青龍王城奪還作戦

 玄武とその仲間たちはネオ朱雀衆とホワイト・ウィンターズによって支配された青龍王城を奪還するため青龍王国に帰還していた。


「帰ってきたぜ……青龍王国!!」

「ああ、だが玄武、これからが本番だ、気を引き締めてかかるんだ!!」

「おう!!」


 玄武がレッド・ドラゴンに話しかけられたその時である。玄武たちの前にネオ朱雀衆の幹部、リー・ファントムが現れたのだ。


「よく来たな玄武たちよ!!だがこんなに人数が多いのでは戦いにくいのでな!!これでも喰らうがいい!!」


 リー・ファントムがそういうと玄武の仲間たちを包むようにブラックホールが出現した。


「な、なんだこれは!?」

「う、動けない!!」

「玄武!!助けて!!」

「ぎゃあああああああ!!」


 レッド・ドラゴンにアリス・ホワイトダイヤモンド、ドン・ニュクスとその配下のホワール兄弟、とにかくみんながブラックホールに吸い込まれていく。


「みんな!!くそ、この野郎!!」


 玄武はブラックホールに吸い込まれる仲間たちを助けようとしたのだが……。


「おっと!!それ以上は行けない!!玄武よ!!こいつらを助けたければ青龍王城の最上階まで来い!!生きて最上階まで来られればの話だがなぁ!!」


 リー・ファントムはそう言うとブラックホールを消し、去っていった。


「……みんな、必ず助けてやる!!」


 玄武は仲間たちの無事を祈りながら青龍王城へと走っていった。



 玄武が青龍王国の首都にたどり着くと、そこは大雪に見舞われていた。


「くそ、なんて大雪だ!!これじゃ歩くのも一苦労だ!!」


 玄武は青龍王国の寒さに耐えながら青龍王城へと走っていった。

「よし、着いたぞ……!!」

 

 玄武が青龍王城にたどり着いたのは夕方になった頃であった。

「だが王城の前に誰かいるな……」


 玄武が青龍王城の前までたどり着くと、そこにはネオ朱雀衆の幹部、レッド・ドラゴンの姿があった。


「よく来たな!!玄武よ!!」

「レッド・ドラゴン!!何故お前がここにいるんだ!?」


玄武はネオ朱雀衆の幹部のレッド・ドラゴンを見て驚いていた。

「ふっふっふっ……俺はネオ朱雀衆に洗脳されてここの門番をやっているのだ!!」

「何!?それでお前の体は無事なのか?」

「いや、俺はもうネオ朱雀衆に洗脳されちまってるんでな……この体はもう俺であって俺じゃない!!だからこの体はどうなってもいいんだ!!」

「そんな……!!」


 玄武がショックを受けていると、青龍王城の扉が開く、そこにいたのは白い防具を身にまとった大柄の男であった。


「誰だお前は!!」

「俺はホワイト・ウィンターズの青龍隊長、ホワール・ウィンターズだ!!」

「そんな……ホワール兄弟たちが一つの体になってしまっている!」

「ふふふ、玄武よ!!俺たちの攻撃を受けてみろ!!」

「な、何!?」


 ホワール・ウィンターズにそう言われた玄武は身構えるが、ホワール・ウィンターズは攻撃してこなかった。


「な、なんだ?攻撃してこないのか?」

「ふふふ……玄武よ!!俺の必殺技を見せてやろう!!」

ホワール・ウィンターズはそういうと青龍王城の上空へと飛び上がる。すると青龍王城のすぐ横の建物が突然光りだす。


「な、なんだ!?」

「ふふふ、喰らえ!!必殺『光龍拳』!!」

 

 ホワール・ウィンターズがそう叫ぶと、青龍王城の上空から巨大な青い龍が現れ玄武を襲う。


「な、なんだこの光は!?ぐわああ!!」

「ふはははは!!俺の必殺『光龍拳』を喰らったが最後、お前は死ぬのだ!!」


 ホワール・ウィンターズにそう言われた玄武の体は徐々に石化していく。そしてついには……。


「う、うわぁぁぁ!!」


 玄武の体は石になってしまったのだ。


「ふはは!!どうだホワール・ウィンターズの力を見たか!!」

 

