カジノタワーの陰謀

 ホワイト・ウィンターズとの壮絶な戦いから一か月後、玄武水柱拳の使い手玄武とホワイトダイヤモンド家の末裔アリス・ホワイトダイヤモンドはユニコーン公国最大の繁華街ニュクス・シティに来ていた。


「ここがニュクス・シティか!!めちゃくちゃ栄えてるな!!それにしてもあの高い塔はすごいな!!あれは何だ!!」

「あれはカジノタワーです、世界中から様々な人たちが集まって賭け事をしていますよ」

「賭け事か!!賭け事なら俺も得意だ!!麻雀では負け無しだったからな!!」


 ということで玄武たちはカジノタワーに行く事になった、早速中に入ると様々なゲームの案内板がありどのゲームをプレイするか悩む二人だが玄武は一目見てあるゲームが気になった。


「なぁ!!アリス、あのゲームはなんだ!!」

「あれですか?あれは競馬のゲームですね。」

「競馬か!!よしっ!競馬やろうぜ!!」


 二人は競馬ゲームで競馬を始める事になった。そして操作方法を教えてもらい早速プレイすると玄武は勢いよくスタートダッシュして1位を取ってしまった。


「よしっ!!まずは一着だ!!」

「玄武さん、凄いですね!!次は私やってみます!!」


 アリスはスタートダッシュに失敗して二着になってしまった、落ち込んでいるアリスに玄武は優しく声を掛ける。


「よしっ!!気を取り直して次のゲームをやってみようぜ!!」

「はい、次こそは勝ちます!!」


 二人は次にポーカーゲームで勝負した、最初はアリスが勝って次は玄武が勝った、そして次のゲームでは玄武が勝った。


「玄武さん、やりましたね!!」

「いやっ!まだわからんぞ!次で勝負が決まるかもしれんからな!!」


 そして最後はルーレットゲームだ、ここで決める事にする。


「俺はこの36倍に賭けるぜ!!」

「私は19倍に賭けます!!」


 二人の意見は分かれた、そしてルーレットを回した。


「やったぜ!!」

「くっ……負けました」

「やったぜ!!」


 ルーレットを当てた玄武は大喜びしていた、負けたアリスは悔しがる。


「次は勝てるように頑張ります!!」

「そうだな!!次も頑張ろうぜ!!」


 二人はその後いろいろなゲームに挑戦して楽しんだのであったが、そこに黒服にサングラスをかけた男が現れる。


「んん!?誰だ貴様は!?」

「私はこのカジノタワーの従業員です、このタワーの主であるドン・ニュクスがあなた方に興味をもちましてね、来てください!!」

「は?俺たちはゲームで勝った報酬をもらうからもう行くぜ!!じゃあな!!」

「え!?ちょっと!!玄武さん!!」


 玄武は男の横を通り過ぎるとアリスの手を引っ張ってカジノタワーの外に出る、そしてそのまま立ち去ろうとすると黒服の男が話しかけてきた。


「あなた様たちにはどうしても来てもらいますよ、これはドン・ニュクスの命令なのですから」

「命令だと?ふざけんじゃねぇよ!!おいっ行くぞアリス!!」

「はっはい!!」


 玄武たちは黒服の男を無視して逃げる、だがしかし黒服の男は追いかけてきて玄武に蹴りを入れる。


「ぐっ!!何すんだてめえ!!」

「失礼、手荒なマネをしてしまい申し訳ございません、しかし私は命令に従うだけですので」


 黒服の男は今度はアリスに向かって攻撃をするが、玄武はアリスを守るために黒服の男の攻撃をかわす。


「チッ邪魔するんじゃねぇよ!!俺たちは急いでいるんだ!!」

「私はドン・ニュクスからあなた方を連れてくるように命じられました、どうかご同行願います」

「だから断るって言っているだろ!!どけぇ!!」


 玄武は黒服の男を殴り飛ばす、黒服の男が吹き飛んだ隙に玄武たちは逃げ出したがしかしそこに別の黒服の男が現れ玄武たちに催涙スプレーをかけた。


「ぎゃああああああああああ!!」

「痛たぁい!!」


 玄武とアリスは催涙スプレーを浴びてしまいその場で動けなくなってしまった。


「くそっ!!卑怯だぞてめえら!!」

「あなたたちにはご同行してもらいます、ドン・ニュクスが待っています」

「あっアリス!!大丈夫か!?」

「私はなんとか大丈夫です!!」


 二人は黒服の男たちに無理やりトランクケースに押し込められてしまう、そしてそのままどこかに連れていかれるのだった。


「おい!!お前!!ドン・ニュクスって誰なんだ!!」

「ドン・ニュクスとはこのカジノタワーの主であり、ニュクス・シティの支配者です、彼は昔英雄と呼ばれていた男であり今でもその名前は伝説として語られています」

「英雄?誰だそれは?」

「初代ドラゴンナイトの事ですよ」


 そして玄武とアリスはカジノタワーの最上階に連れてこられた、そこでは一人の太った男が椅子に腰かけて待っていた。


「ようこそ、我がカジノタワーへ、玄武水柱拳の使い手にアリス・ホワイトダイヤモンドよ」


 ドン・ニュクスと名乗る男は二人の名前を知っていた、どうやらこのカジノタワーの主というのは本当らしい。


「お前らの目的はなんだ!?」

「そうですね……まずは我がカジノタワーに入場してくれた礼としてゲームで勝負しましょう」

「ゲームだと!?」

「そうです、まずは私の部下であるカジノタワー三銃士と戦っていただき、その後私と一対一の勝負をしてもらいます、よろしいですか?」

「分かったぜ、どうせ拒否権はないんだろ」


 玄武は仕方なく承諾した、すると奥から三人の男たちが現れた。


「ご安心ください!!私たちがドン・ニュクス様のカジノタワー三銃士です!!」

「なるほど、なかなか強そうじゃないか」

「ええ、彼らがカジノタワー三銃士、ところで奥に扉が見えるでしょう?まずは玄武さんにはその扉に入っていただき三銃士と一人ずつ戦っていただきます、一応人質としてアリスさんをそこの部屋に置いておきますので」

