豪華客船の戦い

「玄武、どうだった?ユニコーン公国は?」

「ああ、色々あったがいいところだったぜ!!ところでレッド・ドラゴン、青龍王国に何が起こったのかもう一度喋ってくれないか?」


 ここはユニコーン公国と青龍王国を繋ぐ豪華客船、バトル・フォックス号のテラス席、玄武とレッド・ドラゴンは海を見ながら、朝早い風に吹かれていた。


「わかった。玄武に分かりやすく説明するぜ、まず玄武がユニコーン公国に行ってる間に朱雀衆がネオ朱雀衆として復活した」

「ネオ朱雀衆……朱雀は正気を取り戻し悪行をやめたはず……何があった!?」

「ああ、ネオ朱雀衆は俺の師匠である麒麟が復活させた、一度は俺が師匠を倒したのだが、脱獄してな。そして師匠はネオ朱雀衆を再度従えた、しかもそれだけじゃない」

「なんだって!?」

「ネオ朱雀衆はホワイト・ウィンターズとも手を組んだんだ、この組織の事は玄武もよく知ってるだろ?」

「ああ……ホワイト・ウィンターズは白虎の兄である百冬が俺への復讐の為に作った組織……俺との戦いで分かってくれたと思ったのだが……」

「ああ、だが利害が一致した二つの組織は手を組んだ、そして青龍王国の首都を制圧、その勢いのまま青龍国王を拘束、俺はどうにか脱出してユニコーン公国まで来たわけだ」

「なんたることだ!!俺がいない間にそんなことになっていたとは!!」

「ああ……ところで玄武、アリスとドン・ニュクスは今どこにいるんだ?」


 アリスとドン・ニュクス、この2人は玄武がユニコーン公国を旅する中で出会った人物である。


「ああ、アリスは部屋で休んでて、ドン・ニュクスはこの豪華客船のカジノエリアにいるハズだが」

「そうか……むっ!!玄武!!あれを見るんだ!!」

「なっ!!あれは!!」


 玄武たちが見たもの、それはこの豪華客船と同程度のサイズの海賊船であった。


「フハハーッ!!俺たちはネオ朱雀衆の朱雀海賊団だ!!そして俺は船長のチャンピオン・ネプチューン!!この海賊船で豪華客船を完全に制圧する!!」

「なにぃ!!ふざけやがって!!玄武流波動砲を喰らえ!!」


 玄武は波動砲を海賊船に向けて放った。


「波動砲だと!!そんなもの無駄無駄!!俺がこの船を沈めてやる!!」


 チャンピオン・ネプチューンは海賊船を操って玄武流波動砲を避けた。


「あっ!おい!!待ちやがれ!!」

「玄武待て!!このバトル・フォックス号は豪華客船だ!!海賊船に勝てる装備なんて持ってないぞ!!」

「なにぃ!?じゃあこのバトルフォックス号にネオ朱雀衆の奴らが乗り込んで来るのか!?」

「ああ……その可能性は高い……」

「くそっ!!なら、この俺が相手してやるぜ!!レッド・ドラゴン!!手伝え!!」

「お……おい!!何をする気だ!?やめろ!!」

「いくぜ!!」

「……ああ」


 玄武はバトルフォックス号から飛び降り、その後をレッド・ドラゴンも続いた。


「うおりゃあ!!海賊船に乗り込んでやるぜ!!」


 玄武はバトルフォックス号から飛び降りた、しかし。


「うわっ!!なんだ!?」

「うお!!」


 バトル・フォックス号の船体が突然大きく揺れた。そして玄武はバランスを崩して海へと落ちてしまった。


「くそっ!!あの海賊船め!!」


 玄武は海から這い上がると、バトルフォックス号へと戻った。


「おい!レッド・ドラゴン、今の揺れは何だったんだ?」

「ああ、海賊船から砲撃されたんだ」

「なにぃ!?」


 レッド・ドラゴンの言う通りであった。バトル・フォックス号の甲板に朱雀海賊団が現れたのだ。


「オラオラ!!お前らさっさとこの海賊船を占拠するんだよ!!この船には玄武たちご一行が乗ってるからな!!全員麒麟様の元に連れて行くんだ!!」