 その時である。玄武が石になった体のまま光を放ち始めたのだ。そしてその光は玄武の体を中心に渦を巻き、大きな龍の形となっていく。


「な、なんだこれは!?」


 青龍王城にいたホワール・ウィンターズやレッド・ドラゴンは驚きを隠せない様子だった。


「……これでよしっと!!」


 そして渦を巻きながら現れた龍はホワール・ウィンターズやレッド・ドラゴンに向かって灼熱の炎を口から放った。


「ぐわああああ!!あ、熱い!!」


 青龍王城から少し離れたところにいたはずのホワール・ウィンターズは青龍王城の中に吹き飛ばされた。


「な、なんだこれは!?わ、我の体が!?」


 ホワール・ウィンターズの体は元のホワール3兄弟の姿に戻った。


「はぁ!!玄武!!俺たちはいったい何を!?」

「お前たちは洗脳されていたんだ!!」


「そ、そうか……ありがとう玄武よ、ドン・ニュクス様やアリス、それにアリアや青龍国王は青龍王城の最上階に捕えられている、俺たちはもうボロボロの体だから玄武、お前だけが頼りだ!!どうか青龍国王たちを助けてやってくれ!!」

「わかった、お前たちはここで休んでいろ!!」

「ありがとう……」


 ホワール3兄弟はそう言うと意識を失い倒れてしまう。


「さてと……次はレッド・ドラゴン!!貴様を正気に戻してやるぜ!!」

「ふん!!俺はネオ朱雀衆に洗脳されたのだ、その俺に敵うとでも思っているのか?」

「やって見なきゃわからないだろ!!行くぜ!!」


 玄武はそういうとレッド・ドラゴンに向かって突っ込んでいく。


「ふん……馬鹿め、喰らえ!!赤龍拳!!」


レッド・ドラゴンは赤い炎をまといながら玄武に突っ込んでいく。


「うおおおお!!」


玄武も負けじと青い炎をまとい、レッド・ドラゴンに向かって突っ込んでいく。


「ふはははは!!愚かなり玄武!!」


 レッド・ドラゴンが笑いながら玄武に攻撃を仕掛けようとしたその時である。なんと、玄武の体が二つに分かれたのだ。


「な、何!?」


 突然の出来事で驚いたレッド・ドラゴンが一瞬怯んだその時である。玄武の体はなんと二つに分かれたままレッド・ドラゴンをタコ殴りにしたのだ。


「ぐわああ!!」


 そして玄武は元の体に戻り、さらに攻撃を加えていく。

「うおお!!喰らえ!!玄武水柱拳!!」


 玄武の青い水を纏った強烈なパンチがレッド・ドラゴンに炸裂する。

「ぐわあ!!」


 そんな攻撃を受けたレッド・ドラゴンはその場に倒れてしまう。


「はぁ……はぁ……やったか?」


 玄武が倒れたレッド・ドラゴンに近付こうとしたその時である、突然黒い闇が出現しそこから百冬が姿を現す。


「ふん、不意打ちでも駄目か……」


 百冬はそういうと倒れたレッド・ドラゴンを回収し去っていく。


「ま、待て!!」

 玄武が慌てて追おうとしたその時である。青龍王城からドン・ニュクスが玄武の前に現れたのだ。


「私が来たからにはもう好きはさせないぞ!!百冬!!お前がこの青龍王城に私以外の5人のドラゴン・ナイトたちを復活させようとしているのは知っている!!だがそうはさせんぞ!!」