「げっ玄武さん助けて!!」


 アリスは一人で部屋の中に閉じ込められてしまう。


「くっ!!行くしかないってわけか!!」

「では扉の中に入ってください、楽しみにしていますよ」


 玄武は指示通り扉の中に入っていった、するとそこは巨大なルーレットがある部屋だった。


「なんだこの巨大なルーレットは!?」

「ルッルッル!!ようこそ玄武!!私は三銃士の一人!!名はルーレット・ホワール!!今日こそ貴様の命をいただく!!」


 ルーレット・ホワールは玄武に向かって銃口を向ける、玄武も対抗して拳を構える。


「行くぞ!!」

「来い!!」


 二人は戦い始める、最初に仕掛けたのは玄武だ。玄武は目にも留まらぬ速さでルーレット・ホワールに近づくと強烈なアッパーをくらわせた。


「ぐはっ!!」

「まだまだだ!!」


 玄武はさらに連続で攻撃を繰り出す、ルーレット・ホワールはダウン寸前だがなんとか持ち直した。


「ぐっ……やはり強い!!だが私は負けられぬのだ!!」


 ルーレット・ホワールがそういうと巨大ルーレットが回転し始めた。


「なんだこれは!?」

「ルーレット・ホワールのルーレット技、これが私の最後の力だ!!喰らえ!!」


 ルーレット・ホワールは銃を発砲して巨大な弾丸を放つが玄武はそれを簡単にかわしてしまった。


「な!?何故当たらんのだ!?」

「簡単だ、弾丸の軌道がバレバレだからな」


 そして玄武はルーレット・ホワールに接近して腹に鋭いパンチを入れた。


「ぐあっ!!」


 ルーレット・ホワールは倒れる、しかし巨大ルーレットはさらに猛回転し始める、玄武は次の攻撃に備える。


「くそっ!!こうなったら限界まで回転させてやるぞ!!」


 ルーレット・ホワールがそういうと巨大ルーレットの回転速度がどんどん早くなる、玄武は冷静に攻撃をかわす。


「甘いぞ玄武!!喰らえ!!」


 ルーレット・ホワールは銃口を上に向けて弾丸を放つ、天井に当たった弾丸が反射して再び玄武に向かってくるが玄武は弾丸を避ける。


「すごい技だな、だが俺には通用しないぜ」


 玄武はルーレット・ホワールに近づくと攻撃を仕掛ける。


「調子に乗るな!!喰らえ!!」


 ルーレット・ホワールは玄武に銃口を向ける、そして弾丸が発射されるが玄武はそれを避けずに体で受けた。


「バカめ!!その程度の攻撃で俺にダメージを与えられると思ったか!!」

「バカは貴様だ、自分の力を過信しすぎている、貴様の足元を見てみな!!貴様は巨大ルーレットの上に乗ってしまっているんだぜ!!」

「なっ!!そうだったのか!!」


 玄武は巨大ルーレットの上に立っていた、そして回転する巨大ルーレットの上でバランスを崩してしまった。


「ぐあっ!!しまった!!」

「喰らえ!!」


 ルーレット・ホワールは玄武に弾丸を放つ、しかし玄武はそれをギリギリでかわした。