 バトル・フォックス号の甲板で朱雀海賊団のリーダー、チャンピオン・ネプチューンが叫んだ。


「あいつらは俺を倒す為に青龍王国を制圧……このまま奴らに好きにさせる訳にはいかねぇ!!ここは俺が出る!!」

「玄武……すまないが、俺も出る」

「ああ、行くぞ!!レッド・ドラゴン!!」


 2人の男は甲板に飛び出した。


「くっくっ!!亀がネギしょってやって来たかぁ!?玄武にレッド・ドラゴン!!お前ら2人はこの朱雀海賊団が預かってやるよ!!」

「ああ!!その前に一つ聞かせろ!!お前らネオ朱雀衆はなぜホワイト・ウィンターズと手を組んだ!!」

「俺の部下に勝てたら教えてやるよ!!来い!!タイダル・ウェーブ!!」

「アイアイサー!!ネプチューン親分!!」


 そこに現れたのは、屈強な肉体を持つ大男、タイダル・ウェーブであった。


「この俺!!タイダル・ウェーブがお前ら2人を倒してやるぜ!!」

「ああ!!望むところだ!!いくぞレッド・ドラゴン!!」

「おう!!」


2人はタイダル・ウェーブに突っ込んだ。


「くらえ!!ネプチューン親分直伝!!海斬剣!!」


 タイダル・ウェーブは大剣で玄武に斬りかかった。しかし。


「甘いな、お前の攻撃なんぞ俺にかかれば避けるのは容易い」


 玄武は攻撃を軽々と避けた。


「今だ!!レッド・ドラゴン!!」

「ああ、いくぞ!!赤龍錬気斬!!」


 レッド・ドラゴンは両手に纏った気の刃でタイダル・ウェーブに斬りかかった。しかし、


「甘いな!!喰らいやがれ!!」


 タイダル・ウェーブは海の中へと飛び込んだ。そして海から飛び出して来た。


「なにぃ!?」

「うおりゃああ!!」


 タイダル・ウェーブはレッド・ドラゴンの腹に向かって大剣で斬りつけた。


「ぐわあっ!!」


 レッド・ドラゴンはその場に倒れてしまった。


「レッド・ドラゴン!!ちっ……なら俺が相手だ!!」


 玄武はタイダル・ウェーブと戦い始めた、しかし。


「俺の攻撃を避けるのは容易いんじゃなかったか?玄武よぉ!!」

「なにぃ!?」


 タイダル・ウェーブは攻撃を避けられる事を想定しており、すぐさま体勢を立て直していた。そしてタイダル・ウェーブの大剣が玄武の体を捕らえた。


「うぐわあっ!!」


 玄武は甲板に倒れ込んでしまった。


「やった!!やりましたよ!!ネプチューン親分!!」

「でかした!!」

「いいや……誰が玄武を倒したって?この俺はまだ倒れてないぜ」

「なにぃ!?」


タイダル・ウェーブが振り返ると、玄武が立ち上がっていた。


「くっ……しぶとい奴だぜ!!」

「ああ、俺はそう簡単にはやられないぜ!!いくぞ!!」

「うおりゃあ!!」


 タイダル・ウェーブは玄武に大剣で斬りかかった。しかし。


「なにぃ!?」


 玄武は大剣を片手で受け止めた。


「どうした!!お前の攻撃なんぞ俺には通用しないぜ!!」

「なにぃ!?」


 タイダル・ウェーブは海の中へと逃げようとした。しかし。


「そうはさせるか!!波動砲!!」


 玄武の放った波動砲がタイダル・ウェーブに直撃した。


「ぐわあああああっ!!」


 タイダル・ウェーブは海に中に水没し、そのまま気絶してしまった。


「やったぁ!!流石は玄武だぜ!!」


 いつの間にか目を覚ましていたレッド・ドラゴンが叫んだ。


「よし、後はこの朱雀海賊団のリーダーだ!!レッド・ドラゴン……行けるか?」

「おうよ!!むっ!!玄武!!リーダーがいないぞ!!」

「なんだって!!?」


 レッド・ドラゴンが言う通り、チャンピオン・ネプチューンは姿をくらませていた。

「なんて奴だ……仲間を見捨てて逃げるとは……」


 玄武がそう呟いたその時、バトル・フォックス号の内部から爆発音が響き渡った。