「ふん、ならお前と私のどちらが強いか勝負しようではないか」


 百冬はそういうと玄武に向かって黒い闇の波動を飛ばす。


「な、なんだこの力は!?」


玄武は波動の力に吹き飛ばされる。


「く、くそお!!」


 ドン・ニュクスは拳法家らしく巧みな格闘技で黒い闇の波動を殴り飛ばす。


「ふはは!!やはりお前では敵わないか、だがこいつが相手ならどうかな?」


百冬はそういうと玄武の前にドラゴン・ナイトを召喚する。そのドラゴン・ナイトの姿はなんと……。

「な!?お、お前は!?」

「ふふ……久しぶりだね玄武」


 そのドラゴン・ナイトの正体とは、なんとアリアであったのだ。


「な!?アリアがどうして!!」

 玄武は驚きを隠せない様子である、そしてそれはもちろんドン・ニュクスも同じだった。


「知らないぞ私は6人のドラゴンナイトは全員男性だったはず……」


「ふふ、ドン・ニュクスよ、私は玄武に負けた後、6人のドラゴンナイトに関する情報を調べ上げた、その結果ドラゴンナイトの魂を優れた器に注入することによってドラゴンナイトを復活させることが出来ると分かったのだ!!さっきのレッド・ドラゴンやホワール兄弟はその実験の失敗作!!このアリアこそがドラゴンナイト復活の成功例なのだ!!」

