張っているんだろう。
あのヘンなクスリのことも
ゲイバーのおねえさんたちのありえないテンションも
今は懐かしい。
ゆうこはこの『事件』を忘れてしまったかどうかわからないが
おれはたまに思い出して笑ってしまうことがある。
にしても。
あんなにシたかったおれって。
今思うと若かったな~~。
「ちょっとパパ、なにひとりでニヤニヤしてんのー?」
ひなたの声で我に返った。
「え? ニヤニヤしとった?」
思わず顔を触った。
「してるしてる。 そんな顔で電車とか乗らないでよ~? あぶないオジサンだよ、それ。」
オジサン・・
あー、やだ。
あんなにカワイイ顔して寝てた娘にこんなこと言われるなんて。
これもあの時は思わなかったな。
My sweet home~恋のカタチ。26--sweet rose-- 森野日菜 @Hina-green
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