「何事だ!?」


 玄武とレッド・ドラゴンはバトルフォックス号の内部に走っていった。



 そのころ、ドン・ニュクスは豪華客船のカジノエリアで遊んでいた。


「カジノタワーの主である私にかかれば、このくらいお手の物なのです」


 ドン・ニュクスは余裕の表情を見せていた。その時である。突然爆発音が聞こえたのだ。


「なに!?何が起きた!?」

「「ドン・ニュクス様!!大変です!!このバトル・フォックス号に海賊が!!」」


 そこに現れたのは、ドン・ニュクスの部下であるホワール兄弟であった。


「何っ!!この船はバトル・フォックス号!!ネオ朱雀衆の奴らが乗り込んできたのか!?」

「はい、ドン・ニュクス様」

「くっ……こうなれば私が直々に……」


 ドン・ニュクスはカジノエリアから飛び出そうとしたその時である、そこに海賊たちが現れたのだ」


「ケケーッ!!カジノだぜ!!カジノなら金がいっぱいあるぜ!!」

「シャー!!この船で一番の金持ちはこのドン・ニュクスだ!!お前らネオ朱雀衆に金は渡さんぞ!!」

「なにぃ!?野郎共!!あのうるさい男をぶっ殺せ!!」


 バトル・フォックス号のカジノエリアは、海賊とドン・ニュクスたちとの戦いになった。


「「ドン・ニュクス様ー!!」」

「ホワールたちよ!!お前たちは下がれ!!ここは私が引き受ける!!」

「「わ……わかりました!!」」


 ホワール兄弟たちは、バトル・フォックス号のカジノエリアから脱出した。


「フフフ……ドン・ニュクス!!貴様の相手はこのマリン・レイデンだ!!」

「ふん!!この私にかかってくるとは……愚か者めが!!」


 ドン・ニュクスとマリン・レイデンの戦いが始まった。まず最初に動いたのはドン・ニュクスである。


「くらえ!!マリン・レイデン!!この私が作った、超強力水爆弾を!!」


 ドン・ニュクスは手から超強力な水爆弾を発射した。しかし、マリン・レイデンはそれを避けた。


「ドン・ニュクス!!そんなもの私には通用しないぞ!!」

「フフ……それはどうかな?これを見るがいい!!」


 ドン・ニュクスは、さっき水爆弾を発射した手を前に出した。するとその手から、水で出来た巨大な龍が姿を現したのだ。


「なにぃ!?貴様!!それは何だ!?」

「フフ……私がドラゴン・ナイトの一人であったということを忘れたか?この水龍は私の術によって生まれたもの!!くらえ!!海滅水の吐息!!」

「甘いな!!ドン・ニュクス!!私もドラゴン・ナイトの一人だ!!」


 マリン・レイデンは空高く飛び上がり、水龍を回避。そして水龍の中に突っ込んだのだ。


「なにぃ!?」

「はあああっ!!マリン・ストリーム!!」


 水龍の中を通り抜けたマリン・レイデンの攻撃が、ドン・ニュクスに直撃した。


「ぐわああっ!!」

「これでトドメだ!!」


マリン・レイデンはドン・ニュクスに向かって突進した。しかし。


「待てぇい!!」


 バトルフォックス号の中から一人の侍が現れた、その侍の名は。


「なんだ貴様は!?」

「わしはドン・ニュクスの忠実なる部下!!青龍王国からやって来た者だ!!」

「なにぃ!?青龍王国の侍だとぉ!?お前、まさか……」

「私の名はサムライ・ホワール!!ホワール兄弟の長男だ!!」

「サムライ・ホワールだとぉ!?おのれー!!ならお前から倒してやる!!」


 ホワール兄弟の長男である、サムライ・ホワールは腰の刀を抜き、マリン・レイデンに斬りかかった。


「うおりゃああ!!」

「ぬわあっ!?」


 ホワール兄弟の長兄、サムライ・ホワールと、ドラゴン・ナイトの一人であるマリン・レイデンの戦いが始まろうとしたその時、それを止める手があった。ドン・ニュクスである。