「そ……そんな……」


 玄武はショックを隠せなかった。そして同時にアリアに攻撃を仕掛ける。


「うおおおおお!!」


 玄武は猛スピードでアリアに攻撃をするが、アリアは余裕で躱し逆にカウンターの一撃を喰らわせる。


「がはぁ!!」

 玄武は吹き飛ばされてしまう。


「ふははは!!玄武よ、貴様の魂もドラゴン・ナイトに移植してやる!!」


 百冬はそういうと黒い闇を出現させアリアと共にその闇の中へと消えていく。

「ま、待て!!」

 玄武は追いかけようとするが、突然現れたホワール・ウィンターズとレッド・ドラゴンに道を塞がれてしまう。


「「オ……オレタチ……洗脳……ガガーッ!!」」


 ホワール・ウィンターズは口調がカタコトになり、レッド・ドラゴンは魂を洗脳された時の事を思い出したのか玄武に襲い掛かる。


「くそ!!邪魔をするな!!」


 玄武はその2体を必死に退けようとするのだが、その2体は強く、玄武は追い詰められていく。そして……。

「ぐわぁ!!」


 2体の攻撃についに玄武は倒れてしまう。


「く……そ……」


 そんな時である。突然青龍王城の門が開いた。


「玄武!青龍王城の門は開けたぞ!!その二人は俺に任せてここから先は玄武!!お前が行くんだ!!」

「ドン・ニュクス……わかった!!生きていたらまた会おう!!」

「ああ!!玄武、死ぬなよ……!!」

ドン・ニュクスにそういわれた玄武はホワール・ウィンターズやレッド・ドラゴンの攻撃を躱し青龍王城へと走っていく。



 玄武は青龍王城のエントランスにいた。そこにはネオ朱雀衆とホワイト・ウィンターズの連合軍兵士たちが待ち構えていた。


「玄武だ!!油断するなよ!!」

「おおーっ!!」


 兵士たちが玄武に襲い掛かる。玄武はそんな兵士たちを殴り飛ばしながら突き進んでいく。


「て、敵襲!!玄武だ!!」

「来たぞー!!迎え撃てぇ!!」


 玄武はそれを聞きニヤッと笑う。


「はーっはっはっ!!やっと暴れられるぜーっ!!」

 玄武はホワイト・ウィンターズとネオ朱雀衆の兵士たちを蹴散らしながら階段を上っていく。しばらくそうしていると一面銅で出来た謎の部屋にたどり着いた。


「なんだここは……ん?この銅は……」


 玄武はその部屋にあったものを手に取る。それは……なんとアリアの生首であった。


「な、なんだこれは!?ま、まさか!!」

 その時である。アリアの生首が動きだし、それが一人の男の姿になった。


「ひゃーほう!!驚いたか!!玄武!!俺の名はネオ朱雀衆のブロンズ・ラッシュ!!ゴールド兄ちゃんが世話になったなぁ!!」

「何!?貴様!!ゴールド・ラッシュの弟か!!?」

「そうだ!!貴様もアリアのように百冬様と麒麟様によって洗脳されるのだーっ!!食らえ!!ブロンズフィンガー!!」


 ネオ朱雀衆のブロンズ・ラッシュはそういうと凄まじい威力のパンチを玄武に繰り出す。


「うおお!!」


 玄武はその攻撃で吹き飛んでしまう、そして壁を突き破り下へ落ちてしまう。それを見たブロンズ・ラッシュは「ひゃーほう!!」と叫ぶと下を確認する、すると。


「む、無駄なあがきはやめろ!!」


 ブロンズ・ラッシュの目の前に玄武が立っていた。そしてそのままブロンズ・ラッシュを殴り飛ばす。


「うぎゃあああ!?」


 吹き飛ばされたブロンズ・ラッシュは壁に激突し気を失ってしまった。

「ふん、この程度では俺は倒せんぞ!!」

玄武はそういうとさらに上へと昇っていった。



 青龍王城の最上階にたどり着いた玄武は青龍の間の扉の前に来ていた。


「ここだな……百冬はここにいる!!」


 玄武は扉を蹴破り部屋の中へと入っていく。しかしそこにいたのはネオ朱雀衆幹部のリー・ファントムだけであった。


「来たな玄武、待っていたぞ」

「な!?百冬が……いない!!」

「ふふ、彼は麒麟様とともに屋上にいる、玄武よ!!貴様をここから先に通すわけにはいかん!!死んでもらうぞ!!バトルアクション玄武!!!」


 リー・ファントムはそういうと玄武に向かって突っ込んでくる。

「な、なんだ!?」


 突然の攻撃に驚いた玄武は思わず攻撃をもろに喰らってしまう。


「ぐわぁ!!」


 玄武はその一撃で壁に激突してしまう。そしてリー・ファントムはさらに追撃を仕掛けていく。


「ふふふ……喰らえ!!必殺『幻影覇王拳』!!」


 リー・ファントムの一撃が玄武に炸裂する。


「ぐわぁあ!!な、なんだこの力は!?」

「ふふ……これが私の新たな力【幻影覇王拳】だ!!ネオ朱雀衆の力で貴様に幻影を見せるのだ!!」

「な、なんだとう!?」

「喰らえ!!『幻風弾』!!」


 リー・ファントムの放った攻撃が玄武に命中してしまう。


「ぐわぁああ!?」


 玄武はその攻撃で吹き飛ばされてしまう。


「ふふ……終わりだな、貴様はもう立つことも出来ない」

 リー・ファントムはそう言うと玄武にとどめを刺そうとするが……その時である。玄武は立ち上がりリー・ファントムの足を掴むとそのまま床に叩きつけた。


「な、何!?」


 突然反撃されたことに驚いたのか、リー・ファントムは思わず隙を見せてしまう、玄武はその隙を見逃さずすかさず攻撃を加えていく。


「ぐわぁあ!!」


 さらに玄武は倒れたリー・ファントムに追撃をかけようとする。しかしそれを止めたのは青龍の間の扉から現れた麒麟と百冬であった。


「ふふふ……よくここまで来たな、褒めてやろう」

「ああ、だがここまでだ玄武」

「く……百冬……」

 

 玄武は百冬の姿を見つけると構えるが。その時である、突然衝撃波が発生し玄武の体を吹き飛ばしてしまう。


「な、なんだ!?」

「ふふふ……玄武よ、私のことを忘れているようだな!!」


 そこにいたのは先ほど目を覚ましたネオ朱雀衆幹部のリー・ファントムだった。


「な!?お前もう復活していたのか!!」

「ふふ、残念だったな玄武!!私はネオ朱雀衆の新しい幹部!!今の私に弱点などないのだ!!」

「な、なんだと!?」

「ふふ……百冬様、ここは私に任せてください」


 リー・ファントムはそういうと玄武に向かって突っ込んでくる。


「喰らえ!!必殺『幻影覇王拳』!!」

「な、なに!?」


 玄武はリー・ファントムの放った攻撃で壁に激突してしまう。


「ぐわぁああ!!」

「ふふ……百冬様!!とどめを!!」

「ああ、心得た!!」

 百冬はそういうと玄武に向かって突っ込んでいき攻撃を加える。


「く……百冬!!何故だ!?」

「ふふ……お前はここで死ぬのだ」

「な、なに……?」

「お前は私の弟、白虎を助けることが出来なかった……私は貴様が憎い!!故にどんな手段を使ってでも貴様を葬りたいのだ!!死ね玄武!!死ねえええええええええええええええ!!!!!!!!」


