第2話 帝国再興
僕の名前はアルフレード・アレクシオス・アルゼルと言う。いや、正確にはだった。
現在の僕は、ノア・シンノストと言う8歳の少年だ。
アルゼル連合帝国という大陸の東端に位置するサトス半島の大部分を支配する国で―――僕の生前には存在していなかった国だ。いや、似た様なのはあったけどさ。
このアルゼル連合帝国という国は、国家と言っても、国家として怪しいラインと言える。
具体的には、国家より集落群と言えるんじゃないかってくらい怪しい。そんなんで帝国名乗んな潰すぞ。
しかし、そんな国家でも現在の人類国家としては大国と言える。
なぜなら、ここが50年後の世界で、既に人類国家の大半が魔族に征服されたからである。
順を追って説明しよう。
まず、現在から70年ほど前である帝国暦540年に原因不明の天変地異と病が発生した。
そして、天変地異で人々は追い込まれていく中で一部の人々が異様に高い魔法適正を手にした。
彼らは、その力を活かして天変地異を乗り越えた。
しかし、そんな彼らを追い込まれた人々は『魔族』と呼び迫害した。
自分たちを苦しめる天変地異が起きたのは、彼らが生まれたせいだと考えたのだ。
その迫害は、天変地異が原因不明という点と国家がその迫害を推進したことによって急速に拡大していった。
国家が推進した理由は、天変地異による国民の不満の矛先を背けたかったということがある。
そして、街人にも国にも迫害され、国を追われた魔族たちは、大陸の東端であるサトス半島に逃げ延びて行った。
なぜなら、サトス半島は天変地異の発生地とされているせいでどの国も支配していなかったからだ。
そして、彼らは半島にいた4人の悪魔を王として大陸の征服を始めた。これが560年のことだ。
そして、瞬く間に近隣の小国を征服すると、東の大国であったアルゼル帝国に攻め込んだ。
そして、人間であれば10秒は必要な魔法発動までの行程を、1秒足らずで完了させる魔族によって帝国は蹂躙された。
そして、帝都近郊まで侵攻してきた魔族を迎え撃った生前の僕は、魔族によって殺された―――といった流れだ。
それに加えて、転生してからの8年で集めた情報としては―――
僕が敗北したあと、順調に帝都は落とされ、アルゼル帝国は561年の歴史に幕を閉じた。俺は連合帝国を帝国とは認めない。
そして、人類最大の国家である帝国が止められなかった魔族を他の国が防げるわけもなく。
現存する人類国家は数少なくなってしまった。
そして、僕が把握している人類国家は5つ。
今世の僕が産まれた国でもある、帝国の残党が周辺の町を纏めた“アルゼル連合帝国”。
大陸から少し南に位置する島国で、かつては大陸南部を支配していた”トウシン皇国”。
大陸南西部に位置するバルラ内海の中央に位置する島国”ペルドラ王国“。
大陸北西部に位置するドワーフの国、”ドルボルト王国“。
大陸南東部に位置するエルフの国、”メルト神聖国“。
この五カ国が、魔族の侵攻を凌いだ、または征服後再興した国家だ。
続きを話そう。
魔族は、570年に大陸の殆どを征服し人類を奴隷とした。
元同族を奴隷にするのは中々だが、魔族への差別が酷過ぎて恨みが凄かったんだろう。
だけど、全人類奴隷化はやり過ぎだ。
こんな危険な魔族を差別するなとか無理な話である。
大陸の殆どを征服して5年経った575年。
何故かは分からない。分からないけど魔族の国が4つに割れた。そして争っているらしい。繰り返すが、なんでかは分からない。
けど、これは朗報だ。
もし魔族が一つに纏まって大陸を支配していたのであれば、人類に勝ち目はなかっただろう。
というか、もう全人類国家が征服されていたかもしれない。
分裂後もそれぞれ人類国家に圧はかけているみたいだが。
とまあ、現時点で分かっているのはこのくらいだ。
人類は追い詰められているし、覇権を取り戻すことは殆ど不可能だろう。
しかし、帝国の再建ならば。
帝国の再建のみならば、完全とまではいかずとも、全人類に協力させれば可能かもしれない。
「よし、今世の僕の目標は帝国の再興だな」
こうして、僕の今世での目標が決まったのだった。
――――――――――――――――――
※彼は8年経過したことで、多少メンタルが回復しています
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転生亡国皇子の魔族絶滅計画 竹垂雫 @sizukuhakidukuyo
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