「待て!!貴様!!本当の名前はマリン・レイデンなどでは無いだろう!!」

「な……なにぃ!?」

「私は貴様を知っている、そう……貴様は死んだはずの……」

「な……何を言っている!?私はマリン・レイデンだ!!」

「まだとぼけるか!!くらえ!!海滅水の吐息!!」


 ドン・ニュクスは再び水爆弾を発射した。しかし、それはホワール兄弟の長兄である、サムライ・ホワールを直撃した。


「ぐわあああっ!!」

「ホワール!!おのれ!!許さん!!」

「えっ」


 ドン・ニュクスはマリン・レイデンに斬りかかった。しかし、その刃をサムライ・ホワールが防いだ。


「ドン……ニュクス……さま!!お止めください!!あれはあなたのミスです!!」

「むううううううううう!!しかし!!」

「ドン・ニュクスさま!!」

「……わかった……」


 ドン・ニュクスは矛を収めた、そのすきを突き、マリン・レイデンは逃げ出していた。


「待てぃ!!マリン・レイデン!!」

「ドン・ニュクス様……今はこのバトル・フォックス号の奪還が先です、ここは私に任せてください」

「うむ……しかしあの男……私の見立てが確かなら……」


 こうしてホワール兄弟の長兄であるサムライ・ホワールは、マリン・レイデンを取り逃がしてしまった。



 一方、バトル・フォックス号の船内では玄武とレッド・ドラゴンが海賊たちと戦っていた。


「うおりゃあああああああああ!!玄武チョップ!!」

「とおおおおおおおおおお!!レッド・ドラゴン・延髄蹴り!!」

「ぎゃああああああああ!!やられちまったー!!」

「よし、これでこのフロアの海賊は全滅だ」


 玄武はレッド・ドラゴンに話しかけた。


「ああ……しかし……まだ海賊たちはほかのフロアにもいるんだよな……どうするんだ玄武?」

「もちろん、この豪華客船のすべてのフロアにいる海賊を倒すつもりだ!!」

「おい!!お前たち!!」


 その時、一人の男が玄武とレッド・ドラゴンに話しかけた。


「なんだ?」

「俺は青龍王国の将軍、ブルー・ナイト!!このバトルフォックス号を取り戻すために来た!!」


 そこに現れたのは、青い鎧を着た男であった。


「なにっ!?青龍王国の将軍だと!?」

「俺はブルー・ナイト!!玄武にレッド・ドラゴン!!助けに来たぞ!!」

「おお!!青龍王国の将軍が来てくれたぞ!!」

「これでもう大丈夫だな!!」


 ブルー・ナイトの姿を見た、このバトル・フォックス号の船員たちは大喜びであった。しかし玄武はあることが気になっていた。


「おい……ブルー・ナイト……一つ聞きたいことがある」

「なんだ?玄武?」

「将軍ならなんで青龍王国の鎧を着ていないんだ?」


 ブルー・ナイトの鎧は青龍王国で作られたものではなかった。


「なにっ!?こいつは本当に将軍なのか!?」


 レッド・ドラゴンがブルー・ナイトに尋ねた。


「クックック!!ばれてしまっては仕方がない!!そうさ!!俺は海賊だ!!」

「なにっ!?海賊だと!?」

「青龍王国の将軍のふりをすれば、簡単に豪華客船に侵入できるからな!!このバトル・フォックス号は俺たちが乗っ取った!!」

「なにぃ!?貴様……よくも俺たちを騙したな!!」

「そうさ!!お前らはここで死ぬのだ!!食らえ!!ブルー・ランチャー!!」