 百冬はそう叫ぶと玄武に向かってさらに攻撃を繰り出していく。


「ぐわああ!!」

 そんな時である、突然麒麟が玄武を庇うかのように前に立ちふさがった。


「な、なんだ?」

「ふふ……玄武よ、よくぞここまで戦った」

「な!?麒麟……どういうことだ!?」


 百冬は突然現れた麒麟に驚き攻撃の手を止める。


「玄武……私は弟子であるレッド・ドラゴンに倒された後、自分自身のことを考えていた……私は今まで何がしたかったのか、何を守るために戦ってきたか……そう考えていくうちにわかったのだ。私が本当に求めていたものそれは……」

「な!?待ちやがれ!!」


 百冬が麒麟の言葉を止めようとするが麒麟はそれを無視し言葉を続けた。

「それは、平和だ。戦いのない平和な世界を創る事こそ私の理想なのだ!!ホワイト・ウィンターズの百冬よ!もし私がお前にこの世界を侵略するというのなら私はこの命をかけてでも貴様を止める!!」

「な……なんだと!?裏切ったのか……俺を!!!?」

 麒麟の言葉に百冬は怒りに震えた。


「俺は……この100年ずっとお前を信じて生きてきたというのに!!お前は俺を裏切るのかああ!!」

「違う、私は何も裏切ってはいない」

「黙れえええ!!」

 百冬はその怒りに任せ麒麟に攻撃をしようとするが、それを玄武が止める。

「待て!!百冬!!」

「離せ!!俺はこいつを倒さねばならねえんだ!!」

「落ち着け百冬!確かに俺はあんたの弟……白虎を救うことが出来なかった……だがその罪は百冬!あんたにもあるはずだ!!お前は弟である白虎を見捨てたんだ!!」

「ふ、ふふ……はーっはっはっはっ!!何を言うかと思えばそんなことか!玄武よ!!我にはお前の言葉など通用しないぞ!!玄武!!貴様の体をドラゴンナイトにしてやる!!」