「くそっ!!ここまでか!!」

「ふんっ!!俺の勝ちだ!!」

「ちっ違うぞ玄武……お前の負けだ」

「なに?」


 玄武は後ろから殺気を感じた、するとそこには巨大な大剣を構えたルーレット・ホワールの姿があった。


「うおおお!!!」


 ルーレット・ホワールは玄武に向かって巨大な大剣を振り下ろした。


「ぐはぁっ!!」


 玄武は強烈な攻撃をくらいダウンする、だがしかしなんとか立ち上がる。


「くっ!!この野郎……どうやって俺の後ろに回りこんだ!!」

「回り込んだのではない!!ルーレットというのは黒色と赤色がある!!つまり私は黒の私と赤の私に分身することができるのだ!!」


 そこに現れたのは銃を持った黒いルーレット・ホワールと剣を持った赤いルーレット・ホワールだった、これには玄武も驚きを隠せない。


「なんだと!?」

「さぁ見せてやろう、私の必殺技を!!」


 黒いルーレット・ホワールは銃を発砲してさらに巨大化した弾丸を放つ。玄武はそれを避けようとしたが片方の赤のルーレット・ホワールが弾丸を蹴り返した。


「なにっ!?」


 蹴り返された弾丸は玄武に直撃する、そして吹き飛ばされた先には赤いルーレット・ホワールが待ち構えていた。


「覚悟しろ玄武!!」

「ぐっ!!しまった!!」


 そして赤いルーレット・ホワールは剣を振り下ろす。


「ぐあああっ!!」


 玄武はダウンする、ルーレット・ホワールは勝利を確信して飛び跳ねる。


「勝ったぞ!!ドン・ニュクス様に喜んでいただける!!」

「違う……勝つのはこの俺だ」


 次の瞬間、玄武が起き上がる、そして赤いルーレット・ホワールに向かって強烈なパンチを入れる。


「ぐはっ!!」

「どうだ!!決まったぜ……ぐああっ!!」


 しかし玄武も突然現れた弾丸をくらいダウンする、その弾丸を放ったのは黒いルーレット・ホワールだった。


「おい玄武……貴様私に勝つんじゃなかったのか?」

「ぐあっ!!てめぇ卑怯だぞ!!」

「ふんっ!!どっちが卑怯か、これで貴様は終わりだ!!」

「いや!!俺が勝つ!!」


 そして玄武は立ち上がる、すると突然ルーレット・ホワールたちの体に異変が起こる。


「な……なんだこれは!?」

「なぜだ!?どうして動けないんだ!?」


 そして二人の体は勝手に動き始める。


「なっ!!体が勝手にルーレットの中心に!!あそこは奈落!!あああああああ!!」


 ルーレット・ホワールたちはそのまま奈落の底へ落ちていった、そして残ったのは玄武だけだった、玄武はなぜルーレット・ホワールの体が勝手に動いたのかを解説し始めた。


「今のはルーレット・ホワールの体に俺の攻撃で微量のヒビを入れたんだ、その状態で攻撃するとルーレットの針がブレてルーレットを回せなくなるそしてああやって奈落に落ちるってわけだ、さて次の部屋に行くか」