 ブルー・ナイトは巨大な水の塊を飛ばした。


「うおりゃああ!!レッド・ストリーム!!」


 その時、レッド・ドラゴンが口から強力な炎を発射した。その炎はブルー・ナイトの放った水の塊を飲み込み、そのままブルー・ナイトに直撃した。


「ぐわああっ!!」

「ハッ!!今度も外さないぜ!!」


 レッド・ドラゴンはもう一度口から炎を発射した。しかし。


「フッ……くらえ!!ブルー・キャノン!!」

「なにぃ!?ぐわああっ!!」


 ブルー・ナイトは巨大な水の塊をレッド・ドラゴンに向かって発射した。その攻撃はレッド・ドラゴンに直撃し、吹き飛ばされた。


「ハッハッハ!!次は玄武の番だ!!」


 ブルー・ナイトはまた巨大な水の塊を玄武に向かって放った。しかし。


「ハッ!!ダークネス・ウォール!!」


 玄武は地面に手をついて、黒い大きな壁を出現させた。その壁が水の塊を受け止めた。


「なにぃ!?俺の攻撃を止めるだと!?」

「こいつはドン・ニュクスから教わった技だ!!くらえ!!ダークネス・サンダー!!」


 玄武は壁から電撃を発射した。


「ぐわああっ!!」


 ブルー・ナイトは吹き飛んだ、しかしすぐに立ち上がった。


「くそ……俺を怒らせてしまったな!!くらえ!!ブルー・キャノン!!」

「うおりゃああ!!ダークネス・ビーム!!」

「くらえええ!!ブルー・ミサイル!!」


 二人の攻撃はぶつかり合った。その時である、ブルー・ナイトの放った水の塊が爆発した。


「なにぃ!?」


 そして、その爆風によって玄武とレッド・ドラゴンが吹き飛ばされてしまった。


「うわあああっ!!」


 その時である、バトル・フォックス号の外で戦っていたホワール兄弟の長男、サムライ・ホワールが船の中に突入してきた。


「我が名はサムライ・ホワール!!海賊どもよ!!お前たちを成敗してやる!!」

「サムライ・ホワールだって!?ホワール兄弟は三兄弟じゃあなかったのか!?レッド・ドラゴン!!」

「俺だって知らん!!」

「おらぁ!!」


 その時、ブルー・ナイトが玄武とレッド・ドラゴンに向かって巨大な水の塊を発射。しかしホワール長男によって防がれた。


「なにっ!?」

「お前は何者だ!?」


 ホワール長男はブルー・ナイトに刀を向けた。


「俺は青龍王国の将軍、ブルー・ナイトだ!!味方なんだ!!」

「なにっ!!青龍王国の将軍だと!?」

「ああ、そうだ」


 ホワール長男はブルー・ナイトに質問をした。


「なぜその将軍が海賊の仲間になっているんだ!!」

「それはだな!!」

「騙されるなサムライ!!そいつは嘘をついている!!」

「なにぃ!?」

「くくっ!!判断が遅いぞ!!」


 ブルー・ナイトはホワール長男に襲いかかった。


「やめろ!!ブルー!!」


 玄武はとっさにホワール長男の前に立って、攻撃を止めた。しかしブルー・ナイトの刀が玄武の体を貫いた。


「ぐわああっ!!」

「玄武!!おのれぇ!!よくも玄武をぉ!!」


 ホワール長男はブルー・ナイトに向かって刀を振った、しかしブルー・ナイトはそれを避け、ホワール長男を蹴り飛ばした。


「ぐわあああっ!!」


そしてブルー・ナイトはまた巨大な水の塊を発射した。それをレッド・ドラゴンが止めた。しかしブルー・ナイトはその隙に逃げ出した。