 百冬はそういうと玄武に向かって突っ込んでくる。しかしそれを麒麟が防いだ、そして……。


「な、何をする!?」

「百冬、お前が納得しないというのなら……何度でも戦ってやる!!」

「玄武……ふふ、よく言ったな……覚悟しろ!!俺は百冬!いくらお前でも殺す!!」


 そういうと百冬は戦闘体勢に入る。それを見たリー・ファントムも拳を構えた。


「ふははは!!来い!!玄武!!」

「麒麟!!やはり裏切ったな!!これから俺はホワイト・ウィンターズのリー・ファントムとして貴様らを葬ってやる!!」

「いくぞ百冬!!お前の目を覚ましてやる!!」

 玄武はそういうと百冬に向かって突っ込んでいった。そして……。


「うおおっ!!」


 玄武の一撃が百冬の体を捉える、だがその攻撃に百冬は怯まず玄武の腹に拳を叩き込む。


「ぐほっ!?」

 その一撃で玄武の動きが一瞬止まる、そしてその隙を百冬が見逃すはずがなく必殺の一撃を放つ。


「喰らえ!!『百冬氷雪切』!!」

「ぐわぁああ!?」


 その一撃を喰らった玄武は吹き飛び壁に激突し気を失う。


「ふ……ふははははーっ!!玄武!!最後の一撃をくれてやるぜ!!」


 百冬がそう叫ぶと麒麟が前に立ちふさがり攻撃を防ぐ。


「玄武!!お前はよくやった……後は私がやろう」


 そういうと麒麟は百冬の攻撃を受け止める。


「邪魔をするな!!『百冬氷雪切』!!」


 百冬は再び必殺の技を放つ、しかしその攻撃は麒麟には通用しなかった。


「な……なにぃ!?」

「ふふ……私はもうネオ朱雀衆ではない、この一人の拳法家として貴様を倒す」

「ふ……ふざけるなぁ!!」

 百冬は怒りに任せて麒麟に襲い掛かる。


「くらえ!!『百冬氷雪切』!!」

 百冬の一撃が麒麟の体を捉える、だがその攻撃でさえも麒麟には通用しなかった。「な、なんだと!?」

「ふふ……これが私の新たな力【麒麟幻影】だ、リー・ファントムがこの力を教えてくれた」

 麒麟がそういうと百冬の体に攻撃を叩き込む。その一撃を受けた百冬は膝から崩れ落ちてしまった。


「バカな……俺の百冬氷雪切が効かないだと!?ま、まだだ!!」


 百冬は麒麟に向かって攻撃しようとする。だがその一撃も麒麟には通用しなかった。


「な、何故だ!?」


 百冬がそういうと麒麟は答える。


「この力……【麒麟幻影】は相手の攻撃の全てを無効化する能力なのだ、故に私はお前の攻撃を全て受けきることが出来るのだ!!」

「な……なんだと!?」

「そして玄武を倒した貴様を、私は許す事は出来ない!!喰らえ!!『麒麟幻影』!!」

「ぐわぁあ!?」


 百冬は麒麟の一撃を喰らい吹き飛ばされる。


「く……くそぉ!!」

「これで終わりだ!!百冬!!」


 麒麟が止めの一撃を放とうとしたとき、突然青龍の間の扉が開かれる。そしてそこから現れたのは……。


「な!?き、貴様は!?」


 そこにいたのはリー・ファントムと、そしてドラゴンナイトと化したアリアであった。そして二人は問答無用で麒麟に攻撃を仕掛けた。


「く、くそっ!!」

「はははーっ!!麒麟よ!!麒麟幻影は俺が教えた拳法!!故に俺にはそれは効かない!!」


 麒麟は攻撃を避けようとするが避けきれず攻撃を喰らってしまう。その時であった……突然百冬の体が光り輝き始めたのだ。


「な、なんだこれは!?」


 驚く麒麟だったがさらに驚くべきことが起きた、なんと倒れた玄武の体が光り輝き始めたのである。


「これは一体!?」


 麒麟が驚くと、突然百冬の体から闇が現れ玄武の体へと入っていく、そして……。


「うおお!!なんだこの力は!?力がみなぎってくるぜ!!」

「なんだこれは……俺の闇の力が失われていく!!」


 百冬の体から闇が消え玄武の体に闇の力が集まりだした、そして。

「俺はバトルアクション玄武!!闇の力さえ俺の前には無力だ!!」

「な、なんだと!?」


 玄武の体が巨大化していく。そして……。


「うおお!!俺の闇の力が流れ込んでいくぜえええ!!」


 その叫びと共にバトルアクション玄武は本当の意味で誕生したのだった……。


「な!?ば、バカな……こんなことが!?」

「うおおおおおおおおおおお!!俺は光と闇を一つのした最強のバトルアクション!!この力で何もかも救ってやる!!」


 玄武はそういうと光と闇を融合させた技を放つ。

「くらえ!!『ツイン・ネガティビティ』!!」


 その攻撃はリー・ファントム、アリア、そして百冬を飲み込んだ。


「ぐわぁあ!?」

「うおお!!」

「きゃああああああああ!!」



光と闇の力が炸裂する。そして……。


「ぐわぁあああ!!」


 玄武の体が青龍の間の中央に立つ、その姿はまさしく光の巨人と呼ぶに相応しいものであった。