 玄武は次の部屋への扉を開ける、するとそこには2頭の馬と一人の人間がいた。


「ようこそ競馬の間へ、私の名はホース・ホワール、私の弟が世話になったな」

「さっきのルーレット野郎の弟か!!今度は何で勝負するんだ?」

「競馬だ、馬同士を競わせる」

「なるほどな……いいぜ、さっさと始めようぜ!!」


 玄武とホース・ホワールは互いに馬に乗る、するとホース・ホワールは遠くにあるゴールを指さした。


「あそこにあるゴールまでどちらが早く到着するか競い合う」

「なるほど……わかったぜ、だが一つ問題があるようだ、馬が足りないんじゃないか?」


 玄武がそういうといつの間にかいた他の黒服たちが馬を連れてきた、そしてその馬に黒服たちが乗る。


「どうです?問題なさそうでしょう?」

「ふんっ!!まぁいいさ、それじゃあ行くぜ!!」

「はい」


 玄武とホース・ホワールは馬に乗って走り出した、そして黒服たちはホース・ホワールを守るように陣形をくんで玄武に向かって発砲する。


「くそっ!!邪魔だ!!」

「私たちを突破できると思っているのか?」


 ホース・ホワールは距離を詰めてくる、だがその時だった、ホース・ホワールの横から一人の男が姿を現す。


「よう、面白そうなことしてんじゃねぇか、俺も混ぜろよ」


 現れた男はホース・ホワールに接近するとそのまま殴り飛ばす。


「ぐぁっ!!誰だお前は!?」

「俺か?俺の名はレッド・ドラゴン!!玄武の仲間だ!!」

「なんだと!?貴様も玄武の仲間か!!」


 レッド・ドラゴンはホース・ホワールに蹴りを入れる、するとホース・ホワールの体が突然震えだした。


「ぐっ!!なんだこれは!?」

「へっ俺の蹴りには毒が仕込んである、少しの間動けなくするぜ!!」


 ホース・ホワールはその場に倒れる。


「なるほどな……毒で戦えないようにしたのか、やるじゃねぇかレッド・ドラゴン!!」

「へっ!!褒めてくれて嬉しいぜ!!玄武!!」


 そして玄武とレッド・ドラゴンはホース・ホワールに向かって凄まじいキックを決める。


「ぐああああっ!!」


 二人は着地する、ホース・ホワールはボロボロになりながらも立ち上がる。


「くっ……まだまだ……私はドン・ニュクス様のために戦わなくては……」


 ゴールは残り100メートル、勝負はあと少しで決まる。玄武たちはラストスパートをきる、ホース・ホワールも最後の力を振り絞って走る。


「くそ!!負けてたまるか!!」


 そしてついにゴールに到着する、そのタイムは11.18秒だった。もちろん玄武の記録である。


「勝ったぜ!!」

「くっ……くそおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!玄武ううううううううううう!!」


 ホース・ホワールはやけくそになり玄武にタックルを仕掛ける、しかし玄武はそれを回避して逆に蹴りを入れる。


「ぐはっ!!」


 ホース・ホワールはダウンする。


「私の負けだ……殺すがいい……」

「ああ……だがその前に教えろ、お前はなぜドン・ニュクスに従っている?」

「それは……」


 そしてホース・ホワールは語り始める。


「あれは数年前のこと……私は競馬場を荒らして荒らして荒らし回っていた、その時だ……ドン・ニュクスが現れたのは……」

「なに?それは本当なのか?」

「ああ本当だ」


 ホース・ホワールは話を続ける。


「最初は私もドン・ニュクスのことなんか信用していなかった、だが奴は言ったのだ……このカジノタワーは世界を手に入れるために作られたのだと……」

「なんだと!?それは本当か!?」

「ああ本当だ」


 玄武はさらに問い詰める。


