「隠しダンジョンの冒険王―没落王国から逃げるために腕前を鍛えていたのだが、兄弟たちが俺のことが好きすぎる―」
「隠しダンジョンの冒険王―没落王国から逃げるために腕前を鍛えていたのだが、兄弟たちが俺のことが好きすぎる―」
「隠しダンジョンの冒険王―没落王国から逃げるために腕前を鍛えていたのだが、兄弟たちが俺のことが好きすぎる―」
結晶蜘蛛
「隠しダンジョンの冒険王―没落王国から逃げるために腕前を鍛えていたのだが、兄弟たちが俺のことが好きすぎる―」
転生した俺が生まれたのは王家であった。
しかし、俺は知っている。この世界が名作ゲーム『ダンジョンクエスト』であることを。
しかも、俺が生まれたのはダンジョンの独占を企んでいる悪役の王家であることに気づいた。
最終的に没落することを知っている俺は自分一人で生き残る力を手に入れるため、冒険者となることを目指した。
実は『ダンジョンクエスト』については詳しくない友人から聞いたうろ覚えの知識でもある程度できるはずだ。
そして、俺は初心者ダンジョンの奥で隠し部屋を発見した。
父上にバレると探索が出来ないかもしれないと思い、俺は秘密にしたまま探索をすることにした。
そして年月が経ち、なんとかダンジョンを攻略していったがなんと、100階以上存在していた。
たしか、聞いた話だと最難関のダンジョンでも100階で終わりと聞いていたが……。
そして、独立できるだけの実力は付いたし、父上の前だと愚物を演じていたから、王家から出奔するのに困ることはないはずだ。
父上が俺の顔を見て嫌そうな顔をして、
「お前を追放する。お前の顔など――」
「父上、まってください!」
いよいよ、追放か?と、期待したところで、兄弟たちが立ち上がった。
「兄上は国の至宝です! 追放なんてとんでもない!」
「兄上がいなければ、この国は滅んでいます!」
「兄上は最強です。そんな兄上が外国に渡ったらどうするのですか!」
「兄上がいなくなったら、あたしはこの国から去りますよ!」
「私も私の夫の隣国の王も兄上がいなくなったらこの国を見捨てますよ!」
と一斉に擁護し始めた。
待ってくれ。確かに弟や妹の面倒を見るのは兄としての役割だから、事あるごとに相談に乗ったり、手助けをしたが、そこまで慕われることをした覚えはないぞ。
たしかに病気で苦しんでたから隠しダンジョンのアイテムを渡したり、弟の友人がモンスタースタンピートに巻き込まれた時に助けたり、呪文を教えたりしてたけどさ。
父上も全員の勢いに押され、俺は国に残留することとなった。
というか友人から聞いていた話と大分違うぞ。こいつら全員、極悪非道な奴らに育つんじゃなかったのか!?
と困惑する俺であったが、あれよあれよという間に俺は国に残留することが決まった。
俺はまだしらない。この先、様々な苦難が起きるのだが、そのたびに「兄上なら解決できます」といって、矢面に立たせられることを。
……俺のお気楽な冒険者ライフはどこに行ったんだ……。
「隠しダンジョンの冒険王―没落王国から逃げるために腕前を鍛えていたのだが、兄弟たちが俺のことが好きすぎる―」 結晶蜘蛛 @crystal000
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