「くそっ!!逃げられたかっ!!大丈夫か!!玄武!!ホワール長男!!」

「ああ……なんとかな」

「くそぉ!!ブルー・ナイトめ!!私を騙すとは!!許さん!!」


 ホワール三兄弟の長男はブルー・ナイトの逃げたほうに走りだした。


「ま……待て!!俺たちも行くぜ!!」


 レッド・ドラゴンと玄武もホワール長男に続いて走り出した。



 そして玄武たちがたどり着いたのは豪華客船の船長室であった。


「ここだな!!ここにブルー・ナイトが逃げ込んだはずだ!!」

「ああ、間違いないぜ!!」

「よし行くぞ!!」


 玄武たちは艦長室の扉を開けた。部屋の中にいたのはバトル・フォックス号の船長であった。


「どうかしたのかね?そんなに慌てて……」

「どうかしたのかねって……あなたこの騒ぎを何もわかっていないのか!?」

「騒ぎだと?私は何も知らないよ」


 船長はそう言いながら、葉巻を吸っている。


「この野郎!!しらばっくれるな!!」


レッド・ドラゴンは船長に向かって炎を放った。しかし。


「なにぃ!?」

「どうした!?レッド・ドラゴン!!」

「け……結界だ!!船長の周りに強力な結界が張られているんだ!!」


 その指摘は正しかった、船長の体には薄い、だが白い色をした結界が張られていた。そして同時に船長がブルー・ナイトに変身した。


「フフ……よくぞおれの変身を見破ったな……本物の船長はサメの餌にしてやったぜ!!」

「なにぃ!?てめえ!!本物の船長をどうしたんだ!?」

「ああ……殺したさ、そして俺が船長になったのだ!!」

「ふざけるなぁ!!」


 レッド・ドラゴンはブルー・ナイトに向かって炎を放った。しかしブルー・ナイトは結界を張り、その攻撃を防いだ。


「そんな攻撃で俺を倒せると思うなぁ!!」

「くそっ!!卑怯だぞ!!」

「フフフ……卑怯だと?俺は海賊だ!!卑怯で当然よ!!」

「くそう!!」


 その時である、玄武がブルー・ナイトに向かって突撃した。そして、ブルー・ナイトの体を気で切り裂こうとした、しかしブルー・ナイトは気を避け、玄武の腹を蹴り飛ばした。


「ぐわあああっ!!」

「玄武!!」

「大丈夫か!!玄武!!」


 レッド・ドラゴンとホワール長男は玄武に駆け寄った。


「ククッ!!どうした?その程度か!?」


 その時である、バトル・フォックス号の警報が鳴り響いたのだ。


「な……なんだ!?」

「ハッハッハ!!やっと来たな!!ドン・ニュクス!!」

「なにぃ!?ドン・ニュクスだとぉ!?」


 ブルー・ナイトは部屋を脱出しようとした、しかし。


「ドラゴン・ナイトの力を思い知れ!!」


 ドン・ニュクスは巨大な岩を出現させて、ブルー・ナイトの体を押しつぶした。


「ぐわあああ!!」


 そしてブルー・ナイトの変身は解かれた。その姿はホワール三兄弟の末っ子あるルーレット・ホワールであった。


「う……うう……」

「お前……ルーレット!!」

「ドン・ニュクス……そして玄武……俺はあのカジノタワーで貴様に殺された……だがあのお方が俺を甦らさせてくれたのだ……あのお方はネオ朱雀衆に協力すれば俺を甦らせてくれると……そのために俺はこのバトル・フォックス号の船長に成りすましたのだ!!貴様らを倒すためにな!!」