「それを知ってドン・ニュクスに従っていたというのか?」

「ああそうだ」


 ホース・ホワールは迷いなく答える、これには玄武も驚かされた。だがその時、奥の部屋から声が聞こえた。


「ククッ!!玄武よ!!そしてレッド・ドラゴン!!弟たちをやってくれたようだなぁ!!我の名はポーカー・ホワール!!一番奥の部屋で待っているぞ!!」

「あいつが……ポーカー・ホワール!!」


 玄武たちは奥の部屋を目指す、そしてついにたどり着いた。


「待っていたぞ!!我こそがドン・ニュクスの右腕にしてカジノタワー三銃士のリーダー格!!ポーカー・ホワールだ!!」

「ほう……三銃士のリーダー格か、ならば早速始めるぞ!!」


 玄武は構える。するとそこにレッド・ドラゴンも現れる。


「おい玄武、俺はお前が乗ってきたのと同じ豪華客船でユニコーン公国まできたんだ、体がなまっちまってなぁ、ここは俺にやらせてくれ」

「わかった!!おいポーカー・ホワール!!お前の相手はレッド・ドラゴンだ!!」

「よかろう……なら最初はレッド・ドラゴンを相手にしよう、我が弟であるホース・ホワールを倒したその力見せてもらうぞ」


 二人の戦いが始まった、ポーカー・ホワールはトランプを手に持ちポーカーの役をそろえ始める、その役はロイヤルストレートフラッシュ、とても強力な役である。


「おっと……こいつはやばいな……」


 レッド・ドラゴンは警戒する、ポーカー・ホワールは微笑みながらカードの役オーバーロードをそろえた。そして役が完成した瞬間、カジノ内に衝撃が走る。


「完成……ロイヤルストレートフラッシュ……」


 なんとポーカー・ホワールは役を完成させてしまった、しかもその威力は凄まじく一発でレッド・ドラゴンを吹き飛ばすほどだった。


「ぐああっ!!」


 レッド・ドラゴンは壁まで吹き飛び倒れる。しかしどうにか意識を保ち次の攻撃に備える。


「なんて威力だ……だが次こそは!!」

「無駄だ、お前では私には勝てない」


 ポーカー・ホワールはさらに役をそろえ始めようとする。


「レッド・ドラゴン!!奴が役をそろえる前に攻撃するんだ!!」

「おう!!」


 レッド・ドラゴンはポーカー・ホワールに挑む。だがレッド・ドラゴンの攻撃は次々と跳ね返される、まるで攻撃を読んでいるかのように。そしてとうとう限界が訪れる。


「はぁ……はぁ……もう無理だぜ……体が動かねぇ……」

「どうやらここまでのようだな、レッド・ドラゴン!!」


 その時だった、レッド・ドラゴンの体が黒く燃え始めた。


「なっ!!なんだこれは!!」

「奥の手というのは最後まで残しておくものさ!!こいつはネオ朱雀衆との闘いで手に入れた新たな力【バトルオーバーロード】だ!!行くぞ!!必殺!!煉獄拳!!」


 レッド・ドラゴンは黒い炎を纏ったパンチを繰り出す、するとその一撃が火球となってカジノフロアを破壊する。


「ぐああっ!!」


 ポーカー・ホワールは衝撃で壁にぶつかる、さらにそこへ追い打ちをかけるように次々と火球が飛んでくる。


「ぐああっ!!ぐああっ!!」


 そしてついにポーカー・ホワールはダウンする、それを見た玄武とレッド・ドラゴンはハイタッチする。


「やったな玄武!!」

「ああ!!ドン・ニュクスのいる部屋まであと少しだ!!」


 その時、カジノフロアの奥から物凄い衝撃波が放たれ壁に亀裂が生まれた。


「ん?なんだ?」


その衝撃波は徐々に威力を増していく、そしてついに壁を突き破りフロア内に入ってきた。


「貴様らが玄武とレッド・ドラゴンか……まさか三銃士を全員倒すとはな……まぁいい、ここにやってきたということは私と戦う覚悟ができたということだな?」