「俺は玄武!!光と闇の戦士!!そしてこのバトルアクションの力を今解放する!!『バトルアクション』!!」


 玄武はそういうと拳に光と闇の力を集める。その力を受け青龍の間の水晶が輝き始める。そして……。


「そうか……そうだったんだ!!真のバトルアクションとは光と闇の力の両方を使うもの……これが伝説の……スーパーバトルアクション!!」


 麒麟は納得したようにそういうと玄武に向き直る。


「玄武……この世界をすべて救ってくれ……私にはそれが出来なかった……」


「わかってるさ!!あんたの代わりに俺がそれをやる!!」


 そう叫びながらバトルアクション玄武は青龍の間の中央に立つ。そして……。


「うおおおおおおおおおおお!!!行くぞ!!世界再生!!!!!」


バトルアクション玄武はそう叫ぶと自身の光と闇の力を解放した。その力により世界は元の姿を取り戻していく、しかし……。


「ぬう!!させてたまるか!!」


そこに現れた百冬が必殺の一撃を放つ。だがその一撃はバトルアクション玄武の光と闇の力によって全て弾かれてしまった。


「な……なんだと!?」


 百冬が驚く中、バトルアクション玄武は再び構える。そして……。


「くらえ!!『デュアル・ネガティビティ』!!」


 バトルアクション玄武の放ったその一撃は百冬の体を包み込む、そして……。


「ぐわぁあ!!お……おのれぇ!!」


 百冬はその言葉と共に光に飲み込まれるように消えていったのだった。


「や……やったか?」


 バトルアクション玄武は勝利を確信する、そしてその時青龍の間の中央に立つ水晶がさらに輝き始めその光がバトルアクション玄武の体に入っていく。


「な……これは!?」



 バトルアクション玄武は何かを感じると再び青龍の間の中央に立つ、そして……。


「うおお!!漲ってくるぜえ!!」


 バトルアクション玄武は再び構える。そして……。


「世界が本来の色を取り戻していく……これで世界は救われたのだな」


「ええ、後はバトルアクション玄武が世界を救ってくれるでしょう……ふふ……」


 麒麟とアリアはそう言って微笑むと消えていってしまった。


「世界が本来の色を取り戻していく……俺もまたやり直せるかな……白虎……」

「そうは……そうはさせんぞ玄武!!」


 しかし最後の最後に立ちふさがるものが一人いた……リー・ファントムである。


「俺は許さん!!世界がこんなわけのわからないことで!!玄武ううううううううううう!!」


 リー・ファントムはそういうと幻影の力を使ってバトルアクション玄武を攻撃しようとする、だが……。


「無駄だ!!『ツイン・ネガティビティ』!!」


 バトルアクション玄武はそう叫ぶとリー・ファントムに光と闇の力を同時に放つ、その攻撃はリー・ファントムの体を包み込み。

「ぐわぁああ!?俺はリー・ファントム……俺の魂は不滅……何度でも蘇ってやる……ぎゃにいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 

 リー・ファントムをお星さまになった。そしてバトルアクション玄武は青龍の間の中央に立つともう一度構える。


「うおお!!バトルアクション!!」

 

 バトルアクション玄武のその叫びは青龍の間に響き渡る、そして次の瞬間……。



「玄武、今日はもうこの辺りにしようぜ」


 玄武水柱拳の使い手である玄武は友人である白虎に声を掛けられ正拳突きの形を止めた。


「なんだ白虎?まだ俺は疲れていないぞ?」

「空を見ろよ、もう暗いぜ?」


 玄武は白虎に言われた通り空を見た、確かに空はすでに暗くなっていた。


「確かにそうだな、そろそろ帰るか」


 玄武と白虎は修行場から帰ろうとする、しかし玄武はある違和感を抱いていた。


「なぁ白虎」

「なんだ玄武?」

「前に俺たち、これと全く同じ会話をしなかったか?」

「は?何言ってんだよ白虎、そんな訳ないだろ?」

「だよな……」

 

 玄武はそう言って首をかしげると二人は修行場を後にしようとする。


「玄武、俺たちって強くなれるのかな?」

「もちろんなれるさ、世界は広いんだ、きっとどこかに俺たちより強いやつがいるはずだ」

「そうか……そうだよな!!」


 二人はそんなことを言いながらいつもの帰り道を歩いていく。光と闇の中間の夕暮れの空は静かに玄武たちを見ていたのだった。


~バトルアクション玄武9完 ファイナルバトルアクション玄武へ続く~


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バトルアクション玄武 新理ツク @alaric

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