「なんだとぉ!?」

「言えっ!!あのお方とは誰だ!!」

「それはな……あのお方の名は……」


その時、ルーレットの体をナイフが貫いた。


「なにぃ!?」

「全くお喋りな奴だ……この私の前でネオ朱雀衆の話をするとは……」

「なっ!?貴様は!!リー・ファントム!!」


 玄武は驚いていた、なぜならそこにいたのはかつて玄武が倒したはずのリー・ファントムがいたからである。


「フフフ……久しぶりだな、玄武」

「なぜだ!?お前は確かに俺が倒したはずだ!!」

「ああ、私はあの時死んだ……だがあのお方は私に再び命を与えてくださったのだ!!だがな玄武、私と貴様が戦うのは今じゃない……屋上に行くといい……そこでチャンピオン・ネプチューンが待っているはずだ」

「待てリー・ファントム!!」

「フフ……さらばだ玄武、裏切り者のレッド・ドラゴンにホワール長男よ!!」


 リー・ファントムは体を霧にして立ち去った。その時、ブルー・ナイトの体が粒子となって消えた。


「ルーレット……さらばだ……」

「ドン・ニュクス!!屋上に行くぞ!!」

「ああ!!みんな急ぐぞ!!」


 玄武たち五人はバトル・フォックス号の屋上へと向かった。そしてついに、一行は屋上にたどり着いたのである。そこには……チャンピオン・ネプチューンが立っていた。


「来たかっ!!この豪華客船には既に爆弾が取り付けられている!!爆発まで後、3分だ!!」

「なにぃ!?」

「げええっ!!どうしよう玄武!!」

「ええい!!3分以内にこいつを倒して!!ここから脱出する!!」

「おう!!」


 玄武たちはチャンピオン・ネプチューンに戦いを挑んだ。しかし、チャンピオン・ネプチューンは手強い相手であった。


「うおりゃあ!!」


 レッド・ドラゴンが炎を発射した、しかしチャンピオン・ネプチューンは水の結界を張り防いだ。そして反撃を開始した。その攻撃は玄武とホワール長男とレッド・ドラゴンを吹き飛ばしてしまった。