 そこにはポーカー・ホワールよりも遥かに強いオーラをまとった男がいた。玄武はその男に尋ねる。


「お前は……ドン・ニュクスか?」

「ああ……見違えたか?」


 ドン・ニュクスは先ほど見た太った姿ではなかった、そこに立っていたのは痩せた細身の男だった。


「俺の名はドン・ニュクス……初代ドラゴンナイトであり、ユニコーン侯爵に裏切られ、以降世界を支配すると誓った男だ!!」

「ドラゴンナイト……聞いたことがあるぜ」

「なに!!教えてくれ!!レッド・ドラゴン!!」

「ああ……ドラゴンナイトは世界に6人しかいない騎士の中のトップに立つ男のことだ、しかしそいつらはみんなユニコーン公国に暗殺されたと言われている」

「なるほどな……でも目の前にいるじゃないか……ん?つまりドン・ニュクスは暗殺されたんじゃないってことか?」

「そうだ……もしかしたら俺たちと同じように特殊な力を手に入れて生き延びたのかもしれねぇ」


 ドン・ニュクスは笑う。


「ハハハ!!そうだ!!私も手に入れたのだよ!!バトルアクションの力をな!!貴様らが三銃士と戦っていた間バトルアクションの力を分析し私がドラゴンナイトとしての力を奪われる前の姿を取り戻した!!さぁ、行くぞ!!」


 ドン・ニュクスは一瞬にして玄武の目の前に移動した。


「なに!?」


 そしてそのまま剣で攻撃する。だが間一髪で回避することができた。


(なんてスピードだ!!まるで見えなかった……)


「ほう……今の攻撃を避けるとはやるじゃないか」


 玄武は冷や汗を垂らす、だがドン・ニュクスはさらに攻撃をしかける。


「どうした?もう終わりか?」


ドン・ニュクスの攻撃が玄武に直撃する。


「ぐああっ!!」

「よく耐えたな……だがここまでだ」


 ドン・ニュクスはさらに追撃をしてくる。


「させるか!!」


 そこへレッド・ドラゴンが助けに入る、だがドン・ニュクスはすぐさま態勢を立て直して攻撃しようとする。


(まずい!!今の状態で戦うのは無理だ……ならば)


「逃げるぜ!!」


 そして二人は逃げ出す、しかしドン・ニュクスはそれを許すつもりはなかった。


「逃さん!!」



 ドン・ニュクスは剣で玄武を切りつける。


「ぐわあああっ!!」


 玄武は吹き飛ばされる。しかしドン・ニュクスはまだ攻撃を止めない、次々と斬りつけてくる。


(このままではまずい!!こうなったら一か八かだ!!)


「食らえ!!必殺、玄武流波動砲!!」

「なに!?」


 ドン・ニュクスはなんとかガードするが吹きとばされてしまった。


「はぁ……はぁ……」


 だがその時だった、玄武は横から衝撃が来た。


「ぐああっ!!」


それはレッド・ドラゴンだった、ドン・ニュクスの攻撃から咄嗟に身を挺して助けたのである。


「大丈夫か!?玄武!?」

「ああ……助かったぜ……」


 そこにポーカー・ホワールとホース・ホワールもやってくる。


「くっ!!ドン・ニュクス様!!」

「貴様ら、まだ生きていやがったのか……」

「ドン・ニュクス……許さない!!俺たちを利用しやがったな!!」


 ホース・ホワールは拳を繰り出すがドン・ニュクスはそれを簡単に避けてしまう。そしてそのまま蹴りを入れた。


「ぐああっ!!」


 ホース・ホワールは倒れてしまう。ドン・ニュクスはさらに攻撃をしようとする。そこにレッド・ドラゴンが割り込み攻撃を防いだ。


「やめろ!!そいつら仲間だろ!!これ以上はやらせないぜ!!」


 そして玄武もドン・ニュクスの前に立つ。


「俺はお前の相手だ……かかってこい!!」


 そして戦いが始まった、ドン・ニュクスは連続で攻撃してくるが二人はそれを防ぐ。


(くっ!!早い!!手も足も出ないぞ……)


 そしてドン・ニュクスは玄武に向かって話しかける。


「このまま戦っていても埒が明かない、どうだ?私の部下になる気はないか?」

「なんだと!?」

「まぁいきなりこんなことを言われても混乱するのも無理はないか、しかし貴様は強い、その力を私のために使って欲しいのだ」

「ふざけるな!!誰がお前の仲間になんかなるかよ!!」

「そうか……それは残念だ……」


 ドン・ニュクスは黒い波動を放ってくる、その攻撃が 玄武とレッド・ドラゴンに直撃する。


「ぐああっ!!」

「くそぉ!!」


 玄武とレッド・ドラゴンは吹き飛ばされるがどうにか持ちこたえる。


(どうする?このままでは確実に負けてしまうぞ……)


「どうすればいいんだ……」


 その時、玄武の頭の中に声が聞こえた。


(玄武……奴は……ドン・ニュクスは……やつは闇のバトルアクションの力に飲み込まれている……しかし……玄武……君の光のバトルアクションの力なら……ドン・ニュクスを闇の力から解放できるはずだ……頼む……玄武)


(白虎!!)


 玄武の中に聞こえた死んだ玄武の友白虎の声だった、玄武は決心した。


「わかったぜ白虎……お前の願いをかなえてやる!!」


 そして玄武は自分のバトルアクションの力を発動する、その名は【玄武の拳】。彼は光のオーラを纏わせドン・ニュクスに攻撃を仕掛ける。


「なんだと!?」


 ドン・ニュクスはその攻撃を防ごうとするが玄武の力によって弾き飛ばされた、さらに追撃をかける。


「うおおっ!!」


 そしてついにドン・ニュクスの鎧を粉々に砕いた、その衝撃でドン・ニュクスは倒れる。


「なっ……なぜだ……私はバトルアクションの力を……闇の力を手に入れたはず……なのになぜこんなにあっさり負けるのだ……」

「教えてやるぜ……ドン・ニュクス、お前は闇のバトルアクションの力を手に入れる代わりに一つの光を失ってしまったんだ」


 玄武は語る、ドン・ニュクスは解せぬという表情を浮かべる。


「どういう意味だ……それは……」


 玄武は自分の知る全てを語り始める。


「闇のバトルアクションの力を手に入れたお前はその力に飲み込まれ暴走し始めている、さらに強力な力を手に入れるためほかのものたちも取り込んでいるんだろ?」

「なぜそれを……」


 ドン・ニュクスは驚愕する。


「しかしお前は気づかないうちに光を失っているんだよ……その力は自分の中に閉じ込めておけ、お前は本当の強さを知らないんだ」


 ドン・ニュクスは黙る。そこにレッド・ドラゴンが声をかける。


「ドン・ニュクスよ、俺はかつて朱雀衆で悪の所業を行っていた、しかし玄武と出会ってから自分の行いを見つめなおし共に悪の所業を食い止めた、それはお前も同じなんじゃないのか?」

「ふん……その通りだ……私はそのことに気づいていなかったのか……」


 そして玄武はドン・ニュクスに語りかける。


「これからは俺たちと共に悪の所業を食い止めようぜ、ドン・ニュクス!!」

「ああ……そうしよう」


 こうしてドン・ニュクスと三銃士との戦いは終わった、そこにアリス・ホワイトダイヤモンドが駆けつけてくる。


「みなさん大丈夫でしたか?」

「ああ大丈夫だ」


 そこに更にホース・ホワールとポーカー・ホワールもやってくる。


「ドン・ニュクス様、申し訳ございませんでした、私たちともに光を……愛を取り戻させていただきます」

「私もこれからはあなたの部下として忠誠を捧げます……」


ドン・ニュクスは彼らを見て言う。


「わかった……お前たちも共に世界を平和に導こうではないか」


 こうしてドン・ニュクスは三銃士と和解する。そして玄武たちと共に戦うことを決意するのだった、そこにレッド・ドラゴンが話しかける。


「ところで玄武、なんで俺が青龍王国を離れてユニコーン公国に来たか説明してなかったな」

「そういえばそうだな、なんでなんだ?」

「ああそれはだな……玄武よ、青龍王国に危機が迫っている!!」


~続く~

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