「ぐわああっ!!」

「うおりゃあ!!」

「玄武!!ホワール長男!!レッド・ドラゴン!!」

「次はお前だ……ドン・ニュクス……」

「なにっ!?ぐわああっ!!」


 ドン・ニュクスはチャンピオン・ネプチューンに水の攻撃を食らわせようとしたが、チャンピオン・ネプチューンの素早い一撃を食らい倒れてしまった。


「ぐおっ!!」

「ドン・ニュクスよ、貴様は本来闇の力を使うドラゴン・ナイトのはず、それがなんで我々海賊団と同じ水の力を使っているんだ?」

「私は玄武に負けた時に闇の力を封印した……そして水の力を使えるようになったのだ!!」

「そうか、それは面白いな」


 その時である、玄武が立ち上がった。


「チャンピオン・ネプチューン!!お前はここで倒す!!うおりゃああ!!」

「玄武!!よせっ!!」


 ドン・ニュクスの静止を振り切り、玄武はチャンピオン・ネプチューンに突撃した。しかし、その攻撃は水の盾によって防がれてしまった。


「くそっ!!水の盾か!!」

「フフフ……次は私の番だ……」


 チャンピオン・ネプチューンは大量の水の塊を出現させた、そしてその攻撃を玄武に放った。


「うおりゃああ!!ドラゴン・ビーム!!」

 しかし、その攻撃はチャンピオン・ネプチューンには通じなかった、なぜならレッド・ドラゴンがその攻撃を受け止めたからである。


「大丈夫か!!玄武!!」

「ああ、助かった」

「よし、これで反撃だ!!」


その時である、ドン・ニュクスが立ち上がった。


「チャンピオン・ネプチューン!!貴様の好きにはさせんぞ!!」

「なんだと!!」

「玄武よ!!貴様の力を解放するのだ!!私を救ってくれた!!バトルアクションの力を!!」

「ドン・ニュクス!!わかったぜ!!」


 玄武はバトルアクションを発動させた、そしてホワール次男とレッド・ドラゴンも続いた。


「ああ!!わかったぜ!!」

「よっしゃあ!!バトルモード発動だぁ!!」


 その時である、バトル・フォックス号の最上階が崩壊した。そして、その中から巨大な水竜が現れたのだ。


「な……なんだ!?」


 その水竜はバトル・フォックス号の半分を飲み込むほどの大きさであった。水竜はそのままバトル・フォックス号に攻撃を始めた。


「なんだこれは!?うぎゃあああああ!!」


 チャンピオン・ネプチューンは水竜の攻撃に巻き込まれ、玄武たちの前から消え去った。


「チャンピオン・ネプチューンがやられた!!」

「それよりこの水竜はなんだ!!」

「これはこの辺りに住む伝説の水竜だ!!」

「なに!?本当か!?」

「ああ!!本当だぜドン・ニュクス!!」


 その時である、ホワール長男の体が粒子となって消えた。


「ぐわああっ!!」

「ホワール長男!!水竜めなんてことを!!次は俺が相手だ!!うおりゃああ!!」


 レッド・ドラゴンは水竜に向かって炎を吐き出した。しかし水竜の頑丈な皮膚で全く効いていなかった。


「くっ!!なんて硬い皮膚なんだ!!」

「ががががががーーーーーーーーーっ!!」


 その時、水竜の尻尾がバトル・フォックス号の甲板に叩きつけられた。その衝撃波は凄まじく、バトル・フォックス号は大きく傾いた。


「まずいぞ!!この船は爆発する前に水竜に破壊される!!」

「畜生……どうすれば……」


 その時である、玄武が座禅の態勢を取るとバトル・フォックス号も水竜と向かい合うように回転し始めた。そして水竜に向かって突撃を仕掛けた、そしてその衝撃で水竜の攻撃を相殺したのである。


「うおりゃあ!!」


 玄武はバトル・フォックス号を水竜に向かって体当たりさせた。しかし、水竜の皮膚には傷一つ付かなかった。


「やはりこれだけでは傷をつけられないか!!ならばっ!!」

 玄武は水の剣を生成し、水竜に斬りかかった。その攻撃は水竜の皮膚を少し傷つけることができたがやはり致命傷を与えることはできなかった。


「くそっ!!どうすれば……」


 その時である、玄武たちの前にアリス・ホワイトダイヤモンドが現れたのだ。


「玄武!!なんか私が部屋で寝てる間になんかとんでもないことになってるんだけど!!」

「アリス!!いいところに来た!!力を貸してくれ!!」

「え……ええ、わかったわ!!」

「よし、行くぞ!!うおりゃああ!!」


 玄武とアリスは水竜に向かって突撃した。しかし水竜には傷一つ付かなかった。


「くっ!!こうなったらここにいる7人の力を合わせるしかない!!」

「俺たちがバトルアクションだ!!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」


 玄武たちは手をつなぐと光の輪が発生した。7人の体から光が溢れ、玄武に力を与えたのである。


「いくぞ!!」


 水竜は再び尻尾を振り回して攻撃を始めた。しかし彼らの体には全く効かなかった。


「うおりゃああ!!」


 玄武たち7人の合体技により、水竜は爆散した。そしてバトル・フォックス号は無事に陸地にたどり着けたのである。


「やったぞ!!青龍王国だ!!」

「ああ!!無事に帰ることができたな!!」


 玄武たちは無事に青龍王国へと帰還することに成功した、しかしこれは戦いの序章に過ぎない、玄武たちはこれから青龍王城をネオ朱雀衆とホワイト・ウィンターズの手から奪還しなければいけないのだ!!玄武たちよ!!がんばれ!!

~続く~

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